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社説
08月23日付
■グアンタナモ――ここにも法の支配を
捕まえた理由も告げず、いつまで拘束するかも明らかにしない。裁判もしない。通常の捜査なら人権侵害としか言えない収容が始まって2年半になる。キューバのグアンタナモ基地にある米軍施設だ。
9・11テロを受け、アフガニスタンで戦争を始めた米軍は、アルカイダやタリバーンの支持者とみなした者をここに移送してきた。赤十字国際委員会によると、今も約600人が収容され、その国籍は、アラブや欧州の40以上に及ぶ。
鶏小屋のような独房で赤い服を着せられ、赤十字を通す以外に家族と連絡する手段はない。精神を患い、自殺を図ろうとした事例も多数と報じられている。
グアンタナモへの移送者のなかには、13歳の少年や90歳を超す老人もいた。虐待や過酷な尋問があったという証言もある。イラクのアブグレイブ刑務所での虐待も、グアンタナモの延長線上で起きたと言うべきだろう。
捕虜の待遇に関するジュネーブ条約は加盟国に対して、拷問の禁止をはじめ、捕虜に対して人道的な扱いをするよう求めている。グアンタナモの収容者を戦争捕虜とみなすなら、今の拘束のあり方がこの条約に反することは明白である。
ところが、ブッシュ米大統領は「捕虜ではない。殺人者であり、テロリストだ」と主張する。彼らは「敵性戦闘員」であって、ジュネーブ条約をはじめ、これまでの国際法のいかなる規定にも当てはまらないと言うのだ。
確かに、9・11とその後の対テロ戦争を、国際法がこれまで想定してきた戦争と同じ尺度で語るには無理がある。国家間の戦争とは言いがたいし、緩やかなネットワークでつながるアルカイダの組織は、旧来の軍隊とは違ってとらえどころがない。
ブッシュ政権が「新しい敵には新しい発想で対応する」と唱えることには、それなりの理由がある。
しかし、だからと言って「敵性戦闘員」という扱いを正当化はできない。米国は、誰であろうと法的な手続きなしに逮捕、抑留されることはないと定めた1966年の「市民的及び政治的権利に関する国際規約」を批准している。
人権と対テロ戦争をどう両立させるか。問題の難しさはそこにある。
米連邦最高裁はこの6月、収容者の異議申し立て権を初めて認めた。だが米軍は「敵性戦闘員なら、被疑事実を告げないまま無期限に拘束できる」との立場を変えるつもりはないようだ。
たとえテロリストだとしても、法に基づいて対処する。その基本を内外に示すことが、対テロ戦争の正当性を強めるだろう。ブッシュ政権は、グアンタナモの収容者の法的地位を定め、国際的にも是認されるような司法手続きを急がなければならない。
同時に、国際社会は、国際テロという新たな脅威に有効に対処できる法的な枠組みづくりに着手すべきである。
http://www.asahi.com/paper/editorial20040823.html
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朝日新聞は人権と侵略戦争をどうやって両立させようというのだろう?