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【北京=藤野彰】中国の戦略問題専門誌「戦略と管理」最新号(第4期)は、北朝鮮の中国に対する背信的行為を厳しく批判し、「中国には北朝鮮を全面的に支持する道義的責任はない」と断じる論文を掲載した。北朝鮮を公然と批判する論文が中国で公表されるのは極めて異例。
北朝鮮の核問題を巡る6か国協議が難航する中、ホスト国を務めてきた中国の内部で、北朝鮮の硬直姿勢への不信感が高まっていることをうかがわせる主張として注目される。
論文は「新たな視点で朝鮮問題と北東アジア情勢を詳しく観察する」と題され、政府系シンクタンク、天津社会科学院対外経済研究所の王忠文氏が執筆した。
論文は、北朝鮮の現状について「近年の自然災害で人民の生活は困苦を極めているが、(金正日総書記は)家族による世襲統治を維持するため、極左政治と政治迫害を大々的に行っている」と真正面から体制の問題点を指摘。
そのうえで、北朝鮮の対中姿勢に関して「わが国がこれまで行った政治的支持と経済援助に対し、いささかも感激の気持ちを表さない。国際問題においては、常に中朝友好を無視し、肝心かなめの時に、わが国を十分理解し、全面的に支持するということができない」と強い不満をあらわにし、「このような性質の国を、わが国が全面的に支持する道義的責任はない」と断言している。
6か国協議では、中国の北朝鮮に対する外交的影響力に期待する空気がなお強いが、論文のこうした指摘は、それが実際には“幻想”にも等しいことを示唆するものだ。
一方、中米関係を巡っては、「北朝鮮は無責任な行動によってしばしば中米関係の改善を妨げている。重要な時に、より大きな争いを平気で引き起こし、米国と対抗する受け身の立場に中国を引きずり込む」とその姿勢を非難。北朝鮮の手法に対して「悪辣(あくらつ)な下心がある」と決めつけ、「わが国は警戒心を持ち、それを防ぎ止めなければならない」と主張している。
北朝鮮の核開発については、「国際社会に対する蔑視(べっし)と挑発」と断じ、「中国は朝鮮半島の非核化を主張し続け、米国と国際社会を支持して朝鮮問題を平和解決しなければならない」と訴えている。
論文で注目されるのは、「新たな理念をもって北東アジア情勢を見つめ直し、中国の根本的国益に最も合致する外交政策をとらなければならない」と強調している点だ。一種の「新思考」外交の提起と言え、米国などによる北朝鮮軍事攻撃には反対しているものの、国際協調を重視し、北朝鮮に譲歩を強く迫っていくべきだとの考えが鮮明に打ち出されている。
論文は中国政府の対朝外交戦略の修正をただちに意味するものではないにしても、政府内部の戦略見直しの機運を反映している可能性がある。
(2004/8/20/00:40 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040819id26.htm