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8月18日付・読売社説(1)
[米軍再編計画]「世界の安保環境が変わった」
国際社会の安全保障環境も、軍事常識も、大きく変化したということなのだろう。
ブッシュ米大統領が世界的な規模の在外米軍再編計画を発表した。アジアと欧州から、今後十年間で、在外米軍を六万人から七万人削減するという。日本の安全保障戦略や今後の日米同盟関係のあり方にも、大きな影響を与えるのは間違いない。
二〇〇一年九月の米同時テロ後、ブッシュ政権は、国際テロや大量破壊兵器の拡散を新たな脅威と位置づけ、安全保障戦略の見直しを進めている。
現在のアジア、欧州各十万人の米軍の態勢は、東西冷戦時代の旧ソ連の脅威に対処するものだ。これでは、新たな脅威に対応できない。米軍再編の狙いは、テロや地域紛争などの有事の際、高度の軍事技術を活用し、強力な戦力を機動的に展開する態勢を作ることにある。
アジアでは、在韓米軍一万二千五百人が削減される。約四万人の在日米軍が削減される可能性もある。だが、力の空白や抑止力の低下があってはなるまい。
東アジアには、朝鮮半島や台湾海峡など、紛争の火種となりうる地域が少なくない。力の空白が生じては、地域の安定が損なわれる。
日本の安全保障上、最大の脅威は、核兵器の開発を進め、日本を射程に入れるミサイルを配備する北朝鮮だ。この地域での米軍再編が、北朝鮮に誤ったシグナルを与えるものであってはならない。
米国は、北東アジアから中東までをユーラシア大陸の「不安定の弧」として重視している。中国やインドのような興隆が著しい地域大国がある一方、政治・社会体制が不安定な国も多い。中国は既に軍事大国化しつつある。
司令部機能を日本に移転・統合させる米国の動きも、この地域の有事に機敏に対処するため、同盟国である日本の拠点機能を強化する狙いだろう。
テロや大量破壊兵器という新たな脅威への対処は、政府が策定作業を進めている新防衛大綱でも、日本の安全保障戦略の重要な柱となる。同盟国として、米国と共同で対処することもありうる。
だが、集団的自衛権を保有してはいるが行使できないという、内閣法制局の憲法解釈の下では、円滑な共同対処ができない。パウエル米国務長官らの発言を待つまでもなく、日本の主体的な判断で、憲法解釈を変更するべき時だ。
米国は今後、日本など同盟国との協議を本格化させる。日米間の緊密な協議を通じて、日本や地域の安全と、新たな脅威に対する対処へ、より一層の協力体制を構築する必要がある。
(2004/8/18/02:22 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040817ig90.htm