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社説
08月17日付
■米ヘリ墜落――普天間を早く動かせ
ラムズフェルド米国防長官が昨秋、この基地を上空から視察した時に漏らした安全への懸念が、現実となった。
市街地に囲まれた沖縄の米海兵隊普天間飛行場で訓練中の大型輸送ヘリが、隣接する大学に墜落した。学生らは逃げまどい、消防署員は積み荷が分からぬ不安におびえながら消火にあたった。
一歩間違えば大惨事になりかねなかった。市の真ん中に飛行場を抱える宜野湾市民は、肝を冷やしたに違いない。
日米両政府は、事故がなぜ起きたのかを調べ、再発の防止にどういう手を打つのかを公表してもらいたい。それが、基地問題への態度の違いを超えた地元の人たちの自然な思いだろう。
ところが、海兵隊がとったのは、地元の感情を逆なでするかのような措置だった。大学敷地内の現場を一方的に封鎖し、大学の関係者ばかりか沖縄県警の係官まで締め出したのだ。
確かに、日米地位協定は、日本側が米軍の「財産」を捜索したり差し押さえたりするには米軍の同意が必要としている。軍事機密にかかわるためだ。だが、それは米軍が何でも好き勝手にできるということではない。
沖縄県警は現場検証を行おうと、日米地位協定に沿って、海兵隊に対して正式に同意を求め続けた。だが、米軍はそれにまともに答えようとせず、「10分間の撮影」を認めただけでさっさと機体の残骸(ざんがい)を運び出してしまった。
そんなやり方はとても受け入れられない。まるで治外法権ではないか。
さすがに、現地入りした外務省の荒井正吾政務官も「現場の管理権は米側にはない。ルールとマナーが確立されておらず、住民感情を損ねている」と語ったが、日本政府は米政府に対してもっとしっかりした態度をとるべきだ。
事故の被害を受けたのは、ほかならぬ日本国民で、その生命や財産を守るのは政府の責務である。米軍のこうした態度が続けば沖縄の反基地感情を刺激し、安保体制の運用に支障が出かねない。抗議すべきはきちんと抗議する。それがまともな同盟の姿というものだろう。
普天間飛行場は、沖縄基地被害の象徴的な存在だ。その返還が橋本政権の下で合意されて8年。名護市沖への代替施設づくりは遅々として進まない。
稲嶺恵一知事が移設の条件とした「使用期限15年」を米側は受け入れようとしない。日本政府もまた、この条件を本気で後押しする気はないようだ。
だが、普天間の返還は急務である。それを実現させるには、「5年ないし7年以内に」という返還期限がとうに過ぎてしまった日米合意や名護市沖への移転に、もはやこだわるべきではない。
折しも、ブッシュ米政権が世界の米軍再編に乗り出した。在日米軍の削減や再配置も現実の問題となる。日米同盟が大事なら、小泉首相には、今こそ普天間を動かす努力をしてもらいたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial20040817.html