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社説
2004.08.13
拉致問題 融和策が裏目に出た
口頭での「途中経過の説明」にとどまった。北朝鮮による拉致被害者十人の安否確認は、ほとんど進展がないままだ。小泉首相が期待する日朝国交正常化交渉を急ぐような環境ではない。
ほぼ予想した通りだ。北京で二日間にわたって開かれた日朝実務者協議で、北朝鮮は「不明・死亡」という十人について、原状回復につながる新たな情報は出さなかった。日本側は、九月に再協議を行い、明確な調査結果を出すよう求めて終わったようだ。
今回の協議の具体的なやりとりは明らかでないが、細田博之官房長官は「不十分と判断せざるを得ない」と遺憾の意を示した。被害者家族を納得させられるような内容にはほど遠いのだろう。
五月の日朝首脳会談で、金正日総書記は「白紙の状態」で「早期に徹底した調査を行う」と約束した。それから三カ月だ。北朝鮮の誠意のなさをあらためて感じる。
一昨年九月の日朝首脳会談で、北朝鮮側は、横田めぐみさんら八人は「死亡」、曽我ミヨシさんら二人は「不明」と日本側に伝達した。
しかし、死亡の状況や死因などあまりに不自然な内容が多く、日本側は直後に百五十項目の疑問点を示して、再調査を求めた。それから数えると二年近くたっている。
拉致事件は、金総書記が認めたように、北朝鮮の工作機関による犯行であり、その後も被害者は工作機関の監視下に置かれたはずだ。
総書記が関係当局に命令すれば、短期間に安否の確認は可能である。それでも、最終報告を渋るのは、北朝鮮に被害者を原状回復できない事情があるのだろう。
脱北者らの話によると、「死亡」という被害者の多くは工作員養成機関で働かされていた。また当局の指示を拒んで生命の危機にさらされた可能性もある。北朝鮮の暗部にかかわっていたため、安否を明らかにできないのかもしれない。十人の原状回復は、極めて難しい。
にもかかわらず、小泉首相は先の首脳会談で、食糧や医薬品など百億円にものぼる支援、経済制裁関連法を発動しないことを約束した。これでは日本への回答を小出し、先送りして、支援を手に入れるという北朝鮮のやり方に乗せられるだけだ。今回の対応がそれを裏付けている。小泉首相の融和策は裏目に出たようだ。
拉致事件は、北朝鮮の国家犯罪であり、被害者の原状回復−帰国を早急に実現する責任がある。政府は交渉に当たって、この基本を忘れてはいけない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040813/col_____sha_____003.shtml