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8月13日付・読売社説(1)
[日朝実務協議]「不信が募る『北』の安否再調査」
北朝鮮に対する不信感は払拭(ふっしょく)されなかった。日朝国交正常化交渉の再開には、ほど遠い。
北京での日朝実務協議で、北朝鮮による「安否不明の十人の再調査」報告は、調査を続行している、との途中経過にとどまった。
十人については、二〇〇二年九月の日朝首脳会談で、死亡八人、不明二人とされた。だが、死亡場所が異なる七人の死亡証明書が同じ病院から出されるなど、不審な点が多かった。提供された松木薫さんとされる遺骨は、日本側の鑑定で、別人の遺骨だったことが判明した。
日本側は、百五十項目の疑問点のリストを提示している。五月の日朝首脳会談で、金正日総書記が「白紙に戻して再調査する」としていたが、今回、北朝鮮側から十分な回答はなかった。
脱北者から本人らしい顔写真がもたらされた特定失踪(しっそう)者の一人、藤田進さんについても、特別な情報はなかった。
北朝鮮の対応は、とても誠実なものとはいえない。日本政府は、期限を切って回答を求めるべきだ。
日本は、日朝実務協議に先立ち、食糧支援と医療支援について、国際機関を通じ、二段階に分けて供与することを決定した。小泉首相が日朝首脳会談で、五人の拉致被害者の家族八人の帰国・来日と“引き換え”に、人道支援名目で供与することを表明したものだ。
先に誠意を見せて、「日本は約束を守る」とのメッセージを送ることで、北朝鮮から「誠意」ある行動を引き出すのが狙いだったという。だが、効果がなかったというべきだろう。北朝鮮に「圧力」抜きの「対話」だけで問題を解決しようとしても通用しないのではないか。
当然、残りの人道支援は、北朝鮮が改めて回答するまで凍結すべきだ。小泉首相は「日朝平壌宣言を順守する限り」という前提を置きつつも、金総書記に「制裁措置を発動しない」と約束したが、それでいいのだろうか。
「よど号」乗っ取り犯の四人については、日本側が身柄の無条件引き渡しを要求している。しかし、北朝鮮側は「日本政府が説得して連れて帰ればいい」と言う。これも無責任な対応だ。
核問題は六か国協議の議題だが、廃棄に向けての実質的進展は見られない。
北朝鮮は、二百基程度配備しているノドン・ミサイルを日本に向けたまま、撤去する気配がないのが現状だ。
日朝国交正常化は、拉致、核・ミサイル問題の包括的解決なしにできない。首相は、二〇〇六年九月までの自民党総裁任期内の正常化に意欲を示しているが、交渉再開を急ぐ必要はないだろう。
(2004/8/13/01:50 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040812ig90.htm