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【カブール=平本秀樹】アフガニスタン史上、事実上初の民主選挙となる大統領選を10月9日にひかえ、国連とアフガン政府で組織する選挙管理機構は10日、所定の条件を満たした立候補者の名簿を発表した。現職のハミド・カルザイ氏をはじめ、立候補者は18人にのぼっている。当初は米国の支持を受けているカルザイ氏の楽勝とみられていたが、これまで同氏を支えてきた北部同盟の有力軍閥が他候補支持に回るなど、予想外の展開になっており、選挙戦は早くも乱戦模様となっている。
大統領選の立候補者は、最多数派パシュトゥン人のカルザイ氏のほか、大統領選立候補のため教育相を辞任したタジク人のユヌス・カヌニ氏、ウズベク人軍閥のドスタム氏、唯一の女性候補の医師マスーダ・ジャラル氏など。なかでも、カヌニ氏は、有力軍閥のファヒム副大統領兼国防相や、アブドラ外相らタジク人有力者の支持を最近になって次々集め、パシュトゥン人に次ぐ勢力で、タリバン政権打倒の原動力となったタジク勢力をバックに、カルザイ氏を脅かしている。
これに対し、カルザイ氏は、米国など国際社会から軍閥解体の障害との批判が強かったファヒム氏をあえて副大統領候補から外し、タジク人の間でカリスマ的な人気を誇る北部同盟の故マスード司令官の弟のアフマド・ジア・マスード駐露大使を第1副大統領候補に指名した。また、第2副大統領候補には現副大統領でハザラ人のハリリ氏をあて、パシュトゥン、タジク、ハザラという主要3民族のバランスを取った。
現時点でカルザイ氏の優位は動かないが、憲法や選挙法の規定では、有効投票の過半数を獲得しないと当選できないため、多くの候補に票が分散することで、上位2候補による決選投票にもつれ込むことを予想する声が大きくなっている。
◆有権者登録容易、不正の可能性◆
カブールの中心部では、候補者のポスターはあまり見かけず、2か月後に大統領選の投票が行われることを感じさせるものは、ほとんど何もなかった。だが、市民に聞くと、異口同音に「アフガニスタンで初めて選挙が実施されることになって、うれしい」と答え、選挙を歓迎している様子だ。
一時は作業の遅れが心配されていた有権者登録も、国連の集計では、現在同国内に980万人いると推計される有権者のうち、約915万人の登録を終え、そのうち4割を超える約378万人が女性だという。
ただ、登録には、身分証明書などは不要で、氏名、住所など簡単な質問に答え、顔写真を撮影されるだけ。1人の人間が何回も登録することは容易で、重複登録などの不正が行われている可能性が高い。
女性の比率についても、カブールのパシュトゥン人の老人は「一族の男性は登録を済ませているが、女性は1人も登録していない」と語っており、本当に保守的な地域で、女性の登録が進んでいるのか、疑問も持たれている。
また、治安も選挙実施の上での懸念材料だ。カブール市内では、国際治安支援部隊(ISAF)のカナダ軍やベルギー軍がパトロールし、緊張感は特に感じられないが、旧支配勢力タリバンの影響力が強い南部では、選挙の妨害を狙った襲撃事件が頻発している。南部ウルズガン州では今月初め、選挙の登録作業にあたる職員が移動中に襲撃され、アフガニスタン人の職員2人が死亡した。ISAFは1万人規模まで増員されるが、選挙期間中に全土の治安を維持するのは不可能とみられる。
(2004/8/11/00:40 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040810id28.htm