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スーダン政府、制裁回避へ動く…ダルフール紛争
【ハルツーム=加藤賢治】スーダン西部ダルフール地方の紛争を巡り、国連安全保障理事会から経済制裁の「予告」を突きつけられた同国政府が、国連との間で、国内避難民の安全確保策を取ることで合意、制裁回避に向けて動き始めた。バシル大統領は、当面、紛争の拡大を防ぐことで国際社会の非難をかわしたい考えだ。ただ、焦点の「アラブ民兵の武装解除」の見通しは立っていない。
◆民兵武装解除は先送り◆
スーダン政府と国連は、今月5日、〈1〉30日以内に警察が避難民キャンプ内外に安全地帯を設置し始める〈2〉安全地帯での自衛を除く政府軍の軍事行動を即時停止する――などを柱とする「行動計画」を確認した。
国連が、最終的にスーダン政府に求めているのは、多数の黒人系住民を殺害、追放したアラブ民兵の武装解除だ。「行動計画」が避難民保護を最重視したのは、「即時武装解除は無理との現実的な判断」(ハルツームの国連筋)による。避難民キャンプ周辺で、軍服姿の集団による襲撃事件が相次いでおり、避難民保護をまず急がなければならない事情もある。
避難民の安全確保策は、バシル大統領にとっても、国連にとっても、緊急避難的な措置であることは否めない。
ダルフール紛争は、同国で従属的な立場に置かれた黒人系の反政府武装勢力2派(推定戦力は約6000―1万人)と、政府軍(同9万人)の支援を受けたアラブ民兵(同2万人)とが争う構図になっている。
アラブ系放牧民と黒人系農耕民の各部族には、大量の武器を保持してにらみ合ってきた歴史がある。
ハルツームにあるアフリカ国際大のハッサン・マッキ教授(政治学)は「ラクダを守らなければならない放牧民でもあるアラブ民兵にとって、武装解除は自殺行為に等しい。政府が強要すれば、今度は民兵が反政府武装勢力になりかねない」と警告する。
いったん支援したアラブ民兵から武器を取り上げようとすれば、その反発は、バシル大統領に向かうとの見方が強い。
1989年にクーデターで権力を握ったバシル大統領の支持基盤は軍部に限られている。市民の多くが「非民主的で、誰も本気で支持していない」と話す。
青ナイル、白ナイル川が流れる首都ハルツームの主要な橋の近くには、戦車が常時待機し、夜間には各所で検問が行われる。ある国連関係者は「大統領は、常にクーデターを心配している」と指摘した。
首都郊外の市場「スーク・リビア」で、ダルフール出身の黒人系男性(35)は「アラブ民兵がいる限り、戦争は終わらない」と声を潜めて話した。
◆「集団殺害でない」とEU調査団長◆
【ブリュッセル=鶴原徹也】欧州連合(EU)が8月上旬、スーダン西部ダルフール地方に派遣した調査団のピーター・フェイス団長は9日、アラブ民兵による黒人系住民の殺害、追放について、「ジェノサイド(集団殺害)という状況ではない」と述べ、「ジェノサイド」とする米議会の判断を否定しつつ、「広範囲で静かに殺人行為が進行し、村々が焼かれている」と指摘した。ブリュッセルで記者団に語った。
(2004/8/10/23:39 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040810id25.htm