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社説
2004年08月11日(水)付
■サマワ半年――この駐留をいつまで
陸上自衛隊の本隊がイラクのサマワで活動を始めてから、半年がたった。600人規模の部隊が、日中は50度を超すなかで市民への給水や、学校、道路の補修作業にあたってきた。
宿営地の近くへの砲撃はきのうもあったが、武装勢力やゲリラとの直接の衝突はこれまでなく、隊員に危害が及ぶこともなかった。安堵(あんど)するばかりだ。
緊張のなかで派遣第1陣を率いた番匠幸一郎1佐は帰国後に「活動は現地の方々から高く評価された」と語った。国民の税金で派遣したからには、また自衛隊員の労苦を考えれば、ぜひそうあってほしいと思う。
しかし、大事なく6カ月が過ぎたからといって現状に慣れ、この派遣の無理や危うさを忘れてはなるまい。現地情勢や自衛隊の活動ぶりについて、不断の見直しが要ることも言うまでもない。
半年間にイラクで起きた最大の変化は、主権の移譲だ。だが、治安は回復しない。シーア派の聖地ナジャフでは、米軍と民兵の激しい戦闘が再び火を噴き、暫定政府の高官や外国人を狙った暗殺や誘拐も続く。テロがあるから米軍が居続けるのか、米軍が居るからテロやゲリラがやまないのか。ジレンマは深い。
派遣を前に、小泉首相は「戦争に行くのではない」としつつ「殺されるかも知れない、殺すかも知れない」と語った。派遣が決まった時、朝日新聞は社説で「自衛隊がゲリラやテロに狙われ、戦闘になるかもしれない」「憲法が禁じている武力行使に発展するかもしれない」と書き、反対する理由の一つとした。
この懸念は少しも和らいでいない。それを誰よりも感じているのは、現地の隊員だろう。なるべく宿営地を出ない。出る時は警戒や監視を第一とする。人々の目に触れにくい自衛隊。それが安全につながってきた面は軽視できない。
戦争の正当性の乏しさが一段と明らかになり、私たちが治安の改善と並んで自衛隊派遣を考える前提としてあげてきた国際協調態勢づくりも、実質的に進まない。それもこの半年の現実だった。
サマワでは、地元の期待とのずれも表面化した。日本の支援となれば、彼らが浄水場や発電所などの建設を望む気持ちは分かる。だが、これらは自衛隊にできることではない。
欧米の民間団体は、イラク北部を中心に各国政府の援助資金を活用してインフラ整備や医療活動を進めている。だが、米政府の要請に応え、自衛隊の兵士を送ることばかりに専念してきた日本には、そんな柔らかな発想がない。
自衛隊の派遣を承認したのは国会だ。特措法の安全の要件は満たされているか。活動はイラク全体の復興にどれほど役立っているか。現状を知り、的確に判断するのは国会の役目である。
オランダの議員たちが5月にサマワを訪れ、オランダ軍の活動や危険度を視察した。この夏、サマワを訪れようという日本の与野党議員はいるだろうか。
http://www.asahi.com/paper/editorial20040811.html