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米軍がサドル派民兵と衝突、「３００人殺害」 イラク
【バグダッド＝川上泰徳】イラク中部のナジャフで、イスラム教シーア派指導者ムクタダ・サドル師が率いる民兵組織と米海兵隊との戦闘が激化し、イラク駐留米軍は６日、前日からの２日間で「推定で民兵約３００人を殺害した」と発表した。６月に結ばれた停戦合意は事実上、崩壊した。
サドル師の側近は米軍発表の推定死者数が多すぎると否定しているが、事実とすれば今春からの一連の衝突では最大級。同師はこの日の金曜礼拝で「アメリカは敵だ」とする声明を発表した。
混乱が深まれば、今月中旬、全国から１千人の代表が首都に集まる予定の「国民会議」開催に影響するおそれがある。開催はイラク民主化の重要なステップで、国連決議に盛り込まれている。
多国籍軍と民兵との衝突は首都バグダッドや南部バスラ、ナーシリヤにも広がり、病院筋は６日までに全国で計５８人の死者を確認した。
駐留米軍によると、衝突のきっかけは、サドル派民兵のマフディ軍団による５日未明のナジャフの警察署襲撃。ナジャフの知事が助けを求め、米軍は武装ヘリ、戦車などを出動させた。軍団は小型ロケット砲などで応戦し、本格的な戦闘になった。６日も米軍戦闘機が軍団の拠点を空爆している模様だ。
５日のナジャフでの戦闘でシーア派の初代イマーム（指導者）をまつる「アリ廟（びょう）」の一部が破損したとされ、サドル派は「米軍が聖地を攻撃している」と訴えた。
ＡＦＰ通信が病院筋の話などをもとに伝えたところによると、同軍団の７人や市民９人、米兵３人の計１９人が死亡。
また南部ナーシリヤでも、軍団はパトロール中のイタリア軍などに攻撃を加え、アラビア語の衛星テレビ、アルジャジーラによると軍団など８人が死亡した。
南部のバスラでも英軍との戦闘で軍団側５人が死亡。サドル師の代理人が支持者に英軍への「聖戦」を呼びかけるなど、混乱が広がる様相を見せている。
バグダッドのサドル派事務所の代表は６日、アルジャジーラに対して「我々は状況を悪化させるのを好まない。停戦を尊重する」と語った。暫定政府が治安確保に全力を挙げているこの時期に、撹乱（かくらん）する動きを見せ、何らかの政治的な駆け引きを狙っている可能性もある。 (08/07 01:20)
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