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社説
2004.08.06
原爆忌 核拡散の防止が危うい
六日と九日は五十九回目の原爆忌。大量破壊兵器は、完全廃棄をという私たちの悲願に反し、拡散の危険がますます高まっている。前途は厳しいが、「核全廃」を不断に粘り強く訴えていこう。
広島、長崎の被爆状況を思い起こし、大量破壊兵器が人類に惨禍しかもたらさないことを再確認する。
秋葉忠利広島市長は、二〇二〇年までの核兵器全廃をめざして「時間的枠組み」を設定した交渉を訴えている。政府としても取り組むに値する課題だ。そのために、国際社会の力を結集する努力を期待したい。
核拡散防止条約(NPT)は、私たちの悲願の表れだ。核兵器をもたない国々が永久に核保有を放棄する代わりに、米英仏ロ中の保有国が核廃絶へ誠実に軍縮交渉を行うよう義務づけている。
この拡散防止体制が危機にある。NPT未加盟のインド、パキスタンの核実験強行に加え、加盟国の北朝鮮(昨年一月に脱退宣言)やイランなどが核開発計画を推進してきた。また、米中枢同時テロ以降、国際テロ組織など非国家グループによる大量破壊兵器の取得の危険性が緊急課題として浮上し、「核の闇市場」が浮き彫りにされた。
こうした状況に、核とミサイル取引を規制する国内法整備を義務づける国連安保理決議、米国を中心に主要八カ国(G8)などが参加する船舶臨検などの大量破壊兵器拡散防止構想、原子力供給グループによる核物質の輸出制限の検討−などが打ち出されている。
だが、一連の対応策は、対症療法であって根本解決にはほど遠い。
まずは核保有国がNPTの定める軍縮義務を果たすことが大切だ。米国は小型核爆弾の研究を進め、ロシアも競争する姿勢だ。五カ国は「核の恐怖」を除去する重大な責任があることを忘れてならない。
核実験の危険性も放置できない。米国と中国は包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准すべきである。インド、パキスタン、イスラエルはNPT、CTBTへの加盟と批准の実行が責務だ。北朝鮮とイランが核開発で国際社会を危機に陥れる行為は許されない。
核拡散防止を実効あるものにするには、兵器用核物質の生産を禁止するカットオフ条約の成立が不可欠な要件だ。米国が最近、交渉開始に応じる意向を表明したが、条約の早期成立を望みたい。
日本は、非核三原則を国是としてきた。一部に見直しの声もあるが、この原則を崩さないことが「唯一の被爆国」の責任である。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040806/col_____sha_____002.shtml