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社説:原爆忌 核廃絶に粘り強い意志を
広島はあす6日、長崎は9日に原爆忌を迎える。原爆投下から59年もの長い歳月が流れたが、核廃絶への道は今なお遠い。それでも、悲惨な被爆体験を見つめ、核兵器なき未来をつくる意志を繰り返し確認する日に変わりはない。
今年、広島市沖の似島(にのしま)から原爆死没者の遺骨が相次いで見つかった。掘り起こされた遺品の数々は、原爆被害の底知れない大きさを改めて物語る。長崎では、原爆被害の実態を膨大な資料や証言で記録した「長崎原爆戦災誌」(全5巻)の改訂作業が始まった。新しく判明した事実は少なくない。
世界に目を向けると、北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議は続き、「朝鮮半島の非核化」への道のりは多難だ。リビアは昨年12月、核保有計画の全面放棄を表明したが、一方で、北朝鮮、リビア、イランに核技術を漏えいしたパキスタンのカーン博士らによる「核の闇市場」の広がりが露呈した。
国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、「核兵器製造ノウハウを持つ国は40を超えると推定され、(核兵器に転用可能な)高濃縮ウランも約100施設が使用中」と警鐘を鳴らしている。核拡散防止条約(NPT)に「抜け道」が多く、核の拡散を阻止できていないのが現実だ。
今年6月、米国で開かれた主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)は、核兵器など大量破壊兵器の不拡散に向けた行動計画で合意した。ウラン濃縮や核燃料再処理ができない国への機材や技術の移転を制限する方向で協調していくことになった。
だが、核不拡散について超大国・米国が他国の模範になってはいないのも事実だ。ブッシュ政権は、小型核兵器を研究し、生物・化学兵器の貯蔵庫などを標的とする「使える核」を造ろうとしている。今年の広島の平和宣言は、そうした米国の姿勢を「唯我独尊主義」と強く批判する。
世界108カ国・地域の609都市が参加する国際非政府組織「平和市長会議」(会長、秋葉忠利・広島市長)は昨年11月、2020年までに核廃絶を目指す緊急行動「2020ビジョン」を提唱した。来年5月の核拡散防止条約再検討会議などに向けて、自治体や市民が連携する行動計画だが、全米市長会議(1183都市)も今年6月、支持を表明した。非核の願いを込めてまかれたその「希望の種」を育てていきたい。
憲法改正への動きが高まり、日本の国家理念が問われている。それを踏まえ、広島の平和宣言では「平和憲法の擁護」を訴える。長崎の平和宣言では、政府に「非核三原則の法制化」と「北東アジア非核兵器地帯の創設」への取り組みや、核兵器に頼らない安全保障の道を探るように求める予定だ。
来年は被爆60年になる。被爆体験を風化するにまかせず、人類の歴史の「記憶」にとどめ、核廃絶への誓いを新たにする節目といえる。それに向けて、何ができるのか。そのことを考える「記憶と行動の一年」にしたい。
毎日新聞 2004年8月5日 0時12分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20040805k0000m070146000c.html