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社説:武器輸出3原則 業界の都合で「理念」曲げるな
武器輸出3原則を見直すべきだとの声が高まっている。
日本経団連が先に武器輸出3原則の見直しを求める提言を出し、新たな防衛計画の大綱を検討する首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」の議論でも見直し論が相次いだという。1月に石破茂防衛庁長官が見直しを求め、3月には自民党国防部会が政策提言の中でそう主張していた。
きっかけは、ミサイル防衛(MD)システムの導入だ。政府は昨年末に導入を決定したが、日米で共同研究したMDシステムは開発・生産段階になると、3原則に抵触する。だったら、この機会に3原則を大幅に見直すか、廃止することは出来ないか。こうした思惑が防衛産業や自民党国防族議員の間で渦巻いているのだ。
3原則は67年に佐藤栄作首相が表明した見解だ。共産圏や武器輸出禁止の国連決議対象国、紛争当事国などへの武器輸出を認めないことを原則にした。さらに76年に三木武夫首相が3原則の対象国以外にも武器輸出を慎むべきだとの見解を表明した。この結果、日本は事実上の武器禁輸国となった。
冷戦構造崩壊後、軍事情勢は大きく変わった。国際テロ組織も大きな脅威だ。技術革新が進む中で先端技術を取り入れた兵器開発のための国際的な共同研究の流れが生まれている。
自衛隊も新たな時代に対応できる兵器や装備を持たねばならない。だとしたら日本も各国の共同開発に後れをとってはならない。だから3原則・武器禁輸の見直しが必要だというのだ。輸出によって、先細りする兵器の生産体制を維持したいとの思いもある。
しかし、3原則・武器禁輸は「平和国家としての基本理念」である。このことは防衛白書にも書かれている。現実に平和外交のよりどころになっている。日本の軍事大国化に対する近隣諸国の懸念を払しょくし、軍備管理や軍縮問題で日本が一定の発言力を持てるようになったのは、国際社会に日本の平和国家としての理念が浸透したからだ。
その意味では、日本が国策として3原則を守ってきたことは、大きな意義がある。
それでも、3原則を見直すことが必要なのか。そんなことはない。防衛産業の振興と引き換えに平和国家としての看板を書き換えるという愚を犯してはならない。
政府は3原則に抵触するケースでも、例外的な措置として官房長官談話を出すなどして国民の理解を得てきた。
83年の対米武器技術供与や97年の対人地雷除去、00年の中国国内の遺棄化学兵器除去がそれだ。MDシステムに関しても同様の措置をとるものとみられる。
政府はそうした手続きを踏むことで3原則と平和国家としての理念を守ってきた。必要なら政府に例外的な措置をとるよう働きかければよい。
日本が武器輸出大国になる必要はさらさらない。平和国家としての理念を曲げてはならない。
毎日新聞 2004年8月6日 1時19分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20040806k0000m070161000c.html