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構造改革、グローバリズムと連動する、現在の改憲論の正体
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投稿者 外野 日時 2004 年 7 月 22 日 21:19:04:XZP4hFjFHTtWY
 

「ダカーポ」 2002/05/15号

 構造改革、グローバリズムと連動する、現在の改憲論の正体
                 インタビュー・文 斎藤貴男

━有事法制の国会審議入りも間近しと伝えられています。このまま改憲になだれ込みかねない雰囲気ですが、この動きをどうとらえるべきなのでしょうか。

渡辺 治 戦後の改憲論は、のべつ繰り返されてきたわけではありません。90年代から今日に至る波は、50〜60年代 前半、80年代前半に続く、3度目の流れになります。ただ今回の波は、改正試案が過去10年間に20本も出ているほどで、これまでで最も大きい。
 従来にはなかった特徴も目立っています。かつては保守傍流の領域だった改憲論を、現実の政治を担っている保守本流の人たちが積極的に主張するようになった。99年以降だけでも小沢一郎をはじめ、鳩山由紀夫、中曽根康弘、自民党橋本派、山崎拓といった政治家や、読売新聞や日本経済新聞など大手メディアが次々に試案や改憲に積極的な提言を発表しているんですね。
 全面改正論が盛んなのも際立った傾向です。9条についても自衛隊を合憲になどという話はもはや当然視されて いて、そこから先の海外派兵の正当化に焦点が合わされていますが、さらに人権規定の改正─知る権利やプライバシーなど、新しい人権を盛り込むべきとの主張が唱えられたり、首相公選制の導入や憲法裁判所の設置がうたわれるなど、議論のテーマがすごく広がったように見えます。

━それはどうして。

渡辺 グローバリズムの問題です。改憲論が60年代から80年代前半にかけて下火だったのは、国内生産と輸出を中心にした経済システムが安定していたからですね。平和憲法の理念を容認したわけではなかったが、企業社会や自民党政治にとっても都合が悪くなかったので、あえて触れようとはしなかった。
 ところが80年代半ばの円高を契機に、日本企業は生産拠点を海外にシフトし始めた。初めは市場に近いアメリカやヨーロッパから、次第に安い労賃を求めてアジア、太平洋へと展開し、現在は中国ですよね。そうした国々は開発 独裁政権で、税制上の恩恵はもちろん、労働組合は禁止だし、女性差別はし放題、環境基準も大甘。でも政治的に不安定な国が多い。インドネシアのスハルト政権が倒れたくらいですから、軍事独裁のタイやミャンマーも危ない。フィリピンはなお揺れているし、中国だって決して安心できない、と経済界は考えている。


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 自衛隊の海外派兵に重点を置いた小林節・慶応義塾大学教授(憲法学)による「私案」が登場したのは92年のことだった。翌93年に自民党憲法調査会がまとめた「中間報告」を読むと、改憲派の主張に伝統的な”占領軍の押し付け憲法”からの脱却論だけでなく、冷戦の終結による国際情勢の変化などを根拠としたり、海外派兵にかかわる 集団的自衛権を論点に挙げる人が増えていたことが分かる。
 やがて財界団体である関西経済同友会や経済同友会による国際貢献を強調した意見書の公表が相次いだ。日米新ガイドラインや周辺事態法の成立を見た後の2000年には日本経済新聞社が提言を発表し、憲法が制約してきた集団的自衛権の見直しを明確に打ち出すに至った。経済界の意志の反映と見られる。なお天皇制の強化について、経済界の提言はさほどの関心を示していない。

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渡辺 IJPC(イラン・ジヤパン石油化学)をご記憶ですね。三井グルーブとイラン政府がペルシャ湾岸のバンダル・シャプールに合弁で建設しようとした石油化学プラント。完成間際にイラン革命が起こって中断され、収まったと思えばイラン・イラク戦争。結局は撤退を余儀なくされ、三井物産などそのまま左前になってしまった。
 そういうことのないように、アメリカは第7艦隊を用意している。軍事的プレゼンスで企業の資産を守り、独裁政権を倒した新政権も自由主義的であればサポートして特権を維持する。日本は金だけでやってきたわけですが、今後はアメリカを中心としたグローバル秩序に対して一定の責任を果たさなければならない、とにかく軍事的に出ていって、進出企業のある国の政権とそこでの特権を守る、その一角に参加したいと政府は考えた。いわゆる”普通の国”論 です。

━海外進出企業のために派兵する、というシナリオですね。直接には自衛隊絡みでない部分の改憲論とも、グローバリズムは関係があるのですか。

渡辺 ええ。日本はグローバリズムのために新自由主義に基づく構造改革を進めてきました。企業の競争力を強化するための、規制緩和あるいは社会保障や教育のスリム化ですね。その結果、ホームレスや中高年の自殺者が激増し、ドメスティック・バイオレンスとか児童虐待が珍しくなくなった。犯罪が凶悪化する一方で検挙率は低下。オウム真理教のような新興宗教が若者の心をつかむ、といった状況が一斉に噴き出したわけです。一連の構造改革が予 想以上のダメージを社会にもたらしたのだと考えていいでしょう。
 長期不況のせいだと改革論者もマスコミも言いますが、違う。どれも空前の好況に沸いた90年代のアメリカで先行していた現象であることを考えてみてほしいのです。グローバル企業がもうけて景気が回復しても、構造改革で雇用は逆に減っていく。多国籍企業が海外で製造した商品が逆輸入されてくれば地場産業は壊れるし、中小企業の多くが下請けである日本では、大企業のリストラが、工場周辺の町全体を衰退させてしまいます。
 つまり既存の社会統合がグローバリズムのおかげで解体されつつある。だけれど構造改革はさらに進めたい。とすれば、従来とは異なる形の社会統合のあり方が必要だ、ということになった……。

━”新しい人権”論も、憲法裁判所などの諸制度改革案も、その一環である、と。

渡辺 当初は9条改正を国民にのませるための目くらまし、戦術的な色彩が強かったとは思います。首相公選論を言い出したのは50年代の中曽根さんでしたが、当時の彼はそうして国民的合意を取り付けた上で改憲し、本筋はその後でゆっくりやろうと主張していました。国民にアメをしゃぶらせないと自衛隊合憲化に手を付けられないという考え方がずっとあったのです。武力によらない平和への希求が、日本国民にはそれだけ根強くもあった。
 全面改正論が主流になった90年代の半ばでも、まだまだ戦術的な意味のほうが大きかったと思います。しかし最近はそれだけではないらしい。アメとしてだけの意味ならもっと多彩であるほうが自然だし、新しい人権論には、彼らにとって少なからぬデメリットも予想されますよね。人権と言えば以前は制限だけが打ち出されていたのですから。ここはやはり、新しい”国のかたち”、これまでとは違った国家システムが構想されていると考えたほうが筋が通ります。

━旧来の社会統合システムには、一応、機会均等の建前があったはずですが。

渡辺 企業社会と自民党政治の二つから成る、日本独特のスタイルでした。ホワイトカラーのみならずプルーカラーをも企業の昇進競争に巻きこんだ。首が切られることのない男性正社員労働者を統合の核に据えていくのが前者で、そこに入ってこない農村と都市自営業に金をばらまいて抑えるのが後者。国民をバカの集団ととらえて政治的エリートとしての官僚だけが君臨し、後は社会的エリートも養成しない、衆愚観に基づく非階層的支配だったのだと、私は考えています。
 グローバル化した企業社会はしかし、一気に階層化されていく。スリム化されて、正社員だった人たちも少数エリートを除いてパートや派遣に置き換えられてきた。競争力の弱い農民や自営業はつぶされます。そこでアメリカ式に、政治的にもそれなりの権利を与えられる社会的エリートが育てられ、彼らを中心に上からの支配が図られる。彼らは税制面での優遇を背景にボランティア活動もして、福祉国家を代替する役割も担うわけですね。
 ただし、新しい人権が認められるのは彼ら上層の強い市民たちだけです。下層の弱い市民は、”えせ弱者”などと呼ばれ、強力な治安国家によって徹底的に抑え込まれて、市民全体が連帯するような動きには監視の目が光る。アメリカは何も、9・11を境に変わったわけではありません。治安活動の強化を掲げた反テロ愛国者法のような流れは前からあって、あれで加速しただけのことですよ。


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 下層を管理・監視するための仕組みは日本でもほとんど完成されている。周辺事態法と同じ99年の国会でたて続けに成立した盗聴法(通信傍受法)や国民総背番号制度法(改正住民基本台帳法)によって構築される住基ネットワーク、あらゆる公的な身分証明と金銭のやり取りや移動を記録するICカードの普及など。あるいは警察が繁華街 やコンビニエンス・ストアに張りめぐらせつつある監視カメラ網が、市民の一挙手一投足を逐一監視するようになってきた。
 また個人情報保護法案や人権擁護法案、青少年有害環境対策基本法案などが今国会から次々に審議人りする予定である。メディア規制3点セットなどと総称されるこれらの法案は、口当りのよいネーミングとは裏腹に、行政が市民や報道機関の言論や表現活動に介人できることを謳っている。可決・成立すれば、多様な監視システムとも連動し、メディアだけにとどまらず、この国に住む人間の自由や尊厳は奪い尽くされることになるだろう。

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━市民という言葉が、近頃やたらと、それも支配層の側から乱発されている感がありますね。アメリカンデモクラシーなるものを、日本人が美化しすぎていた嫌いもある。

渡辺 彼らの言う市民とは、社会的上層だけですよ。簡単で単純な争点を提起して彼らを動員し、正当性を調達して権威による直接的な統合を進める歓呼民主主義、喝采民主主義。自由主義なのに国民総背番号や個人情報保護法で個人の管理を強めるのはおかしいなどという批判がありますが、全然おかしくない。福祉を切り捨てて「小さく」なった政府は弱者抑えこみのために「強く」なるのであって、優しくはならないのです。
 階層的な分裂を前提とした社会統合は、監視社会化のほかに情報公開や司法制度改革によっても進められることになります。司法を金のある市民には使いやすくしてやるが、組織化された労働組合やマイノリティーの政治運動は厳しく規制しておく。国や企業を訴えにくくする弁護士費用の敗訴者負担制度など典型的な手法でしょう。改憲論に出てくる憲法裁判所にしても、要するに憲法判断についてのペンディング案件が多いから、一つひとつの立法に迅速な合憲判断を下してしまえるようにしたい、と。早い話、自衛隊の合憲判断も、最高裁だと出しにくいが、憲法裁判所ならすぐに出せてしまえるわけです。

━ネオ・リベラリズムとネオ・ナショナリズムの合作による改憲潮流。とはいえ、この間には単純な右翼ナショナリストたちの影響も大きかったのではないですか。

渡辺 グローバル化に伴う軍事大国化が志向され始めた90年代の初頭、支配層には3つの障害物がありました。まず日本国憲法。次に国民の平和意識はなお高く、またアジア諸国からの反発も厄介だった。そこで憲法とナショナリズムには触れないで、日本の平和は世界の平和のおかげで成り立っているのだからと国際貢献が強調されたのです。中でも徹底していたのが小沢一郎さんの議論でしたね。それからアジア諸国に対しても、外務省は一定の反省は示してみせた。金で済むならと、ばらまいても見せました。
 こうした動きに強く反発したのが自民党のタカ派や自由主義史観グループのような集団です。天皇に謝罪させたり従軍慰安婦を認めていったら、日本はどこまでも後退してしまうぞ、とね。ただ、彼らも復古的なナショナリズムとは違っていた。戦前型の天皇制に戻せとは西部邁さんでも言わないし、一部の例外を除けば日米同盟も、女帝も認めている。筋論で詰めれば変なのですが、彼らもネオナショナリズムの特徴を備えているということです。グローバリズムも軍事大国化も階層社会も認める点では共通している。ただし細かな方法論、それだけでは治まらない社会統合の支配の仕方で違いが生じるわけですよ。

━いわゆる抵抗勢カとの関係性。

渡辺 どちらも弱者を切り捨てる点は同じです。生産性が低く危機に瀕している産業をまっとうに再生させたり、人間らしく生きていけるようにしてやるつもりはない。といって抵抗勢力は、それだけでは支持基盤を失ってしまいますから、つぶすけれども公共事業なりで金をばらまく。そんなムネオ的なやり方は、だけどやはりいけない。
 これと一緒で、確かに日本には反米意識の高まりがあります。ただしそれは、同じ強い者同士の間で従属していることへのひがみというか、より強い親分に対する反発みたいなもので、平和主義や反ナショナリズムには備わっているアジアとの連帯とか、そういった理念や運動には結びついていかない。

━結局は、より多くの層をひとつの方向に巻き込んでいくことにしかなっていない。対米従属の軍事大国化に反対しているつもりの人たちも、かえって保守本流の意志を補完する結果にしかなっていないとすれば、私たちはどうすればよいのでしょうか。

渡辺 自衛隊の海外派兵も含めて、改憲が目指すグローバル企業中心の社会統合によって受益する層というのはかなり小さいという実態が理解される必要があります。日本の給与所得者は約5600万人で、このうち連合傘下にある大企業の労組員が710万人。でも300万人近くは女性労働者ですから、残るのは約400万人か。
 この人たちの家族を加え、女性労働者の分をやり繰りして計算すると、グローバル大国の受益者は最大限に見積もっても1000万人も残らないんですね。他の中小零細企業の労働者や農民、都市自営業者は切り捨てられて干上がるだけ。日本が構造改革を進めグローバル軍事大国になっていくほど、貧しくなる層が確実に増えていくはずです。
 下層に追い込まれることになる圧倒的多数の人々が、しかし政治的には力を持てていない。高齢者医療のために働く人の金が使われている、農民や自営業者を保護するために消費者が、団塊の世代のリストラを抑えるために若いヤツが犠牲にさせられているんだ、などと強調されて、あらゆる層がマイノリティーとして対立させられている構図があるからですね。そうして分断された各層を、現在は自民党の抵抗勢力が吸い上げてはつぶされている。この構造からなんとか脱して、オルタナティプな(現状にとって代わるべき)社会構想としてまとめあげていくことが大切だと思います。
 アジア太平洋地城におけるグローバル企業の活動は野放図そのものです。これを認めてしまえば大国化は不可避ですから、彼らがいかに途上国の経済をぶち壊し、国内の経済を駄目にしているのかを明確にして規制をかける。その上で農家や都市自営業を保護する。そして両方を生き返らせていくしかない。
 そのためには欧米の反グローバリズムの世界的運動と連携する必要があります。彼らには不足しているが日本ではまだ強い平和運動や、個人加盟の労働組合運動などが互いに交流して世界の軍事紛争を縮小していく方向に持って行かないと、日本国内だけで9条を言ってみても非現実的になるだけでしょうね。

━ありがとうこざいました。確かにそれしかないと私も思います。いかに困難であっても、大企業の利益とそこに連なる支配層の手駒として戦争に明け暮れさせられる人生など真っ平ですからね。
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 こんな法案を仕掛けられるメディアや私たちの状況こそ、「有事」だ
                     斎藤貴男(稿)

 一瞬、我とわが目を疑った。四月十七日付の朝日新聞朝刊社会面(東京本社最終版)。いわゆる有事法制関連三法案が閣議決定されたことについて、夜の銀座で十人に聞いたら、こんな答えばかりが返ってきたそうな。
「さあ聞いたことない」「何のこと?」「分からない。パス」「字も浮かばない」「よく分からないが、有事に関することだと思う」「有事っていうから有事のことだと思う」……。
 最低限の意味を承知しているらしい人はわずか三人、うち自分の考えを述べていたのは、七十代の男性が一人だけ。「絶対許せない。あんな法律」。
 つくづく虚しい。メディアのジャーナリズムのと吠えてみたところで、これが大勢だというのなら、話しにも何もならないではないか。紙面作りも大変だよなあと記者やデスクに同情したが、<「有事」見えず戸惑い>の見出しがついた本記に目を移したとたん、今度は椅子から転げ落ちそうになった。
 有事三法案が成立すれば、政府の判断次第で通信や輸送など、”指定公共機関”で働く民間人も動員される。そこで各業種の関係者に取材した記事なのだが、他の文もコメントも、こんなのばっかり。
 ……”有事”の中身が見えない。災害時の対応は決まっているのに、改めて義務を課される必要性を感じない。有事より経済政策を急ぐべき。慎重な議論をお願い。具体的な内容がわからないので職場でも話題にならない……。
 なんでこんなに抑えて書くの?見えるも見えないも、要するに誰彼構わず戦争に狩り出され、服従しなければムショ行きだって以外に、どんな解釈のしようがあるんだよ。
 すぐ横に載った作家・辺見庸氏のコメントが泣いていた。「全身が震えるほど強い怒りを感じる」「9・11テロ以降の米国の戦争政策にタカ派小泉内閣が無批判に従属し、かつ悪のりしているからだ」。これだって従属とまで断じてよいのかだのキツすぎるだの何だのと指図されて、何度も何度も書き直させられたあげくの文章なんだろうなあ。この日の朝日は、一面以下八面を費やして有事法制報道に当たっていたのだが、いちいち行間まで読み込まなければわからない、ややこしく小難しい記事ばかりが目立った。”有事”のシミュレーションにしても、細部にこだわりすぎ。 生命保険の約款でもあるまいし、読者を煙に巻くのが狙いかい、と私は思わず叫んでいた。
 だがしかし、それでも相対的には「さすがは朝日」なのである。他の全国紙はどうだったかというと。
 毎日新聞は「なんだかなー」という感じ。特に「あいまいな法制許されぬ」と掲げた社説など、戦争に狩り出される側の人間一人一人の命を除くあらゆる関係各方面への気遣いばかりが全編を貫いていて気疲れした。で、結論は「国民が十分理解しなければ、首相の命令も実効が伴わなくなる」なのだもの。要は政府への貴重なアドバイスだったというね。
 日本経済新聞はおざなりの一語に尽きる。読売新聞と産経新聞は報知新聞のジャイアンツ報道みたいなものだから改めて語るべきこともないけれど、迅速な意思決定のカギは首相率いる安保会議だとして、<最も重要な判断をするためだ>。自衛官に武器の使用を認めたのは<突然の攻撃に反撃できるようにするためだ>と畳みかけた読売は、新聞というより防衛庁パンフのQ&A。一方の産経一面、突如として武装工作員が上陸してくる小説仕立てのフィクションには笑った。筆者は麻生幾氏だったろうか。
 もっとも広報にはそれなりの読み方もあるもので、読売が載せた安倍晋三・官房副長官のインタビューからは、「マイナー自衛権」への当局の情熱がよくわかる。ちなみに彼、岸信介・元首相がお祖父様、安倍晋太郎・元外相がお父上というオボッチャマ君であらせられる。戦争になったって絶対に死なないお家柄なのだ。
 今回、有事法制絡みで比較的まともな報道をした全国紙(?)は、『赤旗』だけである。閣議決定の翌日は何ということもなかったが、その三日前の十四日付が、読者に噛み砕いて事の深刻さをよく伝えていた。
<つまり、米国が戦争をおこしたら、相手国から日本への武力攻撃が「予測される」として、有事立法が発動される危険があるのです><しかも、有事立法が発動する「武力攻撃事態」の認定は、政府まかせ。国会を排除し、首相などの勝手な判断で認定できる仕組みです><マスコミには報道の自由がなくなります。警報や政府発表の情報をたれ流すだけでなく、キャンペーン番組や関連番組の編成を求められます><「国民は…必要な協力をするよう務める」と義務化を明記しました。国民を強制動員する根拠づけを行いました>等々。
 断っておくが私は共産党員でもシンパでもない。シベリアに十一年間も抑留されていた親父の遺言でね。というわけでもないけれど、国家も政府も所詮は必要悪。大切なのは個人の命と自由と尊厳であって、その結果としての社会なのだ。ただ『赤旗』の報道はよかったから褒めたい。それだけのことである。
 それにしても不思議でならない。有事法制と経済のグローバリズムとをきちんと関連づけた報道が、どうして皆無なのか。海外に展開するグローバル企業の資産を守るため、各国のカントリーリスクの芽を自衛隊を派兵して征圧したい。または征圧に赴くアメリカに追随したい。政府が立法化を急ぐ理由はそこにあるのだと、少し気のきいた記者なら誰でもわかっているはずなのに、どこも書かないからリアリティがない。各紙が伝えるマンガじみたシミュレーションは、あり得るとすればその先の光景であるはずなのだ。
 騙されたくない向きには、本号38ぺージを参照されたい。現段階で最も本質を把握している政治学者に私自身がインタビューしてみた。
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