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徒然なるままに
・・・喜多 武司・・・
仕事からみとはいえ、ひとりの人間の死を観てきた。元気一杯だった人間が突然気持ちが悪いと言い、嘔吐をし昏睡状態にはいる。そして倒れて9日目に脳出血が原因で亡くなられた。59歳だった。
奥さんが突然眼に泪をうかべる。そばにいて居た堪れない気持ちになる。ひとの「死」とは周りの親族にどれだけダメージをあたえることか。家族がどれだけの悲しみのなかにいるのか、ということは判っているはずなのだが、加入していた保険会社が「先天性」の疑いあり、と難癖をつける。商売とはいえ、精神的に参っている最中に家族に向けて事務的に電話のむこうで一方的に保険会社の主張をはじめる。一文も払わない、というんだ。
よくこんな仕事ができるもんだ。そういえば19歳のころ、よく遊んでいたので、地元ヤクザとも顔見知りになる。ちょっと付き合わないか、といわれサラ金の取立てに立ち会ったことがある。バラックまがいのおんぼろ長屋の一軒を壊れんばかりにたたく。なかから3歳ほどの男の子と乳児を背負った奥さんがでてくる。旦那はとっととトンズラをきめこんでいた。擦り切れた畳に額をつけんばかりにして「明日中にお借りしたお金はなんとかしますから待ってください」と言っていた。
暴力こそふるわなかったもののヤクザは暴言の限りを言い尽くし、その家をでた。男の子がブルブル震えながらお母さんの背中に隠れて、右目だけをヤクザに向けていた。その眼光の鋭かったこと。あの子は今どうなっているんだろう。
弱いものをいじめるものは人間のクズだ。しかし個人対個人だとわかりやすい構図でも組織となると話は大きく変る。ブッシュの戦争のために使われる兵器の部品をつくっている会社が日本にあるな。環境破壊の元凶になる製品を造っている会社がゴマンとあるよな。そこでの高給のために働いている人間は、このヤクザと同じレベルのことを全人類にむかっておこなっているんだ。そんなことは思考停止して、自分さえよければいいとばかりに小さな幸せにしがみつく小市民的生活を送っているのが大多数の日本国民なんだ。
おれも例外ではない。しかし少なくともおれは思考停止をしていない。自己矛盾をなんとかできないか、と日々かんがえている。「思考停止」にならないようにすることを自分に課している。決して弱者とはいえない日本国民として、だ。
不況・不況といってもアメリカにつぐ世界第二の経済大国だ。日本国民である以上、それなりの経済的影響をうけるのが自然の流れだ。しかしおれはまともに一生懸命はたらいても食うことにも事欠くという地球規模の現実世界のことを、つねに心の片隅に入れておく。すくなくとも個人の考えの変化が、社会のありようをすこしでも変える原動力になると考えるからだ。
それにしても生れて死ぬという自然の摂理のなかで、「死ぬまでに何をするのか」ということが人間存在の意義であり、そのなかでどれだけ自分らしく生きるのかが問われるということでもある。
2004年7月18日 喜多武司
http://perso.wanadoo.es/takeshi/tsurezure040719.html
※ 喜多武司氏のホームページは
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