現在地 HOME > 掲示板 > 戦争57 > 798.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
7月19日付・読売社説(2)
[大量破壊兵器]「検証すべき『情報』の深刻な欠陥」
イラク戦争の正当性まで否定するものではないだろう。しかし、米英両国政府にとっては、手痛い失点である。
イラクの大量破壊兵器に関する情報を検証してきた米国の上院情報特別委員会と、英国の調査委員会が、「(情報に)深刻な欠陥があった」とする報告を相次いで発表した。
イラク開戦前、ブッシュ米大統領は、サダム・フセイン政権の脅威の一つとして、「大量破壊兵器の隠匿」を指摘していた。生物・化学兵器を大量に備蓄し、核開発も進めている、とする情報機関の分析評価が根拠となっていた。
だが、フセイン政権崩壊後も大量破壊兵器は見つからなかった。戦争に至る重要な情報が間違っていたとすれば、見過ごせない問題だ。米英が情報の検証作業を進めてきたのは当然である。
米報告は、米中央情報局(CIA)が一九九八年以降、イラク国内に情報源を持っていなかったと指摘している。「移動式生物兵器製造施設」の情報源も、一人の亡命者に過ぎなかったという。
情報分析官も、「大量破壊兵器があるはず」という憶測から、曖昧(あいまい)な情報を断定的な証拠と評価していく「集団思考」に陥った、と厳しく批判されている。
大量破壊兵器に関する情報は誇張されていたわけだ。だが、ブッシュ米大統領もブレア英首相も、イラク戦争の正当性は変わらない、としている。
イラク戦争について言えば、フセイン政権が、安保理決議を履行してさえいれば、回避できたはずである。
フセイン政権は、イラク・イラン戦争や国内クルド人弾圧で、化学兵器を実際に使用した。湾岸戦争の停戦後には、国連査察の結果、核兵器や生物兵器も秘密裏に開発中だったことが判明した。大量破壊兵器の廃棄を検証しようとした国連の査察も、再三にわたり、拒否した。
戦争を招いた責任は、フセイン政権にあったと言うべきだ。日本が米英を支持したのもそのためだ。
米英の情報機関が政権上層部の圧力を受けて、イラク攻撃を正当化するために情報を意図的に歪曲(わいきょく)したのではないか、とも疑われていた。これには、両報告とも「証拠はなかった」としている。
だが、大量破壊兵器に関する不確かな情報に依存していたことが明らかになった今、ブッシュ、ブレア両政権は、自らの信頼性が揺らいでいるという現実を真摯(しんし)に受け止めねばならない。率直に事実関係を説明することも必要だろう。
最重要課題であるイラク再建と「テロとの戦い」を進める国際協調を損なわないためにも、それは必要だ。
(2004/7/19/01:27 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040718ig91.htm