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解説:イラク戦争・英報告書 「集団の責任」で幕引き−−開戦真相、一層不透明に
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20040715dde007030020000c.html
14日公表された英の独立調査委員会報告書(バトラー報告書)は、イラクの大量破壊兵器に関する情報について「深刻な欠陥」を指摘したが、その一方で英情報機関のこれまでの実績を高く評価し、イラク情報の収集・分析に関する失敗は個人の責任ではなく、関係者すべての関与した「集団作業」が生み出したものだった、と断定した。戦争という重大な政治決断を検証するに当たり、判断ミスは全体責任という形で済ませたバトラー報告書の結論は、開戦の真相を一層不透明にするとの指摘も出かねない。
バトラー調査委員長は記者会見で「個人的に責人を負うべき者はいない。集団作業で失敗があったのであって、政府側に(国民を)誤った方向に導く意図があったわけではない」と述べた。
また、イラク戦争の開戦根拠とされた「イラクが45分で大量破壊兵器配備」情報を根拠なしと認定しながら、情報評価・分析を受け持つ合同情報委員会(JIC)のスカーレット委員長については報告書であえて「我々の結論が辞任要求を引き起こすかもしれないが、彼がそうしないよう強く望む」と書き、批判の強い同氏の新MI6(情報局秘密情報部)長官就任人事を後押しした。
バトラー委は、ブレア政権のイラク戦争参戦に至る政治判断の背景には踏み込んでいない。あくまで情報の収集・分析・判断のプロセスの客観評価が権限の範囲だった。にもかかわらず、MI6長官人事にまで「介入」したことは委員会の権限を超えるものともいえ、スカーレット氏を任命したブレア首相のめんつを保った形にもなった。
同報告書は、45分情報の間違いについても「まれな例外」とした。ブレア首相についても「誠実に行動した」と全体では評価している。
バトラー報告は、情報収集・判断の「深刻な欠陥」を批判しながら、誰も傷つけずに終わった。誤った情報で開戦判断が下されたとしつつ、誰が間違った情報を収集し、誰が判断を間違ったか、という領域には踏み込まなかったことが、ブレア首相の任命人事だったバトラー委員長の限界を示しているようだ。【ロンドン小松浩】
毎日新聞 2004年7月15日 東京夕刊