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イスラエル、「違法の壁」判決に対してハーグに牙を剥く(エル・ペリオディコより)
本日のカタルーニャ地方紙エル・ペリオディコは、A3番大きさの第1面のほぼ3分の2の面積を使って、ヨルダン川西岸のイスラエル・パレスチナ分離壁の写真を載せています。高さは10メートル以上あるでしょうか。写真のほとんどが灰色のコンクリートの断崖絶壁で、その下にたたずんで壁を見上げるパレスチナ老人の小さな姿が写っています。
その写真の上には『イスラエルはハーグの国際司法裁判所の「違法の壁」判決に噛み付く』という大見出しがついています。ここで「噛み付く」と訳した言葉は”desafía”という単語で辞書的には「〜に挑戦する」「〜に戦いを挑む」といったような意味ですが、ここではやはり「〜に牙を剥く」とか「〜に噛み付く」と訳したほうが似合うでしょう。この記事の内容は、翻訳して後のほうでご紹介します。
日本の新聞報道を電子版で見ますと、読売、産経、共同などが「分離フェンス」などという言葉を使っているのですが、卑怯ですよね。実に卑劣です。「フェンス」というと日本語ではせいぜい一戸建ての家と家を分ける金網で作られた向こうが透けて見える垣根のイメージなのですが、実際にはどんな刑務所の壁よりも高くて分厚いコンクリートの塊です。こんな言葉遣い一つで読む者をマインド・コントロールするわけです。薄汚い報道だ。まあマインド・コントロールされるほうも要するにノータリンですけどね。スペインのマスコミはすべて”muro”という言葉を使っていますが、これは城などの回りを囲う石や土を使った分厚い頑丈な壁のことです。そのとおりです。
スペインの各新聞・テレビのイスラエル・パレスチナ問題に対する姿勢はさまざまですが、起こった事件をそのまま(およそ起こった順にほぼ公平に)伝えていると、ごく自然に圧倒的にイスラエルの無茶苦茶ぶりの方が強調されてしまいます。親イスラエルのベルルスコーニが株を乗っ取って経営するテレ・シンコのニュースですら、泣き叫ぶパレスチナ人の目の前でその家をぶっ壊し、「パレスチナ人ゲットー」にアパッチからミサイルをぶち込んで瓦礫と血まみれの死体の山を築き、逃げ惑う子供を戦車から撃ち殺すイスラエル兵の姿を、テレビ画面で繰り返し映します。
これはたぶんヨーロッパではどこでも同じでしょうが、ゴールデン・タイムの茶の間で週に2,3回はこんな場面を見ていると、ヨーロッパ人がどんな心情になっていくか、およそ想像はつくでしょう。これを「反イスラエルになるように世論誘導している」と言えるかどうか、パレスチナ過激派による爆破テロも同様に血みどろの死体まじりの映像を「平等に」放映していますから、特にそうともいえないでしょう。逆に、アラブ系の英字新聞などを参照すると、むしろ実際に起こっているイスラエルの残虐行為の放映や報道を間引いて自主規制して何とかイスラエルへの反感を最小限に抑えようとしているようにすら思えます。それでもこんな報道にならざるを得ない、それほどイスラエルのやっていることは悪逆無道なわけです。
スペインでも特に、数百年間マドリッドのカスティーリャ民族に支配され長期間その民族言語や独自の法を奪われてきたカタルーニャ民族の間では、圧倒的にパレスチナ人に対する支持と同情、イスラエルに対する反感が強いようです。カタルーニャTVは一応どちらのソースも取り上げますが、やはり必然的にイスラエルの横暴・残虐ぶりが大きく表に出てこざるを得ません。バスクのテレビは見たことが無いのですが、多分バスクでも同様でしょう。
欧州のかなりの国で反ユダヤ主義がご法度になっているにもかかわらず、イスラエルとユダヤ人に対する反感が近年特に高まっているのは、マスコミが自主規制したくてもできないほどの量のイスラエルの凶暴性を表す事実があるからで、しかも欧州人がいやでもこの問題に関係せざるを得ないことを知っているからです。日本と違ってそこのテーマは身近で実感できるものなのです。
現在のいわゆる「イスラム・テロ」の元凶がイスラエルであることは常識であり、また恐らくアウシュビッツ等の現代史についても多くの人間が薄々胡散臭さを感じているのでしょう。いくら教育や出版界・マスコミによって「ホロコースト」を叩き込まれても、目の前で繰り広げられる「反ユダヤ主義」に対するユダヤ人(シオニスト)の「ホロコースト」を盾に取った大げさな反発と、「反ユダヤ主義」を言論の自由に反してでも「犯罪」にする大戦後の法律、そして何よりもイスラエルの凶暴性を見ていると、少々鈍い者でも「???」とならざるを得ないわけです。
長いものに巻かれて知的好奇心を萎縮させる傾向の強い(つまり奴隷根性の強い)日本人と比べると、近代科学哲学を生んだ欧州人は「本当のことを知りたい」という欲求が圧倒的に強いように思います。恐らくこの問題に関して一番事実が伝えられていない、または知りたがらないのは、日本人とアメリカ人でしょうね。
特に日本には「歴史の被害者である可愛そうなユダヤ人たちの味方」を自称することで自分を権威付けて自分の立場を作る腐り切った知識人と、それに連なる「金魚のフン」が多いようですからね。これはユダヤ人だけではなく部落や朝鮮人などに関しても同様です。こういったヤカラが多いから、ソーカとかトーイツとかオームなんかが大手を振って歩けるわけですね。日本列島「百鬼昼行図」といったところでしょう。(こんな投稿をすると「金魚のフン」どもからのレスがいっぱいくっ付きそうですね。楽しみに待っています。)
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(7月10日付エル・ペリオディコ電子版)
近東紛争//国際司法裁判所の歴史的判決
『イスラエルはハーグの国際司法裁判所の「違法の壁」判決に噛み付く』
・ 米国以外のすべての判事は壁の取り壊しとパレスチナ人への補償を強く求める
・ イスラエル政府は判事たちのテロへの無関心を非難し、アラファトは「勝利」を宣言
ジュアン・カニェテ・バイレ :エルサレム
非常に明確で確信に満ちた形で、疑いの余地を残さずに、ハーグの国際司法裁判所は昨日、ヨルダン川西岸にイスラエルが建設中の壁が「国際法に違反して」おり取り壊さねばならない、という判定を下した。この判決は、拘束力は無いが国連に対する合法的な勧告であり、イスラエルは「東エルサレムの内外を含むパレスチナ占領地の壁の建設を中止する」そして「建設の段階で影響を受けたパレスチナ人に対して賠償金を支払う」という義務を負う、と定めている。
この判決は、中国人のShi Jiuyong所長によって2時間かけて読まれた55ページの文書であるが、15名の判事のうち14名によって承認された。ただ一人反対したのは米国人の判事Thomas Buerghenthalであり、彼は、1949年のジュネーブ協定にサインしたすべての国々がイスラエルに国際人道法を満たすように強く求めるように求めるとした点において、オランダ人の判事の同意を得た。つまり、イスラエルにこの判決を満たすように圧力をかけるように、ということである。
[パレスチナ人の権利]
判事たちはイスラエルが国際法を犯しているみなしている。イスラエルがパレスチナ人たちに対して「自決、仕事、健康、保護、教育そして移動の自由」の権利を奪い取っているからである。壁を作ることによってアリエル・シャロンは強力な占領者となりその義務を果たさない、と判事たちは考える。判決は同様に壁の建設は「軍事的な要求や国の治安という理由によっては正当化できない」と明言している。
さらに、判事たちはパレスチナの領土を併合するに等しいものでありうるとしている。そしてそれはすでに「永続的にそうであるとする既成事実」を作っている。最後に判決は、司法裁判所が壁を裁く権限を持っていないとするイスラエルの主張を退け、国連にその建設を中止させるための動議を検討するように訴えている。
このような結果が出ることは予想されていたとはいえ、この判決はイスラエルを非常に怒らせている。シャロン政権は最初にこの決定を尊重する気はないと述べ、次に判事たちに対して、「パレスチナのテロリズム」を全く計算に入れていないという主張で、総攻撃を展開した。「この決定は歴史のゴミ捨て場に放り込まれるだけだろう。この裁判所はイスラエルの自衛という権利を否定する不当な判決を出した。」と、シャロンの第一秘書ラアナン・ギッシンは言った。「この裁判所はあらゆるモラルの基準を失いテロリズムについて何もしないというのだ」と、政府ナンバー2のエフッド・オルメルトは強調した。
[アラファトの喜び]
一方、パレスチナの反応は対照的だった。「これはすべての自由な国々にとって歴史的な勝利である。」とヤシル・アラファトは語った。「これはイスラエルに対する痛撃である。歴史的な日だ。」このように首相のアーメド・クレイは宣言した。「イスラエルは今日から無法国家というようにみなさねばならない。」とアラファトの秘書ナビル・アブ・ルデイナは断言する。パレスチナ大統領とクレイはすでに国連の中で、総会と安保理事会がイスラエルに対する制裁を決議するように、作業の準備をするように申し入れた。
これは壁を巡る新たな合法的な戦場となるだろう。そしてすでにこの判決に対してイスラエルは尊重しないとしている。また安保理事会の中でイスラエルは制裁を避けるために、1971年の南アフリカに対してのように、米国の拒否権をあてにしている。その後、ハーグはナミビアの占領は違法であると判定し安保理事会はプレトリアに対する制裁決議を行った。アメリカ合衆国のイスラエルに対する援助を表明するように、ホワイトハウスは昨日この判決を非難し、国際司法裁判所は壁の建設について発言する場ではないと語った。
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現代世界の2大テロ国家であるアメリカとイスラエルが「テロを無視している」とおっしゃるのだから臍が茶を沸かす。まあ、これで「米・イvs他の勢力」という対立構造がますます明確に作られてくるのでしょう。ブッシュ君、「ハルマゲ丼」はどんなお味かな? あまり食いたいとも思わないけど。
一応「公平」に双方の言い分を書いてはいますが、第一面のほとんどを使っての圧倒するような分離壁の不気味な写真と、その上の大見出し、そしてこの記事の第1段落を見れば、エル・ペリオディコ紙の主張は明らかです。カタルーニャ人のイスラエルに対する反感はいやが応にも高まるでしょう。湾岸戦争の「油まみれの鳥」などとは異なり、この分離壁の写真はでっち上げではありませんので。