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NHKの偏向報道(?) 2004/07/07
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イラク占領統治期間中もっとも有名となった武装組織と言えばマフディー軍である。
ムクタダ・サドルは、米軍への攻撃停止には合意しつつも、マフディー軍の解体を拒み、1月の国民選挙で権力に食い込むことを望んでいるという。そこには、武力を背景として国内での自己勢力の安定を図ろうというアフガン軍閥に共通する心情を読みとることができる。
「クローズアップ現代」というNHKの番組(海外放送30日放送分「イラク主権移譲、進まぬ復興」)では、マフディー軍は、サドル・シティーでの自警団活動、住民への配布食料の護衛、警察との連携など正義の反占領抵抗運動であり、また、隊員の1人は入隊動機を「米兵がイラク人少年を撃つ姿に黙っていられなかった」と語ったのを紹介していた。
しかし私は、マフディー軍の実態は自己顕示欲に駆られたムクタダ・サドルという宗教家として未熟な男の下に有象無象の犯罪者や将来への絶望感から過激思想に走った貧困層の青年が寄り集まり、対米武力闘争による以外に存在意義を示せない集団であることを知っている。(ムクタダが「対米攻撃を停止する代わりに宗教的高位の称号をよこせ」と大アヤトーラ・シスターニ師の側近に持ちかけ、同師を激怒させたのは有名な話である。)
同番組は、マフディー軍が「正義の組織」に見えるよう巧妙に編集されていたが、墓地の場面はスンニ派のもの(おそらくファッルージャ近郊)であり、マフディー軍とは無関係である。マフディー軍がサドル・シティーの自警団を名乗っていたのは占領統治開始初期の一時期であり、直ぐに「通行料」と称して住民からも金品を巻き上げ始めた。食糧の輸送・配給(WFPによるもの)を警護していると自称していたが、実際は食糧配給を支配し、自分たちに批判的な人間を黙らせるための手段であった。
確かに米軍との戦闘が激化する中、前出の隊員のように「家族や町を守りたいから」として入隊した若者も多かったし、月給200ドルという高給が魅力(昨年8月の段階で、一般成人男性の収入は100ドル/月程度であった。資金源は不明)であったことも確かだが、戦闘が下火になり、組織の無軌道ぶりや前述のようなムクタダの強欲に嫌気がさし、マフディー軍を去る者も多かったという。
米軍は、侵攻当初はシーア派出身の同軍の行動を大目に見ていたのだが、次第に横暴になる彼らを威圧しようとして失敗し、彼らと交戦せざるを得なくなったのである。(米占領軍の施策がいかに稚拙だったか、この点だけでも判る。)
既にイラク国内で彼らを支持する勢力は皆無と言ってよい。だが、イラク人(に限らずアラブ人)は熱しやすく冷めやすい。“ほとぼり“が冷めればムクタダ・サドルが1月に予定される選挙で立候補することは十分可能である。その時までに彼とマフディー軍が少なからず成長し、シーア派の聖地を混乱させた“若気の至り”から去れるかどうか? 私には“Yes”と答える自信はない。
イラク復興事業の中でも大規模で利益の上げやすい事業をアメリカ企業(ユダヤ資本も多く含まれると言われる)が独占し、イラク企業に事業の主体性も利益も与えない計画が、イラク人企業の不満を高めているのは真実である。
「アメリカの占領施策が失敗でありながら、復興事業を米企業が独占するのは許せない。」と言う意見には賛成するが、一方で“反米=正義のレジスタンス”“占領の終結=米は軍民とも即時撤退すべき”といった反占領派の主張に視聴者を誘導するベクトルでの番組編集は、「米軍には早く出て行ってほしいが、治安の回復に彼らの力がまだ必要」というジレンマを抱えながら、暫定政府が約束した「社会秩序の早期回復」努力に望みを託すしかないイラク一般大衆の現実とは乖離した偏向報道ではないかと疑わざるを得ない。
資料提供 テレビ放送
NHK World(日本)
Al Jazeera(カタール)
新聞紙
International Herald Tribune(中東版)
Asharq(イラク日刊紙)
(東堂一)
http://www.janjan.jp/media/0407/0407016328/1.php
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swan_slab注:東堂氏は元バグダッド在住、現ヨルダン在住の商社マンかODA関連会社役員と思われます。