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http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040705205.html
米国の軍事基地の一部で、新たな安全保障上の脅威が出現している。その脅威は、どういうわけか『コカ・コーラ』の缶のように見える――そう、夏の販促キャンペーンの一環として特別に作られた、携帯電話とGPSチップ内蔵のコーラ缶(日本語版記事)だ。一部の軍事施設では、この缶コーラが盗聴に使われる可能性があるとして問題視され、対策がとられ始めている。
このキャンペーンを展開する世界最大の飲料メーカー、米コカ・コーラ社は、こうした懸念は、炭酸のごとくすぐに消えるとしている。
同社の広報、マート・マーティン氏によると、この「当たり」缶は『思いがけない夏』(Unexpected Summer)と銘打たれた夏のキャンペーン向けに作られたものだが、普通のコーラ缶と見間違えられるわけがないという。
「当たり缶は見かけがまったく異なる」とマーティン氏は話す。当たり缶には、表面の少し窪んだ部分にパネルがあり、そこに大きな赤いボタンがついている。「携帯電話だということは、一目瞭然だ」
この特別なコーラ缶は、赤いボタンを押すとスイッチが入り、コカ・コーラ社のキャンペーン本部にのみ電話がつながるようになっているという。また、GPSチップから送信されるデータも、キャンペーン本部でしか受信できない。キャンペーンの賞品は、現金、ホーム・エンターテインメント・センター、SUV(スポーツタイプ多目的車)などとなっている。
「この缶が、盗聴に使えるわけがない」とマーティン氏は言う。
にもかかわらず、ケンタッキー州フォートノックスの米陸軍装備センターなどの軍事施設では、機密扱いの会議にコーラ缶を持ち込む場合には、事前によく缶を調べるようにと、兵士たちに呼びかけている。
同基地の広報は次のように述べた。「缶を開けて確かめ、GPS装置が入っていたら会議には持ちこまないようにと伝えている。別に販売されている缶をいちいち調べるわけではない。これはごく常識的なことだ」
オハイオ州デイトンにあるライト・パターソン空軍基地の広報は、基地内の一部の建物や会議室では、私物の電子機器の持ち込みが禁じられていると話した。
「今回のコカ・コーラ社のキャンペーンについて周知徹底し、こうした機器が(禁止区域に)持ち込まれないようにしている。万が一、この缶が禁止区域のどこかで見つかった場合には、絶対に電源が入らないようにした上で、持ち主に返し、自宅で電源を入れるようにと伝える。これは、基地内のすべての人員の安全を守るために必要な措置の1つにすぎない」
海兵隊でも、すべての隊員がこの缶について注意を受け、安全上注意を要する区域へは持ち込まないようにと伝えられたという。
テクノロジー関連の調査を手がける『未来研究所』(IFTF)のリサーチ・ディレクター、ポール・サッフォ氏は、今回のコーラ缶に関する懸念を、米中央情報局(CIA)が言葉を話すぬいぐるみ『ファービー』をかつて禁止した一件になぞらえた。
「軍の幹部が、夜も寝ないで心配しなければならないことは、確かにある。しかし携帯電話機能付きのコーラ缶は、その類のものではない」とサッフォ氏。
しかし、シンクタンク『ランド研究所』の上級アナリスト、ブルース・ドン氏は、米軍の懸念は理に適った、妥当なものだと指摘する。
「コカ・コーラ社の知らぬ間に、第三者にこの技術が悪用される可能性を心配するのはもっともなことだ。この缶が自分の冷蔵庫に入っていても私は気にならないが、機密扱いの会議や区域がある場所では、この缶が本来の目的とは違った意図で使われる可能性も、あり得ないことではない」
コカ・コーラ社のマーティン氏は1日(米国時間)、これまでにユタ州オグデンのヒル空軍基地とアラスカ州アンカレッジの軍事基地から、今回のキャンペーンについて問い合わせを受けたことを明らかにした。その際、電話してきた軍関係者がなんらかの懸念を示すようなことはなかったという。またマーティン氏は、オハイオ州やケンタッキー州の基地からは連絡を受けていないと話した。
安全保障上の問題が持ち上がったことで、この販促キャンペーンを中止することはあるかという質問に対しては、マーティン氏は、「それはない。そうする理由がないからだ」と答えた。
[日本語版:長谷 睦/多々良和臣]
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