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イラク主権移譲:国旗の下、行き交う米軍 市民ら「主権回復」実感できず
◇祝賀なく外出避け
【バグダッド小倉孝保】突然の主権移譲から一夜明けた29日、バグダッド市内ではいたる所でテロ警戒の警察官の姿が目に付き、緊迫した空気が広がっていた。一部では大きなイラク国旗が揺れるなど主権回復を象徴させる現象もあるが、町には米軍車両が行き交い、市民は主権が移譲されたことをほとんど実感できないのが実態だ。(2、7、29面に関連記事)
一般人の立ち入りが禁止された市中心部の「グリーンゾーン」内にある治安情報本部ビルの屋上には28日から、大きなイラク国旗が掲揚されている。29日は、緩やかな風にこの国旗が揺れていた。また、フセイン(元大統領)像のあったフィルドス広場は米英占領当局(CPA)が長い間、一般人の立ち入りを禁止していたが28日、有刺鉄線が取り除かれ、市民の手に返った。しかし治安の悪化から広場を訪れる市民はなく、主権回復を歓迎する空気はなかった。
こうした「静かな主権移譲」でも、市民の関心は高く、新聞販売所では熱心に新聞を読む人の姿が見られた。新聞販売店主、ジュマ・サルハンさん(30)によると、売り切れる新聞が続出しフセイン元大統領拘束時に次ぐ売り上げになったという。
市内の道路には、あちこちで米軍が設置したコンクリートブロックが残り、渋滞の慢性化は変わらない。また、市内では米軍車両をたびたび目にし、外国軍が中心部に駐留したまま主権が移譲されたことを痛感させた。
こうした現状にイラク部族長会議のサーメル・ドレイミ事務局長(51)は「主権が回復したというが、外国軍は自由にわが国で活動できる。だまされた気がしている」と語り、同会議で主権回復を祝う行事は行わないことに決めたという。
市民には主権の移譲によって治安が悪化するのではないかとの懸念も強まり、外出を控える傾向が出ている。
幹線道路ではいたる所にイラク警察が検問所を設置。ムサンナ空港横道路で検問に当たっていた警察官、フセイン・アッバースさん(32)によると、過激派の攻撃を警戒して約1週間前から警察は最高度の警戒態勢に入っているという。アッバースさんは「主権移譲を喜んでいる人は3割。あとの人々は治安に不安を抱いている」と緊張した表情で語った。
毎日新聞 2004年6月30日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040630ddm001030130000c.html