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社説
06月30日付
■小泉発言――これは、ちょっと怖い
ただの不勉強なのか、憲法9条改正に道を開こうとする確信犯としての行動なのか。小泉首相の言葉が短絡的で粗雑なことには慣れっこだが、これは事が事だけに、黙っているわけにはいかない。
「米軍が日本と一緒に戦っている時に、米軍が攻撃された時に、日本を守るために一緒に戦っているのに米軍と共同行動できない、集団的自衛権を行使できない、それはおかしい」
最近の参院選討論番組での発言だ。「憲法を改正し、日本が攻撃された場合には米国と一緒になって行動できるよう」にしたいとも語った。
まず、この発言には事実認識の誤りがいくつもある。
日本が攻撃を受ければ、日米安保条約が発動され、米軍が行動する。その米軍が日本の領域や周辺で攻撃されれば、自衛隊が一緒に戦う。それは首相が言うような「できない」ことどころか、安保の根幹としてもともと認められている。
おまけに、それは憲法が認める個別的自衛権の行使であって、首相が言うような集団的自衛権の行使うんぬんの話ではない。だから憲法を改正する必要などないのだ。歴代政権が何度となく国会でそう表明してきてもいる。
自衛隊の最高指揮官たる首相がそれらを知らなかったのなら驚きだが、そんなことはあるまい。とすれば、日本有事にかこつけて、しかし日本有事に限らず世界のどこででも、自衛隊が米軍と一緒に行動できるようにしたいという意図があっての発言かと疑わざるを得ない。
イラクであれ、どこであれ、地球規模で米軍と共同行動ができるようにするということなら、日本の大転換だ。もしそれを意図しているのなら、ごまかさずに堂々とその考えを訴えるべきである。
米政府は、日本が集団的自衛権を行使できるようにすべきだと期待を表明してきた。それが「世界の常識だ」と語ったのはアーミテージ国務副長官である。
イラク戦争を支持し、事実上の戦地に自衛隊を送り、多国籍軍参加を国会抜きで決めた首相。そしてこの発言だ。
首相は言いっ放しにしてはならない。与野党はこの発言を素材に大いに論戦してもらいたい。有権者も、防衛論議は分かりにくいからと避けずに、よく吟味しよう。参院選がいよいよ重くなった。
http://www.asahi.com/paper/editorial20040630.html