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社説
2004.06.29
イラク主権移譲 国民守る力を示さねば
何とも、あわただしい主権移譲だった。イラク人による祖国再建の第一歩を踏み出したが、前途は多難だ。まずは治安回復に全力を挙げ、民衆を結集する必要がある。
イラク主権移譲の式典がバグダッドで開かれ、連合国暫定当局(CPA)のブレマー行政官が暫定政府のアラウィ首相に主権移譲の公式文書を手渡した。首相は「歴史的な日だ」と表明した。
しかし、予定より二日早い不意打ちの移譲であり、式典に出席したのはわずか六人だった。再建への困難さを象徴する光景である。
アラウィ首相の側近は「主権移譲を前倒しすることでテロリストやフセイン残存勢力などに(逆に)挑戦する」という。
このところ、主権移譲を狙って武装勢力のテロが激化していた。式典がテロの標的になるという情報もあり、前倒しを余儀なくされたのが実情である。
これから、暫定政府がすべての分野で責任をもって前面に立つ。第一の責務は国民の生命を守ることだ。
最近のテロ攻撃では百人以上の死者を数え、そのほとんどがイラク大衆という。占領統治下で国民の保護はなおざりにされ、民衆の犠牲は一万人を超えるとの報告もある。
暫定政府は、イスラム教スンニ派のヤワル大統領、国民の多数を占めるシーア派出身のアラウィ首相ら宗派、民族勢力を網羅し、シーア派最高権威シスタニ師も支持している。
閣僚はそれぞれの持つ影響力で各派を説得し、各派武装組織の解体と国軍への統一、さらに治安部隊と警察力の強化に努めねばならない。
暫定政府は、まず国民のための存在であることを訴える必要がある。安保理決議で確認された資源管理権を国連と共同して活用し、仕事を与えるなど生活向上を目に見える形で示すことが重要だ。それが、テロ勢力と国民を分断し、国民の結束を促す有効な手段でもあろう。
イラクの治安回復は当面、米軍が指揮する多国籍軍が担当する。作戦の遂行にあたっては暫定政府と、十分な協議と調整をすべきである。
イラクへの主権移譲といっても、米国が主導する構図は実質的に変わらない。しかし、復興には欧州諸国の協力が欠かせない。米国が暫定政府の自主性を尊重し国際協調に徹することがカギだと再度指摘したい。
また、アラブ諸国の協力は、イラク国内での争乱を鎮めるために不可欠な条件である。その意味でも、国連が一日も早くバグダッドに復帰することが望ましい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040629/col_____sha_____002.shtml