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6月29日付・読売社説(1)
[主権移譲]「イラク再建にとって重要な一歩」
イラク再建の成否は、同国のみならず、国際社会全体の平和と安定に直結する。イラク暫定政権と各国指導者は再度、そのことを銘記すべきだろう。
戦後イラクを統治してきた連合国暫定当局(CPA)からイラク暫定政権へ二十八日、主権が移譲された。
昨年四月にフセイン前政権が崩壊してから初めて、イラク人自身の手に、統治権限が戻った。民主化の政治プロセスが本格的に始まる重要な一歩である。
暫定政権の責務は、極めて重い。最大の使命は、来年一月に予定される国民議会選挙を、滞りなく実現させることである。そのために、主権移譲後のイラクで主導的な役割が期待される国連との緊密な連携が欠かせない。
来月には、政党、宗派、部族、民族を網羅する国民大会議を開催しなければならない。大会議によって選出される百人規模の「諮問評議会」が、議会の役割を果たすことで、政権全体の正統性を高める狙いがある。
船出したばかりの暫定政権を取り巻く情勢は、厳しい。
最大の課題は、治安の改善である。全国各地で、連日、爆弾テロや襲撃事件、人質事件が勃発(ぼっぱつ)している。主権移譲が、予定を二日前倒しして行われたのも、テロを警戒してのことだろう。治安が改善されなければ国連の現場復帰も遅れ、選挙の実施も不可能になる。
国際テロ組織や前政権支持者、反民主勢力といった武装グループの狙いは明確だ。テロで、指導者や一般国民の恐怖感をあおり、政治プロセスの進捗(しんちょく)を妨害したいのだろう。ここでひるめば、テロリストの思うつぼである。
テロや様々な妨害工作を阻止するためには、当面、米軍を中心とする多国籍軍の役割に期待しなければならない。しかし同時に、イラク人部隊が治安確保の主体を担えるよう、暫定政権は、その強化を急ぐ必要があるだろう。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、暫定政権の要請に応え、NATOがイラク国軍の訓練を支援することを決めた。心強い動きである。イラク人によるイラクの民主化、という難事業を支える国際社会からのメッセージになる。
治安改善と復興活動は、国家再建の両輪である。日本は、サマワでの自衛隊による人道復興支援活動を粛々と進めることが重要だ。
世論調査によると、暫定政権に対するイラク国民の支持と期待は大きい。暫定政権にとっては、これ以上の後押しはない。毅然(きぜん)として、かつ細心に、政治プロセスの進展を図ることが肝要だ。
(2004/6/29/01:30 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040628ig90.htm