現在地 HOME > 掲示板 > 戦争57 > 1148.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
フィリピン:イラク撤退 米国の非難に苦悩するアロヨ政権
フィリピンのアロヨ政権は、イラクで武装グループに拉致された運転手、アンヘロ・デラクルスさん(46)の解放に成功したことで、国内指導力を高めた。その一方、武装グループの要求に応じる形でイラク派遣部隊を早期撤退させたことに対する、米国の批判は弱まっておらず、アロヨ政権の苦悩は続いている。【マニラ大澤文護】
◇強硬な米国◇
米政府は、フィリピンがイラク派遣部隊の撤退を決定した直後、「新たなテロを誘発する」と強く批判した。
さらに米政府は、デラクルスさん釈放(21日)翌日の22日、リシャドニ駐比大使を一時帰国させた。「今後の米比関係を検討するため」というのが表向きの理由だった。しかし、突然の決定は、部隊撤退によって「対テロ戦争」から事実上離脱したフィリピン政府に対する、米政府の強い不快感の表明だったことは明白だ。
マニラの外交筋は「フィリピンに対する米国の経済・軍事支援は当面、停滞する」と分析。「米比関係の悪化で、他国や国際機関もフィリピン向け投資や援助の拡大に慎重になるのでは」との見方も広がっている。
◇国内情勢◇
米比関係の悪化に直面したフィリピン国内の反応は複雑だ。
人質解放直後に実施された世論調査によると、対象者の72%が「部隊撤退決定を支持する」と回答、75%が「米国のフィリピン批判は不当だ」と答え、国民の間の「反米感情」拡大を示した。
一方、軍部は26日、フィリピン南部ミンダナオ島で米軍特殊部隊の指導の下、イスラム過激派掃討のための米比合同訓練を開始した。
同国最大の反政府勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」は昨年、政府との停戦に合意した。しかし本格的な和平交渉の糸口は見つかっていない。部隊撤退決定時には沈黙を守った軍部だが、イスラム勢力との緊張関係がある限り「米比関係の早期修復」が本音だ。「反アロヨ」勢力を抱え、5月の大統領選でもクーデター計画の存在が取りざたされた軍部の動向は、アロヨ政権にとって最も神経をとがらせなければならない問題だ。
◇対米修復◇
アロヨ大統領は23日、外務省創立記念日の外交演説で「両国は100年にわたる強いきずなと共通の政治的伝統を維持してきた。この関係は、どの大統領でも壊すことは出来ない」と述べ、米比関係修復を目指すメッセージを発信した。
26日の施政方針演説では「フィリピン政府は人命を犠牲にする政策はとらない」と述べたが、同時に、経済再建を具体的な政策目標に掲げた。その実現には対米関係の修復が不可欠であり、演説で示した強硬姿勢は「国内向け」との見方も根強い。
一方、アルカイダを名乗るグループから「イラクを撤退しなければ攻撃する」と名指しされたオーストラリアのダウナー外相は26日「フィリピン政府の譲歩がテロリストを力づけた」と述べた。これに対し、一部のフィリピン国会議員は「第二次大戦で、日本の豪州侵攻を防いだのは、米軍に参加したフィリピン人だった」と訴え、オーストラリアに対する反感をあらわにするなど、部隊撤退をきっかけに生じた豪・比間の対立も激化する様相を示している。
毎日新聞 2004年7月29日 1時27分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040729k0000m030185000c.html