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秋の大統領選を控え、真っ二つに割れたアメリカ。そのパラノ
イア的雰囲気をうまく伝える現地レポートです。十月に大事件
が起きるという「オクトーバー・サプライズ説」も、広く流布
しています。とにかく、眼を離せないアメリカの現状です。
(丸田由紀子/TUP)
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「陰謀説の国、アメリカ」
− ビン・ラディンは逮捕済み、レーガン死去は揉み消された
秋の大統領選は八百長など、疑心暗鬼のアメリカを描く現地
レポート。
2〇〇4年7月21日
ガーディアン・オンライン
シアトル市の夕食時は、陰謀説が飛び交う時間だ。情報は、常
に、素晴らしく正確だが、名前を明かせないソースから来る。
いわく、ビン・ラディンは、すでに逮捕済み。その発表は、ブ
ッシュ政権に都合良い頃合に行われる。レーガン元大統領の死
体は、何ヶ月も氷詰にされていた。死去の発表は、アブグレイ
ブ刑務所スキャンダルをトップ記事の座から引き下ろすためだ
った、などなど。誰もが、政府は大統領選の前に「本土防衛」
の名目で、何かやらかすだろうと思っている。11月2日の選
挙に至る過程で、万一、テロ攻撃がなかったとしても、警報レ
ベルが赤にはね上がり、逮捕が行われ、忌まわしい陰謀と大量
死が防止されたと大々的に発表される。そして、ブッシュが世
論調査でケリーを圧倒すると。最近の極めつけは、パキスタン
の匿名セキュリティ・エージェントからのものだ。ムシャラフ
政権には、民主党大会か、遅くとも大統領選の前までに、ビン
・ラディン級の「価値の高い」大物を捕まえるよう、米政府か
ら猛烈な圧力がかかっているという。あるパキスタン軍高官に
よれば、米政府は、「選挙前に逮捕できなかった場合、核疑惑
の一件を蒸し返し、とんでもない酷い目にあわせるぞ」と、パ
キスタン政府を脅しているそうだ。
しかも、驚くべきことに、この最後の話の情報源は、イスラエ
ルとイラク侵略の熱狂的支持で有名な保守派の牙城「ニュー・
リパブリック誌」である。つまり、ブッシュ政権があまりに秘
密主義なので、この匿名エージェントのようなタイプが、政府
関連ニュースの正当な情報源として急成長しているのだ。
このような秘密主義は、9/11以前からあったが、あの事件
以降は、「戦時」ガイドラインとして堂々とまかり通っている。
ブッシュ大統領は、対テロ戦争では、たとえ成功しても隠し通
す「隠密作戦」が必要と発言。ラムズフェルド長官は、「真実
は嘘で保護する必要がある」と主張。チェイニー副大統領は、
危険で汚い「影の戦争」を強調した。
いま、アメリカ人の暮らしは、隠密戦争の仕組みとレトリック
にすっかり包囲されている。とりわけ、シアトルのような港湾
都市で出くわすのは、レーザー・ワイヤー、借りた本のFBI
調査を警告する図書館の掲示、戦闘疲れの米兵を満載した軍用
車、湾内をパトロールする沿岸警備隊の砲艦、ボディー・チェ
ック、X線撮影機、空中の病原菌検出用の怪しげな灰色の箱な
ど、われわれが監視され、えたいの知れない危険の中で暮らし
ていることを思い出させるものばかりだ。
5月26日、アシュクロフト司法長官は、アルカイダによる「
本土大襲撃」を示唆する「不穏な情報」を緊急発表。ミューラ
ーFBI長官が中東人らしい容疑者の顔写真を示して警告する
と、米国中が震え上がった。発表後数時間、FBIの電話回線
は、それらしい顔つきの近所の新聞売り子や食料販売店員に関
する興奮した通報でパンクした。しかし、この情報はガセネタ
に過ぎなかった。怪しげなイスラム教プロパガンダ・サイトか
ら拾った古い情報だったのである。結局のところ、アシュクロ
フトたちも、われわれ同様、ネット・サーフィンで情報を収集
していたのだ。
このアシュクロフトの言動は、ブッシュ政権が、国家の安全と
は無関係の政治的理由で、差し迫った、えたいの知れない大惨
事という漠然とした不安を掻き立て、シニカルに国民を操って
いるという大方の疑惑を裏書する。秘密主義は、政府から国民
に直接伝わる伝染病だ。だから、アメリカ人は、いま、アルカ
イダに関する政府筋の諜報と同じ姿勢で、自分たちの政府を探
偵している。「ソースは明らかにできないが、噂では…」とい
った調子だ。
このような姿勢は、現在の米ジャーナリズムにも見られる。慎
重で分別ある報道で有名なニューヨーク・タイムズも、7月1
5日付け記事で、チェイニー副大統領に関する陰謀説を延々と
紹介した。マイケル・ムーアの「華氏9/11」のヒットも、
この陰謀説蔓延の波に乗ったものだ。いつも探偵されているア
メリカ人たちが、今度こそ、大統領やその一味に向かって、磁
気探知機や監視カメラが作動したと(錯覚し)、喜んだのであ
る。
現在のアメリカは、米史上でも特筆すべき瞬間を経験している。
国民の半数が明らさまな専制政治の恐怖に怯え、もう半数が、
ブッシュ政権こそ、無神論、社会主義、黒いヘリコプター(訳
注=国連による世界支配を説く陰謀説)、同性愛婚から米国を
守る防壁と考えている。アンチ・ブッシュ派は、「ブッシュ/
チェイニー2〇〇4年 ‐ 米国最後の選挙」とうたったバン
パー・スティッカーを貼り付け、走り回っている。もちろんジ
ョークだが、笑いが喉元で凍りつくような類のものだ。車のオ
ーナーたちは、けっして笑ってはいない。真相なのか、デマな
のか、アメリカの空気は、あまりに多くの陰謀説に満ちている。
"Running scared"
http://www.guardian.co.uk/print/0,3858,4975064-103680,00.html
(抄訳:丸田由紀子/TUP)
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