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6月20日付・読売社説(1)
[イラン核疑惑]「IAEAの非難決議は当然だ」
「平和利用を目的とした核開発」を主張する一方で、次々とぼろを出す。これでは、国際社会の疑念は深まるばかりだ。
国際原子力機関(IAEA)定例理事会は、イランの核疑惑をめぐる協議の末、同国に対する非難決議を採択した。当然の措置だろう。
イランにおける核査察についてまとめたIAEA事務局長の報告は、「平和利用」というイランの主張が、うのみにできないことを示している。
IAEAの査察により、同国中部の研究機関から、兵器製造レベルに達した高濃縮ウランが見つかった。イランは、これまでほかの二か所で検出された高濃縮ウランについてと同様、輸入したウラン濃縮用の遠心分離器に付着していたものと主張している。
国内での高濃縮ウラン生産を否定するなら、決議が指摘するように、イランは早急に、必要な追加情報をIAEAに提示しなければならない。それ抜きには、イランの言い分はすんなりと受け入れられるものではない。
報告はまた、イランが、遠心分離器用の部品四千個を輸入しようとした事実を指摘した。イランが主張するように、ウラン濃縮実験が目的だとしたら、不必要なほどの数量ではないか。そうした疑念を持たれるのは当然だ。
ところがイランは当初、これらの問題を「些細(ささい)な問題」だとし、逆に、これを問題視するIAEAへ強く反発した。本当にそのように考えていたのなら、理解に苦しむ反応である。
非難決議が求めるように、イランは、ウラン濃縮計画の全容について、説得力ある説明をする義務があるだろう。
決議が、これまでのイランの情報開示の遅れや説明不足などに触れ、その不完全な協力姿勢を「遺憾」としたのも、こうしたイランの態度が、国際社会の信頼を損ねているからだ。
イランは、昨年、英独仏三か国の仲介に応じ、ウラン濃縮研究を停止し、IAEAの抜き打ち査察を可能にする追加議定書に署名した。だが、批准については、保守強硬派から「急ぐ必要はない」と挑戦的な声も聞こえている。
イランは、核問題に関する国際社会の姿勢を見誤ってはならない。先の主要国首脳会議でも示されたように、国際社会にとって、核を含む大量破壊兵器の拡散防止は、最優先の課題である。
今回の理事会は、日本の原子力施設は「平和利用に限定されている」として、施設に対する査察の緩和を決めた。これで余裕が生じる経費や人員を、イランの核査察強化に振り向けたらいい。
(2004/6/20/01:50 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040619ig90.htm