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映画公開を望まない人たちがまだいる
2004年6月18日(木曜日)
友人のみなさん
『華氏911』の全米公開まであと1週間に迫ったけれど、ぼくたちは毎日新たな戦いを強いられている。みなさんにこの映画を見せまいと懸命になっている人たちが、いまだにいるからだ。彼らは何が嫌なんだろう? 何か心配なことがあるんだろうか?
共和党系の広告会社が〈アメリカを前進させよ(Move America Forward)〉なるインチキな草の根組織をでっちあげて、映画館主たちに『華氏911』を上映させまいと、嫌がらせと威嚇を加えているのだ。これは数ヵ月前、〈CBS〉をしつこく攻撃して、レーガンを題材にしたミニシリーズの放映を中止させたのと同じ人たちだ。その人たちが今週、多額の金を使って、『華氏911』の上映を考えている映画館を脅している。
今朝の時点で、6月25日金曜日に映画を封切りする映画館は500館ちょっと。だが、全米あるいは地域規模の映画館チェーンのうち、今日までにまだ上映の契約をしていないところが3つある。イリノイ州のある映画館主は殺すと脅迫されたそうだ。
右派はたいていこの手の戦いに勝つ。彼らは検閲と抑圧によって国民に何も知らしめないのがいいと信じている。議論や反対意見を圧殺したいのだ。連中はペットが嫌いで、小さな子供をいじめるのが好きだ。そしてなぜか「フレッド」という名前が多い。
この新しいイカレた組織は、『華氏911』をできるだけ人々に見せまいとする右派の、最後の希望だ。彼らの試みは、これまでのところすべて失敗している。ちょっと振り返ってみよう。
1. 〈フォックス・ニューズ〉のロジャー・フリードマンによれば、同社のトップはぼくの映画に出資することを決めたあと、「共和党の友人たちから電話を受け」、手を引くよう圧力をかけられた。そして実際に手を引いた。だが……〈ミラマックス〉がすぐに出資者として名乗りをあげた! ところがどっこい……
2. 映画が完成するや、〈ディズニー〉の最高経営責任者マイケル・アイズナーが、子会社の〈ミラマックス〉に公開を禁止した。だが……世間が当惑して注目したので、〈ディズニー〉は〈ミラマックス〉のワインスタイン兄弟に別の配給会社を見つけることを許可した! なのに、なのに……
3. 新たな配給会社はなかなか見つからず――すぐ見つかるとメディアは予想したのだが――ひと月たってやっと決まった。多くの配給元候補は、いろんな圧力を受けて、尻込みしてしまったのだ。となると自主公開か、とぼくたちは考えはじめていた。そこへ、〈ライオンズ・ゲート〉と〈IFCフィルムズ〉が救助に駆けつけてくれた!
という具合に、この映画を潰そうとする試みは全部退けてきた。いまやみなさんが『華氏911』を見るのを邪魔しようとしているのは、共和党から多額の資金を受けて映画館を脅している、でっちあげの組織だけだ。
どうかみなさん、地元の映画館に『華氏911』が見たいとアピールしてほしい。脅しをかけてくる連中は、ここがアメリカであり、すべての意見に発表の機会を認める言論の自由が尊ばれていることを知らないのだ、と訴えてほしい。(〈ムーヴオン〉――本物の草の根組織――が、すごくクールなことをやっている。各地の映画館にメッセージを送ると同時に、映画が封切られる週末にみんなで劇場へ足を運ぶことを計画しているのだ。)
彼らの努力に感謝する。ただ〈ムーヴオン〉のメンバーでなくても、『華氏911』上映妨害の試みを阻止できる。地元の上映館に電話をかけて、表現の自由のために立ちあがってくれたことにお礼をいうのだ。地元の映画館が上映館でないなら、上映されれば見にいくと告げてほしい。
ホワイトハウスと御用メディアは、この4年間、次々と真実をねじ曲げてきた。ぼくたちが要求しているのはただ1つ、彼らが見せてこなかったものを見せる権利だ。本当の真実を見せる権利だ。その真実は美しいものじゃない(悲しいかな、めちゃくちゃ滑稽でもある)。
〈アメリカ映画協会〉はこの映画をR指定(17歳未満は保護者同伴)にした。でもぼくは、すべてのティーンエイジャーに見てほしいと思う。この映画には、ヴェトナム戦争時代、毎晩夕食時にテレビで流れていた映像よりも暴力的なシーンは1つもないのだから。もちろん、ヴェトナム戦争の報道映像と同じようなものを見せるのがポイントなわけだけど。メディアはイラクからの生々しい映像を「洗浄」して、見やすいものにしている。マリオ・クオモ元ニューヨーク州知事は、〈アメリカ映画協会〉の決定に不服を申し立てるなら弁護人を引き受ける、と申し出てくれた。でも正直いって、ぼくはこう考えたい。協会は、ブッシュ政権のやっていることは吐き気を催すほどおぞましいことだから、子供たちをその害悪から守る必要があると考えたのだと。その意味では、むしろNC‐17(17歳未満禁止)にすべきなのだ!
何はともあれ、ティーンエイジャー諸君はなんとかこの映画を見てくれるものと信じている。ハイティーンの若者が兵士となってイラクで死ぬのはオーケー、というのが政府の考えなら、それよりちょっとだけ若い人たちに、政府が2年後ぐらいに導入するつもりの徴兵制で何を体験することになるのか、見てもらうべきだろう。
最後に、高度な技術を持った人たちが、ぼくたちのウェブサイトをハッキングして閉鎖に追いこもうとしていることをお知らせしておきたい。サイトの維持は時々刻々の戦いだ。ぼくたちは犯人を見つけて刑事告発するつもりでいる。それはそれとして、来週は新しいクールな記事をたくさん発信する予定なので、ご注目ください(http://www.fahrenheit911.com と http://www.michaelmoore.com で)。
あらためて、ご支援どうもありがとう。アメリカでの映画公開初日の6月25に、劇場でお会いできるのを楽しみにしています。
あなたの友
マイケル・ムーア
mmflint@aol.com
http://www.michaelmoore.com
PS. ぼくは来週、全米あるいは地域規模の、平和と正義を求める団体の活動に協力する。〈声をあげる軍人家族の会〉や〈平和な明日をつくる9・11家族の会〉といった団体だ。詳しいことは来週、新聞やぼくのウェブサイトでチェックしてほしい。
PPS. それと金曜日の夜、《デイヴィッド・レターマン・ショー》に出演する。〈CBS〉、東部標準時と太平洋標準時で午後11時35分だ。それから月曜日(6月21日)の朝は〈NBC〉の《トゥデイ・ショー》に。来週には《ジョン・スチュワート・ショー》と《コナン・オブライエン・ショー》に出る。ビル・オライリーの番組に出てもいいんだけど、あの男はいかにも卑怯者らしく、ぼくたちが招待した試写会から逃亡したからなあ(アル・フランケンが何列か離れたところにいた!)。途中で抜けだすところを、ぼくが押さえたんだ。彼はまごついて話題を変えようとした。「わたしの番組にはいつ出てくれるんだね?」と訊くから、ぼくはこう答えた。「席に戻って映画を最後まで見てくれたら、出演させてもらうよ」でも、彼は出ていった。うーむ、「公平でバランスのとれた」男だ。