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社説
2004.06.18
首相の会見 説明はたったそれだけ?
予想はしていた。けれども説明がたったこれだけとは。イラクの多国籍軍に自衛隊を参加させる重大決定に際しての小泉純一郎首相の記者会見だ。与党にもあった「もっと説明を」の声すら黙殺か。
イラク復興支援特別措置法の施行令を改める十八日の閣議決定を前に首相は、自衛隊の多国籍軍参加は憲法に抵触すると批判する野党党首らと会談、引き続き内閣記者会との記者会見に臨んだ。
通常国会が開会中だった先の日米首脳会談の際に「参加」を言明して「国会の場で言う前に、なぜブッシュなのか」と厳しい批判を浴びた懸案である。政府も与党も理屈づけに苦しみながら統一見解をつくった。
いわば首相の対米公約の尻ぬぐいである。参院選の公示を来週に控え自民党の中からも「国民によく説明しないと…」と心配する声が出ていたのを首相が知らないはずはない。
だから私たちも首相がそれなりの説明をしてくれるものと身構えた。ところが、どうだったか。
記者会見で首相は、主権移譲後のイラクに展開する米英軍主体の多国籍軍は武力を行使することがあり得ると認めながら、自衛隊は武力行使はしない、非戦闘地域に限る、イラク特措法の範囲内で日本の指揮で活動する、として、日本にふさわしい人道・復興支援をするなどと、これまでの大枠の説明を繰り返した。
「多国籍軍だから参加してはいけないということはない」とする根拠に首相は、国連安全保障理事会が全会一致で多国籍軍の必要性を認め、イラク暫定政府大統領からも自衛隊の活動継続が求められていることを挙げて、自衛隊は武力行使をしないのだから、日本国憲法にも抵触しない、とその正当性を力説した。
違うのだ。みんなが聞きたいのはそんな空虚な説明ではなく、現実問題として首相の言うことが間違いなく担保されて、憲法に照らしても何ら臆(おく)することなく、イラクの人々を支援できるか、の方策であった。
事は安全保障政策の転換である。政府は多国籍軍「参加」はできないとずっと言い続けてきたのだから。
唐突な「政策転換」に、与党の一部も野党も、国民の大多数も、これではどこまで米ブッシュ政権につきあうのか、この選択は泥沼に直行するのではないか、と心配している。なのに首相はそこを語らなかった。
言葉に詰まる説明より情緒に訴える方が手っ取り早い。そんな小泉手法でお茶を濁そうというなら甘い。
首相は選挙戦で理解を訴えると言った。同レベルの説明なら聞いておれない。国民をなめてはいけない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040618/col_____sha_____002.shtml