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社説:多国籍軍参加 なし崩しでことを進めるな
政府は18日の閣議でイラクに派遣した自衛隊を6月末から多国籍軍に参加させる方針を決定した。自衛隊としては初の多国籍軍参加となる。
安全保障政策の大転換だというのに、十分な議論や手続きがないまま決定したのは承服できない。小泉純一郎首相が米シーアイランドでブッシュ米大統領に多国籍軍参加を事実上表明したのが今月8日(日本時間9日)だ。わずか9日後の政府決定である。
この間、政府与党連絡会議や与党幹事長・政調会長会談など与党内の了承を取り付けるための形ばかりの会議などが開かれた。さらに小泉首相は国会の閉会間際に参院イラク・武力攻撃事態特別委に出席し、安全保障会議や与野党党首会談、記者会見に臨んだ。
だが、まずは小泉首相が国民より先にブッシュ大統領に「参加」の意向を伝えたのは本末転倒だった。首相会見では国民を説得し、理解を得ようという気持ちもほとんど伝わってこなかった。国民的な合意ができたとは、とても言える状況ではない。
今回、ずるずると現状追認でことが進んでしまったことが最大の問題である。それを制御するのが、わずらわしい説得と、手順を踏んだ手続きなのだ。
閣議了解された政府見解も、あいまいな点が多い。首相は前日の会見で再三、多国籍軍への「参加」を口にしたにもかかわらず、政府見解には「参加」をはっきりとうたっていない。首相の考えと政府の見解に違いがある。この点をどう説明するのか。
政府見解は最後に「いわゆる多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない」とクギを刺している。多国籍軍に関して政府は実質的に「参加」はできないが、「協力」はできるとの見解をとってきた。それが今国会で「業務の実施、一定要件の中止・終了を主体的に判断できるなら加わることができる」(秋山收内閣法制局長官)と軌道修正した。政府見解との整合性はどうなるのだろうか。
最大の問題は指揮権問題だ。他国の軍隊の指揮下に入ると、憲法が禁ずる武力行使と一体化する恐れが出てくる。そのため他国の指揮下に入らない担保が必要だが、政府見解では「多国籍軍の中で、統合された司令部の下にあって、同司令部との間で連絡・調整を行う」とあいまいである。
政府は今回の閣議決定を受けて多国籍軍参加を既成事実とし、なし崩し的な参加に道を開いてはならない。参加を巡る議論でまだまだ詰めるべき点がある。
国会は政府に無視されたも同然である。国会としてのシビリアンコントロール(文民統制)を発揮すべきだ。責任の重さを自覚してもらいたい。
通常国会は16日に閉会した。18日には衆院テロ防止・イラク復興支援特別委で閉会中審査を開いたが、それで問題が終わりではないし、また終わらせてはならない。秋の臨時国会で徹底審議する機会をつくるべきだ。
毎日新聞 2004年6月19日 0時20分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20040619k0000m070152000c.html