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みんぶり瀝滴通信
http://www3.diary.ne.jp/user/320300/
■2004/06/04 (金) アメリカを正気に戻すか国連決議1487更新論議
国連決議1487は国連平和維持活動に従事する米軍兵士を如何なる逮捕にも服することを免除し、ハーグにある国際刑事裁判所ICCの訴追を受けないようにするものです。そしてその決議の有効期限は6月30日、イラクの主権委譲日と合致します。
Ian WilliamsはBlackmail Efforts of the Bush Administration at the UN End in Failure This Time http://www.fpif.org/commentary/2004/0406blackmail.htmlで、今回はアメリカの思惑通りにならぬだろうと言います。思い出せば、前回アメリカは認められねば国連平和維持活動に一切協力せず、安保理決議に拒否権を行使すると強硬に主張する一方、ICCを骨抜きにすべくかなり強引にICCへの逮捕者引渡しを免除するニヶ国間協定を結ぶのに狂奔したのでした。勿論、単独行動主義の軍事行動に訴追が及ぶのを防御するのが目的です(これを米軍基地設置国での地位協定上不可欠な条件としています)。要は法の上に米軍を置く無茶な話ですが、前回は通ってしまいました。狂気の歯止めを失わせる決議でした。
ただ法律上こうした決議が有効かについてこの小論は国連法律委員会の見解―「決議に法的効力はない。ICC制定法の各条項は個別事件に対応するもので包括的免除や事前の『出獄自由カード』を米部隊に与えるものではないからだ。だがこれは安保理の権威を溶解させ、結果として米政権の信頼性に疑念を抱かせるものだ」―をあげ、ブッシュ政権の正気を疑わせるものだという発言を引用します。
今回アメリカはアブグレイブ拷問事件の暴露や、国際社会の援助や主権委譲に係る決議の必要がある。こうした環境下でブッシュ政権の前回と同じ脅しは通用しまいとWilliamsは言います。
つまり国際社会の協力を得るには免責決議更新動議を取り下げる必要がある、それはアメリカに国際刑事法を守らせることになろうと言うのです。今回、帝国アメリカは国際社会の手助けがなければ成行きません。だから国際ルールを守るという正気に戻る可能性があるのです。
今やアメリカが国際秩序を守る正義の警察官だなどと思う国は殆どないでしょう。アメリカへの随順国は少なく、寧ろ単独では鈴をつけられぬアメリカを制御する手段・好機と捉えることでしょう。経済援助や政権転覆の脅しに屈せずアメリカを正気に戻すことが大切です。
稀少なアメリカ制御の機会、心ある政治家の活用を願わずにはいられません。
■2004/06/18 (金) 訴追免除の国連決議1487を更新するな
6/4付「アメリカを正気に戻すか国連決議1487更新論議」の続きです。平和維持活動における戦争犯罪訴追をアメリカに対し免責する決議の失効期限である6/30が近づき国連安保理で審議が進められています。過去、アメリカの恫喝と懐柔で渋々認めて来た同決議について、アナン事務総長が職責である重大事項への注意喚起を行ったとAPが報じていました。「アメリカに抵抗し、国連事務総長のコフィ・アナンが安保理に対して、アメリカ平和維持軍を戦争犯罪の国際的訴追から防護するのを止めるように要請した」というものです。http://www.guardian.co.uk/worldlatest/story/0,1280,-4215827,00.html
今回強調されている理由は何と言ってもアブグレイブ拷問事件で明るみに出たアメリカの非道です。此処で免責決議を更新すればその非道を安保理が承認するばかりか、奨励することにもなりかねず、国際法・国連の権威を自ら葬ることになるからです。
此処で思い出さねばならぬのが国際刑事裁判所ICC(2002.7.1設立)です。ローマ条約1998を94ヶ国が批准して設立された訳ですが、アメリカは「不埒な或は政治的理由で悪用される怖れがある」と猛反対、ニヶ国間免責協定を89ヶ国と結んで抜け穴づくりに多忙でした。因に米軍基地設置の際結ぶ地位協定でも当該国の刑事訴追免除を条件にしています。つまり「アメリカは特別」、国際法を超越するという思考様式なのです。
ICCが法的に正式訴追し裁判にかけるには、当事国がローマ条約を批准していなければなりません。しかも介入出来るのは当事国が裁判する意思を持たぬか出来ない場合だけです。今世界を憤慨させている代表、アメリカやイスラエル、被害側のパレスチナ、イラクはこの法網から外れています。これが限界ですが、訴追される、はっきり違法と宣言される可能性がある事は国際法遵守圧力として極めて大きいものです(だからアメリカは免責協定締結や厳密には法的効力を有しないこの決議に必死でした)。
忘れてならぬのは日本のことです。対米追随でローマ条約を批准していないことです(国内法整備に時間がかかるというのが逃げ口上)。国際法の実効性を上げるに不可欠な国際刑事裁判所を支えるのは、アメリカの非道を鳴らす前に為すべきことなのです。最後に小泉首相宛アムネスティ事務総長公開書簡http://www.incl.ne.jp/ktrs/aijapan/2003/0307170.htmのある事を付記しておきます。