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6月17日付・読売社説(1)
[多国籍軍参加]「平和協力活動の幅を広げる一歩」
暫定政府への主権移譲を控えイラク情勢は、国家再建へ極めて重要な局面を迎える。
先の国連安保理決議に基づく国際協調体制の下で、日本の自衛隊が多国籍軍に加わり、人道復興支援を継続するのは、国際社会の一員として、当然の責務である。
ところが、与野党を通じて、憲法上の疑義がある、とする声がある。
過去の政府見解では、国連軍の目的・任務が武力行使を伴う場合、憲法上、自衛隊は参加できない。国連軍への関与には、国連軍の司令部の指揮下に入る「参加」と、「『参加』を含む広い意味での関与」である「協力」とがある。
国連決議に基づく多国籍軍の任務は治安維持や人道復興支援だ。人道復興支援は、憲法が禁じる「武力行使」とは、何の関係もない。
今回の政府見解では、自衛隊は統合司令部の指揮下に入らず、他国部隊の武力行使と一体化することはない。これに反する要請が統合司令部からあっても拒否できる。米英両政府も了解している。
多国籍軍にあって自衛隊の活動に、憲法上、何ら問題はあるまい。小泉首相も分かりやすく国民に説明してほしい。
だが、国会論議では、内閣法制局長官が、「参画」や「広い意味の協力」などあいまいな表現を多用し、かえって議論を分かりにくくした。従来の憲法解釈上武力行使につながる「参加」ではないことを強調しようとしたからだろう。
国際社会が大きく変化し、自衛隊の国際平和協力活動も、人道復興支援だけでなく、平和の維持や回復など幅広い分野での活動が求められる時代だ。五五年体制下の憲法解釈に縛られ、つじつま合わせに終始していては、国際社会の責任ある一員としての責務が果たせない。
法制局は内閣の一機関にすぎない。憲法の絶対的な解釈権を握っているわけではない。高度の政策判断に立って、政治が指導性を発揮すべきだ。
奇妙なのは、民主党が自衛隊撤退を求めていることだ。この重要な時期に、日本がイラクへの国際的な支援体制から脱落すれば、国際社会から軽侮されるだけだ。あまりに無責任な主張である。
民主党は昨年の衆院選の政権公約で、イラク国民による政府が樹立され、その要請に基づく国連安保理決議がされれば自衛隊の活用を含めた支援に取り組む、としていたはずだ。
参院選に向けて、多国籍軍「参加」と憲法問題を争点にする意図が、民主党には、あるのかもしれない。だが、状況次第で主張が変わるような“ご都合主義”は責任政党の取るべき態度ではない。
(2004/6/17/01:12 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040616ig90.htm