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阿片王国 アフガニスタンの行方 2004/06/10
http://www.janjan.jp/world/0406/0406085176/1.php
【何が起きているのか】
「農地は戦乱で荒れ果て、作物を作ったところで大市場は遠い」「国土は高地で乾燥しているため良質なヘロインが抽出される。こちらは世界中が市場だ」……かくしてアフガニスタンは世界一のケシ栽培国となった。
アフガニスタン復興にアヘン撲滅は欠かせないことから、国連などが中心になって、農民をケシ栽培に走らせないような施策が練られているが決め手はない。
国連薬物犯罪オフィス(UNODC)のマリオ・コスタ事務局長は、5月末から6月初旬にかけてアフガニスタン全土を視察した。国連の思惑とは裏腹にケシ栽培が増えていることに落胆した。
【GDPの半分以上をケシが占める】
国連薬物犯罪オフィス(UNODC)の調査によると、昨年(2003年)、アフガニスタンでのケシ栽培状況は——
・栽培面積は8万ヘクタール(02年は7万4000ヘクタール)
・生産量は36億万トン(02年は34億トン)
・全32州のうち28州で栽培
・26万4千戸の農家が栽培
・ケシ栽培農家の平均収入は3900ドル/年
・ケシ栽培農家全体ではGDPの23%を占める
・農家と密輸業者の収入はGDPの50%以上にも達する。
ざっと見ただけでも、アフガニスタンがケシ大国であることがお分かり頂けよう。
ケシ栽培は、地方を支配する軍閥の有力な資金源である。長引く内戦で農地は荒れ、農民をケシ栽培に走らせてきた。アヘン密売で得る巨額の現金で軍閥は兵器を購入してきた。戦闘は激化し、農地はさらに荒れる。悪循環が繰り返されたのだ。
【地雷が阻む農業の復興】
アフガニスタンでは地雷で足を失った人が珍しくない。義足を着けて歩く人の姿は日常の光景のなかにすっかり溶け込んでいる。村人の10人に1人は義足を着けているという所もある。内戦中に踏んだ人が大半だが、戦後農作業で踏んだ人も少なくない。
農民は、地雷に触れる危険をおかして収入の少ない作物を作るよりも、高収入のケシ栽培を選ぶ。ケシ栽培農家の収入は、警察官や国軍兵士の10倍にも上る。
農業省の幹部に話を聴いたことがある。この幹部も上記と同じ理由をあげたうえで「地下水道の修復、ケシ栽培撲滅、地雷除去はアフガニスタン復興の3点セットだ」と力説した。「内戦前(ソ連侵攻前=79年)、国のGDPの半分は農業が占めていた。農業がまっとうに復活すれば国は復興する」とも語った。
地雷除去は「あと何十年かかるかわからない」と担当者は語る。アヘン、ヘロインの需要があるから供給(ケシ栽培)がある。“消費国”である西側の責任も重い。
無責任な言いかたかもしれないが、「世界一のケシ栽培国」の地位は簡単にゆるぎそうにもない。
(田中龍作)