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6月10日付・読売社説(1)
[安保理新決議]「国際連携強化でイラクを支えよ」
イラクの安定化を支援する国際社会の態勢は整った。
前途はなお多難だ。イラクの自助努力と、国際社会の協力によって、具体的な成果を積み上げていかなければならない。
国連安全保障理事会は、主権回復後のイラク統治のあり方などを規定した決議1546を、全会一致で採択した。イラク安定化へ、国際社会が連携強化を確約したものとして、歓迎したい。
新決議は、六月三十日までに主権が暫定政権に完全に移譲され、占領が終結することを宣言している。連合国暫定当局(CPA)は消滅し、その管理下にあったイラク開発基金の支出権限も移され、石油収入の使い道をイラク政権が決定できるようになった。
安保理の協議では、主権移譲を名ばかりに終わらせぬよう、イラク政権の権限の明確化が焦点となった。とくに、仏独露は、多国籍軍の撤退期限の明示と、多国籍軍の軍事作戦に対するイラクの拒否権確保を、米英に強く求めた。
決議は、撤退期限について、政治日程の終了で駐留期間は終わる、とした。来年十二月の民主政権樹立が“出口”であることを示したものだ。軍事作戦では多国籍軍とイラク政権が緊密に「協議」することを明記し、妥協が成立した。
イラク戦争前、安保理は、米英と仏独露の対立で機能不全に陥った。今回、合意の形成に成功したことで、安保理は何とか面目を取り戻した形だ。この決議を実効性あるものにする努力が必要だ。
イラク暫定政権の重要な目標は、新憲法の起草にあたる国民議会の選挙を、来年一月に実施することだ。だが、政治日程が進む過程で、シーア派、スンニ派、クルド人の主要三派が、権益確保をめぐって対立を深める懸念は十分にある。
イラクの安定化を図るため、国際社会は最大限の助力をすべきである。
治安活動は、現状では米軍主体の多国籍軍が主力となるほかない。米国は、イラク政権と協力関係を深め、イラク国民の理解を得るよう努める必要がある。
決議は国連加盟国に、イラク政府との合意の下、「軍隊を含め、多国籍軍への支援に貢献」するよう求めている。
日本は、自衛隊を派遣して、人道復興支援活動の一翼を担ってきた。新たな決議は、活動継続のための十分な根拠となるものだ。自衛隊の駐留を続けることが重要だ。
イラクの復興促進は、イラクのみならず、中東地域全体の安定につながる。輸入原油の約九割を中東に依存している現実からも、イラク支援は日本の国益に合致する。積極的に取り組むべきだ。
(2004/6/10/01:50 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040609ig90.htm