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http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/20040605.htm
失われたマトリックスを求めて No.37【2004年6月5日】
奪われ続ける日本
2003年10月23、24日、スペインのマドリードで「イラク復興支援会議」が開催され、全世界から73の国と20の国際機関が参加し、復興に必要な資金として総額330億ドル(3兆6300億円)の拠出が表明された。その内日本が5500億円であり、世界銀行(WB)と国際通貨基金(IMF)を除けば、アメリカと日本にほとんど偏っている。この会議に先立つ下院歳出委員会の公聴会で、9月30日、アーミテージ国務副長官は「われわれは日本と集中的に取り組んできた。彼らは気前のいい約束をすると思う」と発言し、かなり強引に日本の拠出額が決められたようだ。まるで自分の家にある金庫に、アメリカ人が勝手に入ってきて、何の説明もなく好きな具合に持ち出されてしまったような流れである。
しかも取りまとめ役であるアメリカの財政赤字がひどく、2004年度会計が5250億ドル(約58兆円)の赤字になる見通しであるために、結局のところ、日本だけが正直に表面額どおりに拠出する流れになると思う。今や日本は、公的部門だけで800兆円もの赤字を抱えて、医療保険や国民年金等はじめとしてすべてを増税の方向に持っていこうとしている国が、外に対してはなんとも気前がいいのである。そして注目すべきは、すべて何らかの国際機関を通じての援助ということである。つまりその先の金の行方に関しては、いっさい我関せずなのである。世界ひろしと言えど、恐らく、こんな国は日本だけだと思う。
普通、国際機関の仕事配分は熾烈な競争の中で、様々な怪しげなお金や政治力がうごめく世界である。そんな風なドロドロした利権略奪戦のなかで、日本政府だけは例外として、声高に人道支援」や「平和貢献」を叫んでいるのである。一方ブッシュの方はといえば、他国が供出した資金(そのほとんどは日本の資金)を国際機関を通すことで、いかに自国企業(カーライルやハリバートンやベクテル)に還元するかしか考えていないのである。アメリカの利益(もっとはっきりいうなら自分の関係する縁故企業)のためなら、「人道支援」も「平和貢献」もなしである。
もちろんアメリカは自分がしているようなことをもし他国がするなら、絶対に許さないのである。そんなことが実際に起きたなら、先制攻撃も辞さないのである。なぜなら、アメリカは特別な国だからである。それがアメリカの言う「正義」であり、民主化である。それが真実だからこそ、1991年の湾岸戦争で戦費を90億ドルという異常なお金を負担したにもかかわらず、「世界のATM」と皮肉られたうえに、これっぽっちも感謝されなかったのである。
その嫌な記憶ゆえに、今回の自衛隊派遣へとつながるのだが、アメリカはそんなことで満足するはずがない。アメリカの「ホンネ」は、サマワにおける自衛隊なんてむしろ邪魔なだけで、世界から「イラク復興資金」を略奪する道具として、日本をパフォーマンスとして利用したいだけなのである。前回のアフガンの戦争でも、日本は、体よく復興会議の議長を務めさせられて東京で会議を開催したにもかかわらず、結局のところ、参加国中最大のお金を気前よく提供させられてしまっている。もちろんそのお金がどのように使われたのかは、例によってさっぱり分からずじまいである。
今回のイラク復興支援のお金も、資金の提供先である暫定当局(CPA)も、その他の国際機関も、結局のところアメリカ政府のフロント機関なのだから、訳も分からずにアメリカにお金を預けることになってしまうだけである。日本の「人道支援金及び復興支援金」でプライベート・アーミーを雇って怪しげなテロを頻発させたり、イラク人人質を洗脳しようとしてミリタリー・サービス会社から虐待のプロを雇おうとも、そんなことまで日本は知るよしもないのである。
もちろん、こんな風な流れは「イラク復興支援金」だけに限ったことではない。2004年度の外国為替資金特別予算(為替介入資金)を140兆円という馬鹿げた数字を計上して、円高対策だというフリをして、大量に買ったドルを米財務証券に換えることで、アメリカの金持ちに対する減税を支え、アメリカの株価を維持するための財源を与え、さらにイラクに13万人の米軍を駐留させている経費に充てられているのである。
そればかりかアメリカから導入予定のミサイル防衛(MD)システムをめぐり、日本政府は、約1000億円の契約を、2004年度初期整備費として結ぶ方針を固めたのである。このミサイル防衛システムは、以前のコラムでも書いたように、いままで約824億ドル(約9兆円)もかけて、いまだに当たるかどうかもよくわからない不可思議な代物で、軍産複合体の利権のために存在している金食い虫以外の何物でもないのである。このミサイル防衛システムの営業のために、ならず者金正日の北朝鮮が脅威だというありもしないファンタジーを意図的に創作されてきたのである。こんなふざけたミサイル防衛構想に、またもや約1兆円もの国民の貴重な血税がつぎ込まれようとしている。
そして前回の5月28日のコラムで書いたように、今回の拉致問題での食料25万トンと1000万ドル相当の医療品支援にしても、一度国連へお金を拠出する方式になっているために、国連と日本政府のあいだで、またしても多くの費用が国民の手の届かない薮のなかで消滅してしまうことになる。しかし書き出したら切りがないので、もうこれ以上は書くのをやめる。正直言うと、書いている私まで、なんだか気がめいってきてしまうんだよなぁ。
でも、あえてこれらの事を拾い出して書くのは、英米の国際金融勢力の「エゴ」が創り上げた様々な「幻想」を剥ぐためである。それらの虚構の「罠」から自由にならないと、本当の自分のために、私たちが何をやらなければならないのかが見えてこないからである。つまり、最初に「幻想」からの自立ありきなのだ。それさえ私たちが分かってしまえば、未来への軌道修正は可能なのだ。