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H16/06/03
去る五月十五日、本土復帰三十二年目を迎えた沖縄では米軍基地の撤去を訴える平和行進が行われ、米軍普天間飛行場の移設予定地の名護市辺野古では建設のための調査を阻止する座り込みが行われた。
戦地への出撃基地
私事だが、沖縄が本土返還された一九七二年は日本で株式会社アシストを設立した年でもあるのでとても印象が深い。当時、沖縄の人はもちろん、日本人の誰もが本土並みという形で沖縄が日本に返還されることを願っていたことであろう。
しかし、返還から三十二年間経った今も、米軍基地は二割も減ってはいない。それどころか沖縄返還に核持ち込みの「密約」があったことは今や“公然の秘密”でもある。日本に核兵器が配備されていることは、日本政府の「非核三原則」に違反する行為であるばかりか、世界で唯一の被爆国にとっては実に皮肉なことである。
日本にアメリカの軍事基地があるからといって、日本が他の国から侵略されることを防いでいると思ったら大間違いで、ミサイルが飛んでくる時代ではよほど運がよくない限り敵の攻撃を防ぐことは不可能である。一九九〇年の湾岸戦争のときも、アメリカがイラクのスカッドミサイルを最新迎撃システムですべて打ち落としたといわれているが、のちの調査でそれは誤りで抑えきれていなかったことが報道されている。
結局日本にある米軍基地とは、一九六〇年代のベトナム戦争では補給基地として利用され、ベトナム人を殺すために多くの爆撃機が飛び立っていった場所であり、今のイラク戦争でも沖縄米軍基地の施設で訓練を受けた海兵隊員千六百人が、七百人を超すイラク人死者を出すファルージャに投入されるなど、今も昔も出撃基地として使われているのが現実である。
日本が賠償肩代わり
日米安保条約では、基地の提供以外に軍隊を維持することに伴う経費を日本が負担する義務はなかったにもかかわらず、政府はそれを地位協定の枠内での予算の執行だと主張し、その言い訳が難しくなると、八七年には駐留経費についての特別協定をアメリカと結び、今日は光熱水料や訓練移転費などさまざまな費用を負担している。二〇〇四年度の在日米軍駐留経費負担は二千四百四十一億円にも及ぶ。
それだけではない。五月十四日付の沖縄タイムスによると、主人にたてつくことのできない奴隷のように、米軍基地の爆音訴訟で確定した損害賠償金を支払わないアメリカ政府に対し、その支払いを強く求めることもできないでいるというのである。地位協定は米軍の公務中による民間人への損害賠償については、アメリカだけに責任がある場合の賠償金はアメリカが75%、日本側が25%の分担をするという、もともとが不平等な協定であり、被害者である日本国民が自分の払う税金から賠償金が受け取るという仕組みなのだ。
ところが、この第一次嘉手納爆音訴訟はすでに判決から6年が経った今でも、協定に基づく正当な支払いさえなされてはおらず、日本政府が肩代わりして支払っているというのである。アメリカ政府は横田や厚木基地をめぐる損害賠償金の分担も拒否しており、日本政府といっても、税金によって支払われているその負担者は国民である。
“差別”解消されず
日本本土に住む人々と沖縄の米軍基地問題について話をするとき、なぜか私はアメリカで白人が黒人に対してとるのと同じような態度を感じる。一言でいうとそれは“差別”という言葉になるが、政治家や外務省をはじめとする官僚、そして本土の日本人は本当に沖縄を自分の国、自分と同じ日本国民だと心から思っているのだろうか。
「日本はアメリカのおかげで立派な国になれた、アメリカの軍隊に守ってもらわないといけないから日本に米軍基地は必要だ。でも東京にあったらうるさいし、危ないので自分たちから離れている沖縄に置けばいい」。
アメリカ政府が白人を大切にするように、日本政府がとる政策も本土の人々のことしか考えていない。米軍基地は沖縄県の10%以上、沖縄本島の20%近くも占める。日本の国土面積の0・6%しかない沖縄県に、日本の米軍施設面積の75%が存在するのだ。
一九四五年、沖縄は太平洋戦争で日本において最初で最後の地上戦の場となった。日本軍の兵士だけでなく多くの民間人を巻き込んで激しい戦闘が繰り広げられた。これは本土決戦を遅らせるための持久戦であったことを考えると、日本政府の沖縄軽視は歴史的なものだといえる。
沖縄戦での戦死者は約二十万人、そのうち十二万人が民間人であったという。そして沖縄の日本軍が降伏調印したのは九月七日、ポツダム宣言を受諾した半月以上も後のことであった。(アシスト代表取締役)
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