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6月3日付・読売社説(2)
[暫定政権発足]「イラク混迷打開の契機となるか」
ブッシュ米大統領が述べたように、「一歩前進した」ということだろう。
今月末、連合国暫定当局(CPA)から主権の移譲を受けるイラク暫定政権が発足した。これまで限定的な行政権限を行使してきたイラク統治評議会は、解散した。
これで、イラク再建への展望が一挙に開かれるわけではない。しかし、混迷するイラク情勢を打開するには、予定される政治日程を着実にこなしていくことが重要だ。暫定政権には、主権移譲や直接選挙などの日程をしっかり履行していくことを期待したい。
政権を担うメンバーの人選は、難航を極めた。当初、米英両国の支持を受けた国連の主導で、暫定政権作りが進むものと見られていた。
国連の構想では、米国主導で作られた統治評議会メンバーを、暫定政権から出来るだけ排除する点に主眼が置かれていた。反米機運の中で悪化した治安の改善のためには、政権の米国色を薄める方がいい、との判断があったと見られる。
だが、権限を失うことに危機感を抱いた評議会が巻き返しを図った。大統領や首相の顔ぶれからも、評議会の意向が強く働いたことがうかがわれる。
国連の狙いが頓挫したことで、結果的に暫定政権の先行きには不透明感が漂うことになった。とかく米国寄りと見なされ、国民に人気のない評議会の影響力が残るのは、プラス材料にはならない。
政権の最大の任務は、来年一月に予定される国民議会選挙の実施である。そのためには、暫定政権に対するイラク国民の支持を確固としたものにする努力が必要だ。国連を始め国際社会の懸念が杞憂(きゆう)に終わるようにしなければならない。
暫定政権が発足した日、バグダッドなどで爆発事件が起き、多数が死んだ。国の復興を望まない勢力の仕業であるのは明白だ。治安の改善も、暫定政権の課題である。それが実現できなければ、直接選挙など絵に描いたもちになる。
無論、治安の改善には、米国を中心とした国際社会の後押しが欠かせない。そのためには、主権移譲に向けた国連安保理決議を採択することで、国際社会が一致した支援体制をとる必要がある。
暫定政権発足後、米英両国は、先に提示した決議案の修正案を示した。独仏などの批判に応え、主権移譲後に治安を担う多国籍軍の駐留期間を限定する一文を加えた。
今月は、主要国首脳会議など国際会議が目白押しだ。首脳同士の建設的な協議で、イラク問題をめぐる各国の相違を克服する契機にしてもらいたい。
(2004/6/3/01:30 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040602ig91.htm