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最新ハイテク兵器が満載――米海軍の『海上ラボ』
Noah Shachtman
2004年5月28日 2:00am PT ニューヨーク発──米海軍の首脳が27日(米国時間)、ニューヨーク入りし、スプレー式の装甲やリモコン式ライフル銃、燃料補給なしに何ヵ月も航行できる無人潜水艇、アラビア語やペルシャ語を自動翻訳する携帯型翻訳機など、数々の新しい兵器や機器を披露した。
米海軍研究局(ONR)はニューヨークで毎年5月に開かれる式典『フリート・ウィークの一環として、マンハッタンのウェストサイドに『海上ラボ』を停泊させる。今年は、この全長約33メートルの警備艇において、20以上の技術プロジェクトが披露された──その多くはイラク向けのものか、中東から帰ってきたばかりのものだ。
簡単に装着できるスプレー式装甲: イラクに駐留する米軍の大型軍用車『ハンビー』は、道端に仕掛けられた爆弾や携行式ロケット弾(RPG)により、ほぼ毎日のように爆破されているようだ。しかし米軍幹部は、重くなりすぎると転倒しやすくなるため、ハンビーに余分な装甲を付けることについては慎重な態度を取っている。
これに対してONRは、スプレー式の高分子化合物を用いることで、重量を増やさずに車両を防御できるかもしれないと考えている。ポリウレア樹脂でコーティング(写真)を行なうと、固まれば表面はゴムのような手触りになるが、最近行なわれたテストで、このコーティングが大口径の銃弾を食い止め、ハンビー内部のダミーのドライバーを救ったのだ。
同様の物質はトラックの荷台を固くするのに使われてきた。ただしONRでは、このスプレー式装甲でなぜ防御ができるのか、本当のところはよくわかっていないという。
「この仕組みを解明するための研究グループが設けられている」と、ONRのあるプログラムマネージャーは先月、米軍専門紙『アーミー・タイムズ』で述べている。
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長距離航行が可能な無人潜水艇: 無人航空機や無人艇のほとんどはガソリンやディーゼル燃料で動く。そのため燃料タンクが空になると補給のために基地に戻らなければならない。しかしONRの無人潜水艇『シーグライダー』は、こうした燃料はいっさい使わない。重さが約50キロのこのイルカのような形をしたピンク色のロボット(写真)は浮力の変化を利用して前に進む。シーグライダーがロボットの最長海上航行記録──5ヵ月間、約2700キロメートル──を達成できたのもこのためだ。
ショットグラス数杯分ぐらいの大きさの浮き袋を膨らませることでシーグライダーの体積をほんの少しだけ変化させ、それによって潜水・浮上を行なう。そしてこの上下動がグライダーの翼により水平方向の動きに変換される(日本語版記事)。方向転換は、内部のバッテリーパックの位置を移動させることで行なわれる。
ONRから資金を受けて研究を行なっているワシントン大学海洋学部の科学者、ニール・ボーグ氏によると、これまでにシーグライダーは11艇作られており、さらに11艇がもうまもなく工場から出荷されるという。
今のところシーグライダーは、主として水中環境の調査に使われている。シーグライダーのセンサーは、海中の塩分濃度やクロロフィル濃度、溶存酸素の変化を測定できる。しかし将来的には、軍事的用途に利用される可能性もある。シーグライダーは、機雷除去のために、まっ先に警告を発してくれるかもしれない──燃料補給のために停止する必要もないのだ。
シーグライダーのほかにも、多くのロボットが海上ラボの甲板上に展示されたり、あるいは周囲を航行していた。イラクで海兵隊員が使用した全長2.4メートルの無人偵察機『シルバー・フォックス(日本語版記事)』の改良版もあった。さらにイラクでテストされた無人偵察機『ドラゴン・アイ(PDFファイル)』や無人偵察車『ドラゴン・ランナー(PDFファイル)』――どちらも背嚢に入るくらい小さく、丘の向こう側や、街中で次の通りの周辺を偵察する時に取り出して使う――も展示されている。
海上ラボ周囲の水域をパトロールしているのは全長4.9メートルの無人艇『シー・フォックス』だ。カメラ一式を装備したこの無人艇は、2000年に米駆逐艦『コール』が攻撃されたときのように爆弾を積んだボートに乗ったテロリストがいないかどうか、絶えず警戒を行なう。
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遠隔操作可能なライフル銃: 通常、兵士が銃撃のために立ち上がると、敵の砲火にその身をさらけ出すことになる──そして銃撃音により、敵にあらからさまに居場所を知らせることになる。しかし海兵隊では、ライフル銃を遠隔操作することで、このような事態を回避できるかもしれないと考える。『遠隔高速照準プラットフォーム(写真)』(TRAP)は、攻撃地点から200メートル近く離れた場所に居ながら、銃撃を可能にする。
回転式の三脚には、5.56ミリや7.62ミリ、12.7ミリ口径のライフル銃が取り付けられる。そして武器の横側と銃の照準にそれぞれカメラがついている。これらはブリーフケース大の制御機器と、銃のグリップのような形をした小さなスクリーン付きのリモコン装置に接続されている。
このリモコンで海兵隊員は画面を切り替えることができる。一つ目の銃の横のカメラで周囲を確認し、引き金を引く準備ができたら照準に付けられた二つ目のカメラに切り替える。すでに米国の地方警察ではこの種のシステムを採用している。しかし海兵隊が使うTRAPでは、距離を隔てた場所からライフルを6丁まで制御できるとディエゴ・ジョンソン二等軍曹は説明する。今後計画されているアップグレードにより、さらにマシンガンも使用可能になる予定で、TRAPはいよいよ凶暴になるだろう。
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砂ぼこり防止溶液: 米軍の『アパッチ』や『ブラックホーク』といったヘリコプターは、砂漠ではものすごい砂ぼこりを巻き上げるため、パイロットは着陸場所がわからなくなることがある。アフガニスタンやイラクでの戦争においては、こうした視界不良が原因で、まっ先に命を落とした者もいた。
この問題に対する海軍が出した解決策は、「地面をクッキーのように扱う」というもの。
小麦粉に砂糖と熱を少し加えれば焼き菓子になるのとまさに同じ方法で、砂漠の砂を固めることができるというのだ。海軍の研究者たちは、砂ぼこりの細かい粒子を半硬質の状態に変える(写真)スプレー式の砂糖溶液を開発した。溶液は、アリゾナ州ユマにある海兵隊飛行場でテストされたばかりで、海外への初進出に向けて目下準備中。中身にチョコレートチップが入っているかどうかは、今のところ不明だ。
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携帯型翻訳機: カメラ付き携帯電話やデジカメは、とりわけイラクのアブグレイブ刑務所でのスキャンダルが発覚して以来、米国防総省を動揺させている(日本語版記事)かもしれない。しかしONRは、文章や街中の標識や看板をほぼ瞬時に翻訳するために、こうした機器が活用できると考えている。
アラビア語の新聞や中国語のメニュー、ペルシャ語の説明書などを撮影し、画像を、ONRが提携するスピーチギア社(本社ミネソタ州ノースフィールド)のサーバーに送る。
スピーチギア社は画像を処理し、画像内のテキストの位置を特定するためにピクセル単位で色の変化を調べる。そしてテキスト周辺の補正を行ない、必要に応じて画像の歪みを補正するために画素を加える。画像が正しく表示されると、光学式文字認識(OCR)ソフトウェアと翻訳データベースを使って書かれた内容を調べる。テキストの英訳はおよそ15秒で携帯機器に送信される。
翻訳は正確ではない、とスピーチギア社のロバート・パームキスト最高経営責任者(CEO)は明かす。「しかし撮ったものが食料雑貨リストなのか、大使館への襲撃計画なのかぐらいはわかるだろう」
[日本語版:高橋達男/多々良和臣]
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040531301.html