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『中国、日中境界海域に施設』
5月28日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20040528/mng_____kei_____004.shtml
東シナ海 ガス採掘へ建設
東シナ海で調査活動を続けてきた中国が、日中中間線ぎりぎりの中国側海域で、天然ガスを採掘するための施設建設に着手したことが二十七日、航空機からの本紙調査で確認された。資源が日本側にまたがれば埋蔵割合に応じて配分を中国側に求めることができるが、日本側に具体的な資料はなく、中国側が独占する可能性が大きい。採掘には米国と英国・オランダの石油企業が一社ずつ加わっており、日中間の新たな懸案に発展する恐れがある。
■資源独占の恐れ
採掘施設は「春暁ガス田群」と呼ばれるガス田群のうちの「春暁」で、日中中間線から中国寄りに約五キロの距離にある。東シナ海に中国が一九九八年に初めて造った海上ガス田「平湖ガス田」は中間線から約七十キロの距離にあり、春暁ははるかに日本側に寄っている。
春暁ガス田群は九五年、中国が中間線をはさんで中国側と日本側での試掘に成功し、豊富な天然ガスを確認した。日本側での試掘は無断で行われた。
採掘施設は今月二十三日、巨大なやぐらが海底に設置され、二十メートル四方の足場が海面に姿を見せた。年内には完成し、海底パイプを通じて中国本土の寧波に年間二十五億立方メートルの天然ガスが送り込まれることになる。
採掘を請け負っているのは、中国の「中国海洋石油総公司」「中国石化集団公司」のほか、米国の「ユノカル社」、英国・オランダの石油メジャー「ロイヤル・ダッチ・シェル社」の合計四社。
春暁ガス田群には五カ所の鉱区が設定され、春暁に隣接した「宝雲亭」で第二の採掘施設の建設計画があるほか、平湖ガス田の南方五十キロでも試掘調査が進められており、日中中間線付近に大規模なガス田群が誕生するのは時間の問題となっている。
東シナ海に眠る石油や天然ガスは黒海油田に相当する推定七十二億トンとされる。その大半が日中中間線の日本側にあるとみられている。石油や天然ガスなどの地下資源が複数国にまたがった場合、埋蔵資源の体積に応じて配分するのが国際常識とされる。
だが、日本政府の調査は、地質構造を探る程度の基礎調査にとどまり、配分を求める根拠を持ち合わせていない。このため、専門家の間では、春暁ガス田群の建設によって東シナ海が事実上、「中国の内海」となる可能性が指摘されている。
■調査予定ない
経済産業省資源エネルギー庁の話 南西諸島西側海域は海底の地層を調べる二次元探査を過去に二回行った。これ以上の詳しい調査は、境界画定のため両国の合意をうたった国連海洋法条約の趣旨から慎重にならざるを得ず、現時点で詳細な調査を行う予定はない。中国が何をやっているか知る立場にない。
(メモ)日中中間線 東シナ海の日本と中国両国の領海基線(海岸線)の中間に引かれた線。日本側は尖閣諸島(中国名・魚釣島)を含む領海基線で線を引き、その東側を排他的経済水域(EEZ)として天然資源の開発・所有権を主張している。一方、中国側は中間線を認めず、中国大陸から中間線を越えて、南西諸島西側に広がる沖縄トラフ(舟状海盆)までの大陸棚全域がEEZと主張し、争っている。
『境界海域の中国ガス採掘施設』
5月29日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040529/mng_____kakushin000.shtml
省庁、責任“なすり合い”
東シナ海の日中境界海域で中国側による新たな天然ガス採掘施設の建設が明らかになった二十八日、東京・永田町の自民党本部で「海洋権益に関するワーキングチーム」(武見敬三座長)の会合が開かれ、政府に厳しい批判が集中した。海底に眠る膨大な天然資源をみすみす中国に奪われる可能性がありながら、有効な対策を持たない政府。官庁間で責任をなすり合う構図も見え隠れし、議員からは「権益を守る意識があるのか」と怒号が飛んだ。 (社会部・浜口武司)
午前八時、非公開で始まった会合には衆参国会議員三十二人が集まった。説明のために呼ばれた内閣官房や外務、防衛、資源エネルギーなど各省庁の担当者に、議員から厳しい叱責(しっせき)が浴びせられた。
「十年前から中国は調査しているのに、日本はなぜやらなかったのか」「中国に天然資源をすべて持っていかれていいのか」。興奮した声が、部屋の外まで聞こえてきた。
今年三月、尖閣諸島(中国名・魚釣島)に中国人七人が上陸。島の領有権に危機感を抱いた自民党は、外交調査会に同ワーキングチームを設置、日本の排他的経済水域への侵犯を繰り返す中国の海洋調査船などへの対策を検討するため、週一回のペースで会合を開いてきた。
政府批判の先頭に立ったのは、舛添要一参院議員。ガス田開発を伝える二十八日付の本紙報道を取り上げ、「海底資源が日中中間線の日本側にあっても、調査もしていなければ所有権を主張できない。中国が採掘を始めれば、資源を全部持って行かれる。どこの役所が最初に問題提起するのか」。
しかし、各省庁の説明は責任のなすり合いとも取れる内容だ。「(外務省が)中間線を画定させないと、試掘はできない」(エネルギー庁)。「中国側に抗議しようにも、根拠となる(エネ庁の)資源データがない」(外務省)
舛添議員は、「内閣官房も、外務省も自分から動こうとしない。まったく無責任だ」と憤慨する。
元防衛庁長官の玉沢徳一郎衆院議員は「外務省は中国と話し合いをしているというが、全然進んでいない。わが国も独自に採掘するという判断をしないといけない」と強硬論を展開していた。
■平松茂雄・杏林大教授寄稿 予想超す速さで完成も
本紙記者とともに航空機に乗り、春暁ガス田群を確認した杏林大学の平松茂雄教授(専門は現代中国の軍事・外交)に寄稿してもらった。
春暁ガス田は一九九五年に自噴に成功して以来試掘が続けられ、九九年、本格的な石油採掘のための評価井のボーリングが実施された。春暁ガス田の北方約七十キロには平湖ガス田があり、天然ガスは上海浦東で使用されている。平湖での試掘は八〇年代を通じて行われ、九四年から具体的な準備が始まった。この先例から、春暁の採掘施設完成は二〇一〇年ごろまでであろうと私はみたのである。
だが、現地を航空機から見ると、今年末には完成するとみられ、私の予想を大きく上回る速度で進展している。一帯は春暁を中心に、天外天、残雪、断橋のガス田群からなる。契約調印式に温家宝首相が出席したことが示すように、この海域の開発は国家次元での計画である。
平湖から春暁ガス田群が所在する地質構造は、日中中間線を越えて日本側海域へと南方に延びており、中国はこの地質構造を「西湖盆地」と命名している。西湖は対岸の杭州にある名勝地。この由緒ある地名を付けたことは、この海域の地下資源は中国に権利があるとの意思表示である。
現実に数年来日本側海域でわが国政府の停止要請を無視して中国は綿密に調査し、ある地点では試掘を実施して自噴を確認している。このままの状態が続くと、日本側海域の海底石油資源は中国の主導による国際共同開発に発展することになろう。
最後に春暁開発に米国石油企業が参加していることに触れておきたい。南シナ海ベトナム沖海域での石油開発で、中国は米国企業が参加する先例をつくっている。これは石油開発をめぐって起きる紛争に備えての予防措置でもある。わが国には尖閣諸島をめぐる紛争で日米安保に期待する声があるが、安易にすぎる。