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占領後のイラク・主権移譲の裏で:
/1 あちこちに星条旗やハンバーガー店
◇「ここはアメリカになった」
◇行政にも「介入」、実権なお
バグダッド中心部の共和国宮殿敷地。旧政権時代には、フセイン大統領の執務棟のほか、大小数十にも及ぶ建物が並び、国民は「近寄ることさえ恐れた」といわれる。
昨年4月のバグダッド陥落以来、駐留米軍の拠点となり、今では星条旗があちこちではためく。米国大手ハンバーガーチェーン店が出店し、付近を短パン姿の米国人がジョギングする。宮殿で働くイラク人の一人は、「ここはすっかりアメリカになった」と語る。米国化した旧政権中枢施設は、米国のイラク占領を象徴する場所でもある。
今月末のイラク人への主権移譲を控え、米大使館をどこへ置くかなど、イラク暫定政府と米政府の間で協議が続いている。宮殿内で勤務する米軍中級幹部が語る。
「当面は宮殿敷地内の建物を暫定大使館にする。宮殿周辺には小学校から大学、大型ショッピングセンターのほか、大使館職員の住宅群を造成する。治安状況が許せば、すぐに取り掛かる用意はできている」
宮殿そのものを大使館にするには、イラク人からの反発が予想される。このため約2年かけて宮殿近くに大使館ビルを建設し、職員約3000人とその家族の住む巨大な「アメリカ村」を造る。米国が描く将来像は、イラクへの影響力保持を強く印象づけるものだ。
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「職員1万5000人の通信省でわずか20人。4万5000人の電力省でわずか9人……」。米英占領当局(CPA)のセナー報道官は15日の記者会見で、主権移譲後に各省庁に残る米政府のアドバイザー(顧問)の数を発表した。米国人アドバイザー155人はこれまで事実上の政策決定権を握ってきた。「わずか」という表現ながら、その多くは留任し、予算編成や法案の起草、経済政策の立案を支援する。
住宅供給省に勤めるイラク人職員は「CPAは解体されるのだから当然、アドバイザーはいなくなると思っていた。米政府による行政への介入だ」と語る。イラク紙「アルカシード」のアブドルラーマン・イナド編集委員は「英国が80年前にイラクを占領した時も、直接統治でなく、自国のアドバイザーを各省庁に送り込んだ。手法はそれと同じだ」と分析する。
旧統治評議会メンバーのヨナデム・カナ氏は、アドバイザーの役割をこう説明した。「米国は単独で186億ドルをイラク支援に拠出している。この使い道を監視する権利が彼らにはあるのさ」
カネとアドバイザーによる「間接占領」とも言える手法は、国連安保理決議に基づき、石油収入や国際支援をプールしてイラク復興に使う「イラク開発基金」にも当てはまる。基金の管理は主権移譲でCPAからイラク財務省に移るが、その用途を監督する国際監視理事会のイスには、国連、国際通貨基金(IMF)、世界銀行など米国の影響の強い組織の代表が座る。
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「イラクの治安機関は装備・訓練とも不十分。多国籍軍の協力が必要だ」。イラク暫定政府のアラウィ首相は20日の記者会見で、多国籍軍の役割に期待を表明した。
行政、経済、安全保障……。主権移譲というセレモニーの後も、あらゆる分野で「米国の影」が残る。そのイラクの「占領」後の姿を追った。【バグダッド大木俊治、小倉孝保】=つづく
毎日新聞 2004年6月26日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20040626ddm007070061000c.html