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http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040626/mng_____kakushin000.shtml
内閣支持率 異変あり
発足以来、高水準を続けてきた小泉内閣支持率に、異変が見られる。今月に入ってからの世論調査で、支持率は急降下。さらに、調査をした報道機関によって数値に大きな差が出ている。この現象はなぜ起きているのか。世論調査の分析に詳しい明治学院大の川上和久法学部長の話をもとに、謎を探っていくと、今の小泉内閣の特殊性にぶち当たった。
(政治部・金井辰樹、岩田仲弘)
■なぜ急降下
最近、主な報道機関が行った小泉内閣の支持率は別表の通り。急落傾向が、はっきり出ている。
先の通常国会で、年金制度改革関連法を成立させたこと、十分な説明のないままにイラクで編成される多国籍軍への自衛隊参加を決めたこと、「人生いろいろ」など荒っぽい発言の「三点セット」が下落の要因というのは、衆目のほぼ一致するところだ。
川上氏は、さらに「民主党代表に岡田克也氏がついたことが大きかった」と指摘する。
もし菅直人前代表が論戦相手だったら「人生いろいろ」発言は「新鮮で巧妙な切り返し」と評価されたかもしれない。
だが、愚直さを売り物にする岡田氏の登場により、首相の発言が、国民に不誠実に映り始めた可能性があるというのだ。
首相はよく「仮想敵をつくることで、支持をつなぎ留める天才」(自民党幹部)といわれてきた。党内の抵抗勢力、建設業界、そして野党の党首が、これまでの「敵」だった。首相は、岡田氏との対決構図の設定に苦労しているといえるかもしれない。
■なぜ大きなズレ
五社の世論調査は、ほぼ同時期に行われたが、A社とC社では15ポイント近い差がある。またE社の調査は、前回よりも上がっている。このばらつきは、どこから出ているのだろう。「調査もいろいろ」では済まされない。
一般論として、保守的なメディアが調査すると自民党支持率は高めに出て、リベラルな新聞なら、その逆の傾向が出る。
小泉内閣に批判的な人がいて、首相に好意的な論調が多い新聞から調査依頼を受けたとする。その人が短気な人なら「おたくの新聞は嫌いだ」と言って協力を拒否するかもしれない。優柔不断なところがあれば、新聞社の論調を意識して首相に好意的な回答をしてしまうかもしれない。支持率は、あくまで調査に協力してくれた人の中の割合をはじき出すため、このような人が出れば、支持率は高めに出る。
しかし、こういった誤差は、通常数ポイント程度。これが15ポイント近くまで広がっているのはなぜか。川上氏は「今、小泉内閣の支持が『踊り場』にきているからだろう」と推測する。
国民の多くは「年金」「多国籍軍」などで首相に違和感を持ち始めてはいるが、これまで好感を持ってきたこともあって、支持、不支持を決めかねている。階段でいえば、ちょうど「踊り場」にいる国民は、質問の仕方や、調査する報道機関など、ちょっとした要因で「支持」にも「不支持」にも振れるということだ。
■再浮上はあるか
七月十一日投票の参院選を前に支持率は今後、どう動くだろうか。
小泉内閣の支持率は二〇〇二年一月、田中真紀子外相(当時)を更迭した直後も急落したが、その後、見事に持ち直した。今回も得意の「サプライズ」(びっくり)で、再浮上のきっかけをつかむことも考えられる。
だが、川上氏は悲観的な見通しを示す。マスコミは今、支持率が下がった原因として「年金」「多国籍軍」問題を徹底的に掘り下げている。国民はこの二点について深く知り、新たな矛盾や疑問を感じ始める。首相にとっては悪循環となり、支持率が下がり続ける可能性はあるという。
踊り場にある国民の支持が再び上昇するか、それとも底割れするか−。現状で見極めは難しいが、この推移が参院選の結果を大きく左右することだけは、間違いない。