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社説:6カ国協議 核実験の脅しもう通じない
北朝鮮の核問題をめぐる第3回6カ国協議は25日までに実質的討議を終えた。日韓との協議を踏まえて米国が示した新提案に北朝鮮がどこまで誠意をもって応えるかが今後の焦点となる。
今回の協議では、「核全廃」を前提として、凍結後の多国間エネルギー支援や暫定的な安全の保証を含む具体的な筋道を米国が初めて提案した点に注目したい。
この提案を受けて、北朝鮮も凍結対象や査察検証の枠組みに踏み込んで自らの立場を説明した。
過去2回の協議(昨年8月と今年2月)では「検証可能で後戻りのできない完全な核放棄(CVID)」を掲げる日米韓と、核施設の凍結だけで補償を求める北朝鮮が原則論の応酬に終始した。議長国の中国は共同文書すらまとめることができなかった。
米朝双方の詳細な対応は次回の協議までに各国が本国に持ち帰って検討することになるが、凍結から完全廃棄へ向かうために、詰めるべき具体的課題が浮かび上がってきた。そのことは今回の成果として前向きに評価していい。
米国の提案は、3カ月間の準備期間を与えてすべての核計画、施設、核物質を開示し、凍結・査察を経て最終的に全面廃棄に至る手順を明示した。韓国の3段階方式の考え方や、北朝鮮が主張してきた「同時行動」の原則にも配慮している。北朝鮮に時間稼ぎや逃げ道を与えない意味でも、妥当なたたき台と受け止めたい。
一方で、過大な期待を抱くべきでないこともおさえておく必要がある。第一に、北朝鮮はまだ核全廃を確約したわけではない。日米韓は北朝鮮への配慮から「CVID」の表現を避けたものの、「核全廃の約束」は凍結とエネルギー支援に踏み込む大前提だ。これを譲るわけにはいかない。
第二に、凍結対象や査察方法でも、北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)による検証を除外するなどあいまいな点が多い。日米韓が指摘してきた濃縮ウランによる核兵器開発については、その存在も含めて北朝鮮は全面否定を貫いている。この問題と、核平和利用の権利を容認するかどうかでは、中国と米国の間で意見の食い違いも表面化している。
北朝鮮をめぐる今の情勢が日米韓に有利でないことは否定できない。11月に大統領選を迎えるブッシュ米政権はイラク主権移譲や選挙戦などで手いっぱいの状況だ。拉致を抱える日本、イラク派兵や在韓米軍再配置に追われる韓国も複雑な事情を抱えている。
そうした状況にあるからこそ、日米韓にとって大切なのは核全廃の実現に向けて協調と結束を堅持していくことだ。「朝鮮半島の非核化」という目標では、日米韓も中露も一致している。
北朝鮮は核計画のすべてを開示し、誠実に凍結から廃棄へ向かう姿勢を国際社会に示すべきだ。短期的には有利に見えても、核実験などの脅しによって利を得ようとする姿勢を改めない限り、国際的孤立から脱する道はないことを自覚してもらいたい。
毎日新聞 2004年6月26日 1時50分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040626k0000m070150000c.html