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6月26日付・読売社説(1)
[イラク情勢]「主権移譲阻むテロ跳梁を許すな」
イラクの五都市で、警察署などが襲われ、約百人の死者、数百人の負傷者が出た。
六月三十日には、米英主体の連合国暫定当局(CPA)からイラク暫定政権に主権が移譲される。それを目前にしての襲撃だ。
襲撃の狙いが、治安情勢を悪化させ、イラクの円滑な主権移譲を阻止することにあるのは明らかだ。銃器やロケット砲による攻撃、自動車爆弾テロなど、襲撃の手口は様々だったが、標的は、警察署や警察学校、検問所など、治安に関係した施設に集中していた。
暫定政権や米国の“無力”ぶりを印象づけようとしたのだろう。
主権移譲を前に、イラク各地で、軍・警察への襲撃、要人や外国人へのテロが頻発している。一連の事件では、多くの場合、ヨルダン人テロリスト、ザルカウィが率いるとされる、イスラム過激派「タウヒード(神の唯一性)とジハード(聖戦)」が犯行声明を出している。
このテロ組織は、イラクへの三千人増派を決めた韓国政府に撤退を要求し、拒否されると、韓国人人質を殺害した。
テロの拡大で混乱が深刻化すれば、イラクは無政府状態に陥ってしまう。それは、安定した国家の樹立を目指すイラク人の願いに背くものだ。
イラクではすでに、二十六の全省庁で行政権限がCPAからイラク人の手に移った。主権移譲後は、暫定政権の下で来年一月の国民議会選挙の準備を進めることになっている。
その後、国民議会が選出する移行政府の下で、憲法を制定する。来年十二月には、新憲法下で総選挙を実施し、本格政権が発足する予定だ。
民主政権の樹立に至る政治日程を着実に進めていくことが、イラク再建を確実にする唯一の道だ。主権移譲はそのための第一歩だ。それを妨害しようとする無法な武装勢力やテロ集団の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)を許してはならない。
暫定政権の治安能力は、規模も訓練も装備も、まだまだ不十分だ。当面、治安維持の責任は、米軍が主力の多国籍軍が負わねばならない。
イラク人の理解と協力なしには、治安は維持できない。米国はじめ、国際社会が、暫定政権と協力して、安定化に努める必要がある。
イラクに部隊を派遣した国々の役割は重要だ。韓国が増派方針を再確認したのは、国際社会の結束を固める上で意味ある判断だった。
日本も自衛隊のサマワ駐留継続を決めた。日本を標的にしたテロが起きる可能性もある。警戒を怠ってはならない。
(2004/6/26/02:35 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040625ig90.htm