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小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・荒木浩東京電力顧問)は4日、今後の日本の安全保障政策に関する報告書を首相に提出した。01年9月の同時多発テロ後の複雑化した安全保障環境を踏まえ、新たな安全保障戦略の目標として、「日本防衛」に加え、在外邦人・企業を含めて日本への脅威が及ばないようにするために「国際的安全保障環境の改善」を設定。日米間で役割分担などを見直す戦略協議の実施を求め、その結果を新たな「日米安保共同宣言」といった形で反映するよう提言している。
また、防衛産業の技術力を維持・向上させるために、武器輸出3原則を見直し、少なくとも米国に対しては規制を緩和するよう提言している。
小泉首相は4日夜、報告書の内容について「いずれも必要なことだ」と記者団に述べた。政府は報告書を受け、11月末か12月初めまでに新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を策定。新大綱に沿って年内に中期防衛力整備計画も決め、これに基づいて防衛力を整備する。政府は、武器輸出3原則の見直しなどはすでに検討を始めているが、安保共同宣言づくりなどはこれまで検討されておらず、どこまで実現されるかは不透明だ。
■同盟の再定義
報告書は、日米同盟について「わが国防衛の大きな柱であるとともに、周辺地域にとって不可欠の安定化要因」と位置づけた。さらに「中東から北東アジアにかけての『不安定の弧』における脅威の発生を防ぐ意味からも、日米の同盟関係を基にした幅広い協力が重要」と指摘し、日本の周辺以外の地域でも、日米同盟を基盤とした協力を進めるよう求めた。
ただ、米国の単独行動主義に対する懸念もつきまとうことから「同盟を細心の注意をもって運営し、日米間で緊密な協議を行うべきだ」と注文している。
米軍の変革・再編については「包括的な戦略対話の重要な機会ととらえ、積極的に協議すべきだ」と進言。こうした戦略対話の成果を反映した新しい日米安保共同宣言や日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の策定を求めており、いわば同盟の再定義を促した形だ。
一方、自衛隊の国際平和協力活動については、「本来任務」に格上げし、態勢を強化するよう提言。また、インド洋やイラク派遣のような特措法をつくらなくても、自衛隊が多国籍軍などに加われるようにする一般法制定の検討も求めており、小泉政権の路線とさほど変わらない。
■新たな防衛構想
安全保障政策の理念や構想に関しては、57年に閣議決定された「国防の基本方針」の事実上の見直しを求めた。「今日もなお妥当する考え方を含んでいる」としながらも、安全保障環境の変化から、新防衛計画の大綱で「国防の基本方針」の考え方を含めた安全保障戦略を打ち出すよう提言。防衛力整備についても、これまでの「基盤的防衛力構想」を見直し、テロなど多様化している脅威に対応する「多機能弾力的防衛力」との考え方を打ち出している。
これまで安全保障政策の柱の一つであった「武器輸出3原則」については、国際的に共同開発が主流であることなどを理由に見直しを求めた。少なくとも、次世代のミサイル防衛用迎撃ミサイルが米国との共同開発・生産に移行することを踏まえ、米国について緩和するよう求めている。
懇談会は提言について「現行憲法の枠内」と説明しているが、報告書では「付言」として集団的自衛権の行使問題を取り上げた。論議の対象となる活動を整理し、「憲法の枠内でどこまで許容されるのか等を明らかにするよう議論を深め、早期に整理すべきである」と促した。
(10/04 21:09)
http://www.asahi.com/politics/update/1004/004.html