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10月2日 ◇◆ あなたが言うべきは「在日米軍を削減、撤退させる」ということだ ◆◇官邸主導の正体 ◆◇
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□★□ 天木直人 10月2日 メディア裏読み □
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◇◆ あなたが言うべきは「在日米軍を削減、撤退させる」ということだ ◆◇
小泉首相が10月1日東京都内で講演した際、沖縄にある米軍基地を本土に移転
することに言及したらしい。そしてその発言を2日の各紙は一面で大きく報道している。
あたかも小泉首相の英断で沖縄の基地問題が進展するかの如くに。
冗談じゃない。こんな無責任な発言を許していいのか。もう一度小泉首相の発言を
よく聞きなおしてみたらいい。
「・・・沖縄の基地負担を軽減するなら本土のどこに持っていくかを考え、その自治体
に事前に相談しなければならない事があるかもしれない・・・自治体がOKした場合に
は米国と交渉する。・・・沖縄以外に移転するのは嫌だと言ったらいつまでたっても沖
縄の負担は軽減されない。・・・』(10月2日、毎日新聞)
つくづく小泉首相はずるい男だと思う。卑怯な男だと思う。どこの自治体があらたに
基地を受け入れると言うのか。困難な決断を国民に丸投げして、その決断が出来な
いなら沖縄にある基地を本土に移転など出来ないではないかと恫喝し開き直るつもり
なのである。そもそも未だに沖縄の米軍ヘリの墜落現場を視察もせず、沖縄県民の
苦悩と怒りを共有しようとしないような人間に、在日米軍の問題を本気で解決する覚
悟などあろうはずがない。
どこかで聞いたせりふである。そう、国と地方の三位一体改革で、税源移譲をして
やるかわりに補助金削減を受け入れる案を自治体で決めてこい、と丸投げした発言
である。知事たちは意見の対立を乗り越えてスクラムを組み、3.2兆円の削減案を小
泉首相に投げ返した。小泉首相は二つの政治的決断を迫られている。削減額と同額
の税源移譲を財務省に飲ませること、そして影響力の低下をおそれる中央官庁の官
僚たちをねじ伏せ約束どおり補助金を削減することである。そのいずれも小泉首相の
力量では無理である。見ているがいい、卑怯な小泉首相は、言葉をすりかえて責任を
他に押し付けて逃げるに違いない。基地問題でそれを許してはならない。
沖縄の稲嶺知事は、小泉首相の発言を受けて、「大変重要な一言だ。トップが(沖
縄と同じ)考えを持ったことで政府も大きく変わると思う。総理のリーダーシップを期待
する」(同上)などと極楽トンボのような発言をしている。出来レースじゃぁないのか。
どこの自治体があらたな在日米軍の受け入れを喜んで受け入れると言うのか。政府
はカネをばら撒いて受け入れ先を探そうとするのかもしれないがもはやそんなことで
だまされる自治体などないであろう。受け入れ先が見つからないと沖縄の基地は永
久に無くならないと総理は沖縄住民に言っているのだぞ。あなたは総理に次のような
言葉で政治的決断を迫るべきなのだ。
「総理、負担を自治体の間でたらいまわしをして、自治体住民の間の反目を作るよ
うな事はやめて下さい。在日米軍を受け入れることの負担の大きさは沖縄が一番知
っている。私が望むのは、沖縄にある基地を他の地方自治体に押し付けるのではなく、
在日米軍を受け入れる負担を日本国民全体の負担と受け止め、どこの自治体も受け
入れを認めない以上、日本の総理として基地の縮小、撤廃をブッシュ大統領に訴え
ていただきたい」と。
◇◆ 官邸主導の正体 ◆◇
小泉首相になってから何かと官邸主導という言葉がよく使われる。いかにも政治家
がリーダーシップを発揮し、トップダウンで国益を実現する政策が決められていくとい
う印象を与える言葉である。特に小泉首相になってからはそのパフォーマンスが目立
つ。今度の改造内閣でも山崎、川口の首相補佐官をつくったり、特命担当相の仕事を
ふやしたりと小泉主導の政策遂行の体裁を整えているかのような印象を国民に与え
ている。
しかしその実態は実にお粗末なものだ。総理官邸には、総理の政策秘書のほかに、
財務省、産業経済省、外務省、警察庁から出向してきた官僚の秘書官が補佐してい
る。しかし彼らは手足となるスタッフはおらず、総理と行動を共にしながら交代で身の
回りの世話係を務め、その合間に親元省庁との連絡を図って必要な情報を首相に上
げることがその任務である。そこには政策に企画・立案はない。
したがって官邸の政策立案は、首相官邸から道路を隔てて向かい側に建つ内閣府
(旧総理府)に集められているスタッフが行うことになっている。ところがここは各省か
らの出向者の寄り合い所帯であり、彼らの最重要の職務は、国民の為の政策を積極
的に作り上げていくのではなく、親元の省庁の権限が損なわれないようお目付け役を
することである。積極的に仕事をすれば他省庁との摩擦が起きるのでそのような仕事
ぶりは誰からも歓迎されない。私はかつて日本の防衛予算と危機管理を担当する内
閣安全保障室に二年間出向したことがある。身をもって官邸の仕事を経験してきた者
が言うのであるから間違いない。
そんな実態であるから小泉首相が主導いくら官邸主導と叫んでも驚くほどお粗末な
状況で仕事が進められていくのである。このいかさまぶりの一部が、9月30日の産経
新聞「官邸主導の虚実」という特集記事の中で指摘されている。相も変わらない光景
に思わず笑わずにはいられなかった。そのいくつかを紹介したい。
内閣府特命担当相の棚橋泰文大臣の任務は情報通信技術(IT)と科学技術政策、
食品安全という各省の仕事の寄せ集めであった。新聞記者がインタビューを申し込ん
だら「それはこちらの所管ではありません。別の部署におつなぎします」と言って計7
回もたらいまわしされたという。
竹中平蔵経済財政担当相は首相官邸に細田官房長を訪ねた後「私の秘書官も部
屋がなく、机、スペースもない。そういう細かい事も含めてよろしく対応をお願いします
と申し上げた」と記者団に愚痴ったという。内閣府の事務方は「内閣改造直後で他の
特命担当相の執務の為の準備も大変なので・・・」と口ごもるだけであったという。
小池百合子大臣は環境相と内閣府所管の沖縄・北方対策担当を兼ねるという一見、
何の脈絡もない組み合わせを担当する事になった。これも小泉首相の発案だという。
官邸の事務方は、内閣府が所管する担当事務を考えて担当の適当な組み合わせ案
を総理に提出していたが、首相が一人で考え出した組み合わせは全く違っていたとい
うのだ。
「米軍普天間飛行場の移転」と「環境政策」は本来はなんの関係もない。「こんなに
つじつまが合わない担当相は過去に例がないのではないか」と政府高官は首をかし
げているというのだ。
小泉首相の主導による内閣府の役割については「特命担当大臣はどちらの省庁の
仕事に力点を置くかによって記者会見の場所を変えなければならない。役所同士の
綱引きが激化するだろう」と言われるほど次元の低い無用の摩擦を起こすだけなので
ある。この国の仕事はそれぞれの省庁の官僚ががっちり握っているのである。そこを
打ち破らないと本当の官邸主導など出来っこない。そういえば10月2日の朝日新聞
に「山崎氏、謎の存在感」と題して、彼の役割は何か、官邸主導の政策を進める「裏
支配」なのか、いや、「山崎さんの仕事は首相の話し相手」なのさ、という記事が載っ
ていた。私は後者であって欲しいと願う。彼が実質的に何かをなそうとすれば官僚支
配のこの国の政策形成過程にあって、無駄な混乱を引き起こすだけであるからだ。
産経新聞は「官邸主導の虚実」の特集を最後にこう締めくくっている。
「首相の真意が見えない中、相も変らぬ役所の権限争いが続いている。」
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm