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9月30日 ◇◆ ヤマト運輸を応援する ◆◇がんばれ三井環さん ◆◇中山参与の辞任に思う ◆◇
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□★□ 天木直人 9月30日 メディア裏読み □
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◇◆ ヤマト運輸を応援する ◆◇
29日、ヤマト運輸が郵政公社を東京地裁に提訴した。郵政公社は法人税免除や
信書業務の独占といった、およそ民間企業では考えられない特権を保持しながら、ヤ
マト運輸の現行サービスに対し、より低価な価格を設定し「殴りこみ」（訴状の表現）を
かけてきたのである。裁判の判決をまつまでもなく明らかな不公正競争である。加え
てヤマトにとって見れば新料金価格はどうみても採算割れのレベルであり独禁法違
反の不当廉売にも当たる。
30日の各紙の論調は、普段なら立場の違う各紙であるのに、すべてヤマトの提訴
に同情的である。郵政公社の今回のヤマト運輸に対する「殴り込み」がいかに不当で
あるかを示すものである。
そもそも郵政当局のヤマト運輸いじめは因縁がある。80年代半ばにヤマト宅急便
は郵便小包の取り扱い個数を追い越した。それ以来郵政省のヤマト運輸に対する圧
力は露骨になりヤマト運輸の小倉社長(当時)と郵政省の戦いはマスコミでも話題にな
った。郵政省は宅急便の中に手紙が入っている場合、民間会社による信書の配達事
業を禁じた郵便法に違反すると牽制した。90年代に入ると、ヤマトの子会社がクレジ
ットカードの配達を始めようとした際、「信書に当たる」と指摘し激しい論戦に発展。95
年にヤマトがカード宅配に踏み切ると、郵政省はこれを下回る料金価格で配達を開
始した。99年にヤマトが自治体から地域振興券の配達を請け負った際には、「信書に
当たる」と待ったをかけた。
松原聡・東洋大教授は指摘している。
「政府の（今回の郵政民営化の）基本方針は民間企業との競争条件の同一化が徹
底していない。政府の関与が将来も続くなら、民間企業はたまらないだろう」
このヤマト運輸の提訴について上杉公取委員長は29日の会見で「裁判所から求め
られれば公取委としての意見を申し上げる」とした上で、「（ヤマト運輸と郵政公社の）
一対一（の個別案件として）処理する話なら調査しない」と腰の引けた発言をしてい
る。
最近の裁判所は国の不利になる判決をしなくなった。ましてや小泉首相の顔を潰
す判決を下す裁判官は出てこないであろう。ヤマト運輸の勝訴の可能性は低い。一
般消費者にとっては安ければ安いほうがいいに決まっているから、ヤマト運輸は客を
とられるであろう。ローソンに限らず一般のコンビニエンスストアにしてみれば取り扱
い高が増えたほうがいいので、郵政公社が勝訴するとみればゆうパックへ乗り換える
可能性が高い。どうみてもヤマト運輸は不利である。
しかし私はヤマト運輸の宅急便を利用し続ける。国家権力の横暴に必死に抵抗す
るヤマト運輸の姿は、一割程度の割増料金では安すぎるほどの勇気とすがすがしさ
を私に与えてくれるからである。
◇◆ がんばれ三井環さん ◆◇
大阪高検の元公安部長である三井環被告に対する論告求刑公判が28日、大阪地
裁で開かれ、検察側は「現職の幹部検察官が暴力団と癒着し、賄賂を受け取った前
代未聞の犯行。国民の検察に対する信頼を著しく失墜させた」として、懲役三年を求
刑した。この裁判は平成14年7月の初公判から始まったもので、次回の10月27日
に弁護側の最終弁論の後に結審するという。
二年近くに及ぶ裁判に関して、三井被告は一貫して無罪を主張し、「検察庁幹部の
調査活動費不正流用疑惑をテレビで告発しようとした当日に逮捕された」ことからみ
て、口封じの為の不当逮捕であると訴える。他方検察側は、「不自然な自己弁護を繰
り返し、自らの行為を反省する態度は全く見受けられない」と三井被告を断罪する。ち
なみに検察側の起訴事実は、元暴力団から高級クラブなどで飲食やデート嬢による
接待を受けた収賄罪、暴力団組員などの前科調書授受に関する公務員職権濫用罪、
競落したマンションに住んでいるように偽装し減税しようとした公正証書原本不実記
録、登録免許税の軽減措置を受けるための証明書を騙し取った詐欺罪の4点である。
収賄罪をのぞいて無理につけたしたような余罪である。
私にはどちらの言い分が正しいなどと判断する事はもとより出来ない。しかし次の諸
点についてどうみても不透明なものを感じる。
まず起訴事実の内容にくらべ懲役三年はあまりにも重い。次に立証の多くが元暴
力団の証言に大きく依拠していることである。さらに言えば、三井元公安部長の収賄
について「国民の検察に対する信頼を著しく失墜させた」と厳しく断罪しておきながら、
検察庁の調査活動費の不正流用疑惑に対しては一切口をぬぐっていることである。
この点については9月29日の産経新聞「視点」においても次のように述べている。
「・・・刑事責任の有無は司法判断を待つとしても、三井被告が指摘する裏金疑惑に
ついては検察も真摯に受け止める必要がある。警察などの裏金問題が次々と発覚し
国民は不信感を募らせているなかで、検察当局の「疑惑は事実無根」という説明を納
得する国民はいない。疑惑をきちんと晴らすことが出来なければ、検察に正義を語る
資格はない」
私はある雑誌のインタビューで三井環さんと対談した事がある。その時、彼が私と二
人だけになった時に語った次の言葉が忘れられない。
「検察幹部のすべてが調査活動費の不正流用に手を汚している。これを認めると検
察庁全体が崩壊するので、小泉首相に頼み込んで政治家の検挙に手心を加える事
と引き換えに、検察の不正に蓋をしたのだ。小泉首相と検察庁はけもの道に踏み込
んだのだ・・・。」
◇◆ 中山参与の辞任に思う ◆◇
北朝鮮の拉致問題を担当する中山恭子内閣官房参与の辞任が29日に突如決まっ
た。これについて30日の各紙が一斉に取り上げた。そんなに大問題なのか。
この突然の辞任に様々な憶測記事が乱れ飛んだ。川口前外務大臣が総理補佐官
として残った事によりライバル意識からやる気をなくした、なんとしてでも北朝鮮と話し
合いを続けたい小泉首相が強硬派の山中参与の存在を邪魔と感じて首を切った、こ
れ以上進展が望めない拉致問題に山中参与が嫌気を感じるようになった、多くのプ
レーヤーが登場して自らの出番がない事に気づいたなどなど。
しかしその理由がどこにあろうとも見失ってはいけないのは、安否不明の人たちを
一日も早く救い出す事こそ政府全体の責任であり中山参与もその中の一員であった
ということである。夫が閣僚になったと言うことで身を引くと言うのは無責任ではない
のか。拉致問題はこれからが正念場を迎えると言うのに、自分の役目は終わったとい
うのはおかしいのではないのか。中山参与がいなくなることにより、拉致問題の解決
が遠のいたとか、中山参与を更迭することで小泉首相は幕引きを狙ったなどという記
事などもピントはずれである。
拉致家族の方々が、中山参与の辞任に痛く失望されていることは、彼女が拉致問
題について強硬な姿勢を貫いていた事から、わらをもつかむ心境の拉致家族の皆さ
んにとっては、理解できる。しかし中山参与にしかすがる事のできない拉致家族の
方々に深い同情を覚える。彼らには次のようなコメントをして欲しかったといえば酷で
あろうか。
「私たちはどなたが担当しようとも構いませんが一刻も早く家族を取り戻してもらい
たい。家族の安否を確認してもらいたい。山中参与がお辞めになる事は残念ですが
その分まで小泉首相に働いてもらいたい。」と
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。