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9月29日 ◇◆ 「観客」の不入りで露呈した小泉国連演説の不人気 ◆◇大本営発表 ◆◇
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□★□ 天木直人9 月 29日 メディア裏読み □
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◇◆ 「観客」の不入りで露呈した小泉国連演説の不人気 ◆◇
大手の新聞やTVなどを見ているだけでは本当のことは決してわからない。そ
う思って私は週刊誌やその他の雑誌、単行本に極力目を通す事にしているので
あるが、週刊スパ―10月5日号―の記事で私は新発見をした。この週刊誌の冒
頭には勝谷誠彦のニュースバカ一代というコラムがあって毎週辛口の評論を書
いている。いつも面白く読んでいるのであるがこの時の記事には思わず笑って
しまった。
小泉首相の安保理常任理事国入りの演説について、写真を紹介しながら、日
本のメデアが鳴り物入りで大騒ぎしていた演説にもかかわらず、驚くほど出席
国が少なく人気の無い演説であったことを暴露しているのである。日本のテレ
ビは観客を映さず小泉首相の顔ばかり映していたので我々はまったく気付かな
かったのであるが、これは武士の情けなのか。ブッシュ大統領の演説の時は満
員だった会議場は、小泉首相の登壇の時は閑散としていたというのだ。
勝谷氏は言う、
「・・・見よ!このガラガラな会議場を。パ・リーグ試合時の大阪ドームとい
い勝負ではないか。世界の中心で「参入」を叫ぶ小泉首相だったが、どんなに
国連分担金を出していようと、ODAを撒いて票集めをしようと、これが日本への
関心の表れなのだ。ちなみに日本の常任理事国入りへの支持を明言したのは、
演説した90か国中、英国など14カ国だけだった。・・・」
そういえば日本はパラオという国に援助を与えてまでして、演説の順番をブ
ッシュ大統領と同じ初日になるよう替わってもらったという報道があった。そ
こまでお膳立てをしても人は集まらなかったということか。新聞はちゃんとこ
ういう事を書いてくれなければ困るのである。
◇◆ 大本営発表 ◆◇
同じく週刊誌である。今度は10月2日号の週刊ダイヤモンド。
「写真をよく見ていただきたい。ジャーナリストの綿井健陽氏が撮ったイラ
ク・サマワ、陸上自衛隊宿営地内での記者会見風景である。テーブルの上にセッ
トされているのはテレビ電話で、接続先は東京・市ヶ谷の防衛庁記者クラブで
ある。」
こういう文章で始まる「オブザベーション」と題する論評において、日本
で報道されるサマワの記事は、すべて東京の防衛庁が提供する情報に基づいて
日本で書かれている大本営発表であることを暴露している。
人質事件が発生した四月以降、サマワには日本人記者は一人もいない。す
べてのメディアが撤退させられたのである。つまりサマワの記事はテレビ電話
で防衛庁の記者クラブに送られてくる自衛隊情報に基づいて、日本で書かれて
いるのである。各紙を読むと、「59度の酷暑、ドライヤーのような熱風だ」「突
如どよめきが起きた」「自衛隊は高い支持を得ている」と見てきたような書きっ
ぷりとなっている。読者はサマワ発の記事と信じて疑わない。掲載写真には小
さく自衛隊撮影とある。これはインチキだ。大本営発表だ。
かつてどこかの記事で読んだが、現地の自衛隊は、まだ邦人記者が多数いた
とき、産経、読売といった体制側の新聞社の記者には輸送や弁当の便宜を与え
るのに、朝日や毎日の記者には冷たかったという。もしこれが事実であるとす
れば税金の恣意的な支出に繋がる由々しい問題であるが、いずれにしてもサマ
ワ関係の日本の報道はもはや信用できないということである。
イラク戦争の大義だった大量破壊兵器はなかったと認めたパウエル国務長官
の証言を受けて、米有力紙はこぞって何故我々が政府情報に流されたのかと自
らの失態を恥じて自己検証の記事を掲載した。これに比べ日本の新聞の認識は
あまりにも希薄である。事実を伝える為にあらゆる努力を払い、監視するとい
う本来のジャーナリズムの使命を、日本の新聞は持ち合わせていないのかと批
判されても仕方がないのであろう。
当初あれだけ騒いだ自衛隊のサマワの活動も最近はまったく伝えられる事は
なくなった。サマワでねぶた祭りを行っているなどというニュースくらいだ。
危険が高まるなかで、十分な活動がなされているのか、我々にはまったく知ら
されないまま、小泉首相はまたニューヨークでアラウィ首相に向かって「今後
とも自衛隊の復興支援活動を、全力をあげて努力する」と話している。これを
受けて細田官房長官は9月21日の記者会見で「イラクでの自衛隊活動を継続す
る」と述べた。イラクへの自衛隊派遣の期限切れである12月までまだ三ヶ月も
あるというのにである。多くの国が撤退を始め、米国でさえも27日付のニュー
ヨークタイムズによればイラク駐留期間の縮小を検討しているというのにであ
る。現行の派遣期限が来る12月までには米国の大統領選挙やイラク情勢の更な
る悪化など多くの不安定要因があるのにである。
9月28日 ◇◆ 小泉純一郎が日本をハイジャックした日 ◆◇
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□★□ 天木直人 9月28日 メディア裏読み □
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◇◆ 小泉純一郎が日本をハイジャックした日 ◆◇
9月27日に第二次小泉改造内閣が発足した。28日の各紙もこればかり報じて
いる。政治専門家と称するあらゆる評論家が等しく同様のコメントを出してい
る。武部勤官房長の意外性をはじめとしてこんな顔ぶれで大丈夫かというもの
である。一般の国民も等しく感じているところであろう。それ以上のコメント
は必要でないが、敢えて私は、日本の政治史に残る異形な今回の組閣について、
過激な表現を使って私の所感を付け加えてみたい。
まず今回の組閣劇を見て思うことは、小泉首相は本当に自民党をぶっ壊した
なぁということである。自民党の中には他にもっと強力な政治家はいる。それ
を敢えて重用せずに軽量級や用済みの人物を任命したということは、もはや小
泉首相は自民党総裁でありながら自民党を相手にしないことを公言したことで
ある。そして小泉首相の独断で顔を潰された自民党の有力者たちが、この期に
及んでも寝入りせざるを得ないのであれば、自民党にはもはや政権政党として
のエネルギーがなくなってしまったということだ。
いうまでもなく政治の本質は権力闘争である。自民党のこれまでの歴史は派
閥の領袖間のすさまじい権力争いであった。その弊害は勿論あったが、同時に
権力闘争の真剣勝負の中で政策が磨かれ、あるいは権力のチェックアンドバラ
ンスが保たれていたことも事実である。自民党が長らく政権政党でいられたの
も、そのような派閥抗争による党首の交代が、一種の政権交代の役割を果たし
て国民の要求を満たしていた面があったからである。小泉独断政治にはそれは
ない。あるのは彼のやりたい放題の政治である。
多くの新聞が書いているように、こんどこそ反小泉の動きが自民党の中から
出てくるであろう。しかしそうすればますます国民の支持を自民党は失う事に
なる。どちらに転んでも自民党は壊れたのである。それが就任時の小泉首相の
意図するところであったかどうかは疑わしいが、小泉首相は約束どおり自民党
をぶっ壊したのだ。
次に指摘したいのは今度の内閣は必ず行き詰るということである。小泉首相
はすべて自分で決める独断的手法を変えるつもりはない。だからこそ閣僚はす
べて自分の従うもの者に限定した。小泉首相自らが「郵政改革実現内閣」とは
しゃいでいる通り郵政民営化に賛成するものしか採用しなかった。就任のイン
タビューですべての閣僚が、中味さえ知らず一様に「郵政改革を支持します」
と述べている滑稽さが、親分小泉、子分その他大勢の今回の内閣の質の悪さを
物語っている。
小泉首相は自分に反論する者をすぐに交代させるらしい。9月18日の東京新
聞によれば、9月10日に郵政民営化の基本方針を閣議決定したとき、反対する
麻生総務相と生田郵政公社総裁を「交代してもらうかもしれない」と言って脅
かしたという。このようなイエスマンのみで出来た「裸の王様」内閣に、この
国が直面する喫緊の山積する課題を解決することは出来ない。
小泉内閣が取り組まねばならない課題は郵政民営化などではない。これ以上
国民に負担を押し付けることなく如何にこの国を財政破綻から救うか、米国の
テロとの闘いに巻き添えになることなく如何に国民の安全と平和を守るかなど、
急を要する重要課題は山積している。小泉内閣は、本当はそれらに優先的に取
り組まねばならないのに、その覚悟も能力もない。この内閣が国民の支持を失
って行き詰るゆえんである。
しかし、私がより強調したい点は、小泉首相の一枚看板である郵政民営化そ
のものが失敗に終わるということである。勿論小泉首相のことであるから、ど
のような骨抜きの改革に終わろうとも、道路民営化のように「大改革だ」と叫
んで自画自賛するであろうが、郵政民営化の場合は道路民営化と違って失敗し
た場合のネガティブな影響力は大きいものがあるので、誤魔化し通せないであ
ろう。現にヤマト運輸は民業圧迫を理由に日本郵政公社を不公正取引差し止め
で訴えた。これは単なるヤマトの嫌がらせではなく、国家権力による優遇措置
をバックに乗り込んできたゆうパックが、如何に深刻にヤマトの営業を脅かす
事になるかを示しているのである。
そもそも郵政民営化という言葉が当然のように独り歩きをしているが、正直
言って、何をどうすれば国民にとって有益な郵政民営化になるのかなど、今の
日本人で自信を持って断言できる人間は一人もいない。それ程この問題は多面
的なのである。しかもそれを言い続けている小泉首相その人に具体案がないば
かりか、関心もないのである。あるのは「改革が進んだ!」とスローガンを叫
んで支持率を保つことだけである。
これについて9月20日の毎日新聞「発信箱」で与良正男記者がズバリ小泉改
革の正体を言い当てている。すなわち小泉首相は、「進め方が独善的である」と
か、「民営化には絶対反対だ」という意見には、「嫌なら私を代えればよい」「い
まさら一週遅れで走っている」などと挑発的に反論するが、「民営化は正しいけ
れど今の方針では本当の改革にならないのではないか」という本質的な反対論
には一切答えない、答えられないという。まったくその通りである。これ以上
マスコミも我々も騒ぐことを止めようではないか。「どうせ聞く耳を持たないの
だから、好きなようにやってみなさい。みんなが納得するいい形の民営化をつ
くってみなさい」と突き放したらいいのである。とたんに彼はやる気を失い「後
はお前らに任せる」と、あらたなネタ探しに移っていくであろう。
要するに小泉第二次改造内閣に率いられる政治は、自民党も国民も小泉純一
郎という政治家一人にハイジャックされたようなものなのである。日本では総
理という権限がこれ程までに絶大であることを小泉はものの見事に証明して見
せた。人事権を武器になりふりかまわずにその権限を振り回せば、何でも出来
るということだ。今までの総理は超えてはならない節度を守った。権力に対す
るためらいと自制心があった。しかし間違ってなった総理である事を一番よく
知っている小泉という政治家は、持ち前の利己主義が手伝って、自民党の事も
国民の事も俺の知ったことではない、手に入れた総理の権限を自分の名誉欲の
ために如何にして一日も長く楽しむか、ということしか念頭にないのである。
その為には何でもする。日本は彼の意のままになっているのだ。
しかしハイジャッカーにはそれにふさわしい末路がある。ハイジャッカー小
泉は自ら投降することはない。あるのは二つである。ハイジャッカーに屈し、
身代金を払って逃亡させてしまうか、強行突破して捕まえるかである。残り二
年という身代金を払って小泉首相に好き放題をさせるか、それとも支持率低下
で解散・総選挙に追い込み退陣を迫るかどちらしかない。どちらを選ぶかは勿
論我々国民が決めるのである。
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