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9月27日 ◇◆ 危険にさらされているのは沖縄県民だけではない ◆◇米国シティバンクの違法営業に思う ◆◇「ゆで蛙」という言葉 ◆◇これは外交ではない ◆◇
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□★□ 天木直人 9月27日 メディア裏読み □
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◇◆ 危険にさらされているのは沖縄県民だけではない ◆◇
東京新聞の「こちら特捜部」という欄は私が好んで読む欄だ。国民の視点に立った情
報を提供し続けている。9月27日のそれも一読に値する。それは沖縄の米軍ヘリ事故
がもはや風化しかかっている我々の意識に、日本の領空そのものが米軍に占領され
て危険が放置されていると警鐘を鳴らしている。
私もそこまでは認識していなかった。この記事を読むと危険は沖縄住民だけに限ら
れない事を知らされる。
まず那覇市上空でのニアミスがこれまでにも何度もあったにもかかわらず、それが
ニアミスと認定されずに、原因もあいまいなままに放置されてきた事実に愕然とする。
米国が「民間機は見えていた。危険はなかった」といえば国交省の事故調査委員会も
踏み込めない。米軍からの資料提供も「悪天候のため資料ない」と米側が言えば「そう
ですか」と言わざるを得ないと言う。
私がこの記事を読んで最も驚いたのは那覇空港へ離着陸する民間機は米国の軍事
空域を避けなければならず、「まるでトンネルのよう」な狭いエリアを飛行することを余
儀なくさせられているという事実である。パイロットたちの証言によれば、「大気が不安
定なときでも軍事空域に入る事ができず、逃げ場がない」という。さらにまた民間機が
離着陸するときはニアミスを避ける為、高度約300メートルの所を飛び、米軍機は約
600メートルを飛ぶという決まりがあるということだが、これだと急上昇した後すぐにエ
ンジン出力を絞って水平飛行に入らねばならず、機体は不安定にならざるを得ない。
恐ろしい事だ。
各国パイロットで構成する国際定期航空操縦士協会連合会という組織があるらしい。
その組織の北太平洋地区副会長の佐野公一氏が述べている。
「我々は各国の空港、空域の欠陥をまとめてきた。『欠陥あり』の空港が14箇所ある
が、沖縄の空域、那覇空港はこの30年間、『欠陥あり』のままだ」という。
ただでさえ飛行機に乗ることの危険を感じるこの頃であるが、この記事を読むと沖縄
への飛行が恐ろしくなってくる。しかも「こちら特報部」のデスクは空の危険は沖縄基地
だけではないと次のようにコメントしているのである。
「東京の空には『西の壁』がある。横田基地は本州の広いエリアを上空7000メートル
まで占領する。羽田空港の離着陸便は、日本側管制だけで飛ぶとするとそのエリアを
超えねばならない。だから壁となる。航空路の制約は、米軍機と民間機のニアミスだ
けでなく、民間機同士のニアミスも招く・・・」
在日米軍の矛盾は沖縄だけの問題ではない。おそらく情報公開が徹底されれば、い
かに多くの深刻な制約を我々が余儀なくされているか驚く事になるであろう。政府はも
うこれ以上ごまかしで在日米軍の治外法権を認めることは出来なくなっていくであろう。
そのすべてを国民に明らかにした上で在日米軍の将来について国民の判断を求めて
いかざるを得ない時が来ている。
◇◆ 米国シティバンクの違法営業に思う ◆◇
米大手金融グループのシティバンク在日支店が金融庁から国内4拠点で認可取り
消しの処分を受けたと報じられたのは9月17日であった。この時一部の報道は「米国
を代表するシティバンクをよく処分した」と感心していたが、私は米国に気兼ねできな
いほどの不法がまかり通っていたに違いないと直感的に感じた。そして本当は認定の
取り消し程度の処分で済まされるべき大きな問題ではないのかと疑った。
そんな私の直感を、アエラの10月4日号の「シティバンク無法金融」がわかりやすく
解説してくれている。その記事によると次のような無法振りがわかる。
現在日本には一億円以上の余裕資金を持っている者が130万人〜150万人いると
言われているが、それらはプライベートバンキング部門によって資産運用の特別な顧
客サービスをシティバンクから受けている。そのなかでも3億円以上の資金を持つ顧
客をシティバンクは食い物にしていたというのだ。
その一方でシティバンクは暴力団がらみのカネを、違法承知でマネーローンダリング
(資金洗浄)したり、特別な顧客には数百億円もの個人資産の違法運用の手伝いをし
ていたり、悪質な株価操作にシティバンクが関与していたりなど、あらゆる不正活動を
していたという。
「なめられていたということです。日本の金融当局が」
第一線で検査に携わっていた金融庁の職員は悔しそうに言ったという。しかしなめ
られていたのは日本政府ではなかったのか。「相手がシティバンクではなかなか厄介
だ」という話は6月ごろからささやかれていたと言う。シティバンクはブッシュ陣営にも
ケリー陣営にも多額の政治献金を行っている。竹中金融相が8月に訪米した際、米金
融当局とどのような話をしたかはもちろん一切明らかにされないであろうが、米国の了
承なしに今回の処分を発表したとは思えない。
そしてその処理が甘いのではないか。関係者の証言が続く。
「免許停止がプライベートバンキング部門だけというのでは甘すぎる。在日支店の
免許取り消しを検討すべきであるという意見が内部の検討会で出た」
「米国でこんな数多くの違法行為を繰り返していたら、即刻、免許取り消し、国外退
去だろう」
竹中金融相は「説明責任」を求められるであろうとアエラの記事は締めくくっている
のである。
◇◆ 「ゆで蛙」という言葉 ◆◇
最近この言葉が、日本人の現状を表す言葉としてよく使われる。つまりいきなり熱い
湯に放り込まれると蛙は飛び出すが、ぬるま湯から徐々に温められていくと気づかす
にそのうちゆで蛙になって死んでしまうというのである。これが科学的に根拠のある話
かどうかわからないが、言いえて妙である。そして確かに今の日本人はゆで蛙状態に
あるのだ。
谷垣財務相が26日のテレビ朝日の番組で消費税の税率引き上げは「最初は一桁
で」と述べ、これが翌日の各紙に報道された。ところが報道振りは、あたかも引き上げ
幅が小さくてほっとしたという感じで伝えている。
しかし冷静に考えるとこれ程ふざけた発言はない。これは近く消費税を引き上げま
すと言っているのである。小泉首相は「在任中は引き上げない(この発言自体が無責
任極まりないが)」と繰り返しているにもかかわらず、消費税の引き上げは不可避と言
っているのだ。しかも次回は一桁でもその次は二桁にするということを言っているので
ある。経団連などは十数パーセントでなければ経済は破綻するなどという報告書を出
したばかりである。
政府側は消費税のパーセンテージの国際比較を持ち出して盛んに日本の消費税
の低さを強調するが、そもそも税体系の違いを脇において、数字を単純に比較するこ
とに誤りがある。そしてなによりも、税に見合った福祉政策が日本と北欧などでは雲泥
の差があるのだ。
ここ十年ほどでここまで日本人はゆで蛙になってしまったのだ。消費税に反対して
社会党が自民党に大勝し、土井たか子をして「山が動いた」と言わしめたのはいつの
事であったのか。一旦消費税が導入されてしまったらもはや国民はあきらめる。3%か
ら始まって5%に。そして次回は7%か8%なのか、やがて10%を超えていくことになる。
すべては財務官僚の描いたシナリオどおりなのである。
日本国民はそれを黙って受け入れるだけなのか。
◇◆ これは外交ではない ◆◇
27日の各紙は日朝実務者協議の結果を一斉に報じている。表現には多少の違い
はあるがいずれも進展が見られなかったというものである。それはそうであろう、報道
されていることが事実であれば北朝鮮側は1993年3月に死亡したとする横田めぐみ
さんについて同年6月まで入院していたなどという瑣末的なことしか明らかにしなかっ
たのであるから、何のために二日間も実務者協議を開催したのか。
前回の協議でまったく情報が得られなかったからこそ今回の実務者協議であったの
ではないか。今回も再び情報は得られなかった。それなのに日本側はすかさず第三
回の実務者協議を11月中旬までに開きたいと申し入れている。協議によって得られ
た具体的な情報を政府が隠しているのであればまだ話は分かる。しかし出席者の説
明を額面どおり受け取って、報道されているとおり全く進展がなく、また進展の見通し
がないままに三回目の協議を開こうとするのであれば、それはもはや外交ではない。
この点について9月27日の朝日新聞はうまい書き方をしている。日本側にとって実
務者協議は日朝間の唯一のパイプであって、「ここで唯一の対話のチャネルを打ち切
れば北朝鮮に文句すら言えなくなる」(外務省幹部)というのである。
しかし私はもっと大きな理由があると思っている。つまりここで北朝鮮と喧嘩別れす
れば二年前の小泉首相の訪朝が完全に失敗になってしまう。なんとしてでも実務者協
議を継続し、小泉首相の任期の間に何らかの形をつけて終結させなければならない。
もはや外務省の立場は、真の究明を行うのではなくて、北朝鮮の理解と協力を得て、
落としどころを探しているのではないか。相手は北朝鮮ではなく日本国民なのではな
いか。とすれば交渉を継続させていくこと自体に目的があるのである。そうすると経済
制裁などの強い立場が取れるはずはない。
一方の北朝鮮も対米関係を睨みつつ「日本カード」を使って援助や核問題で取引し
たいのであろう。孤立はしたくないのである。
こう考えると改めて拉致被害者の家族の方々が不憫に思えてくる。すでに切り捨て
られているのである。それにしても気の毒なのは横田さん、有本さんのお母さんたちで
ある。「私たちは命がけで戦っている」と訴える涙声を我々はいつまで聞き続けること
になるのであろうか。私は二年前から始まったこの拉致問題の一部始終を最後の結末
までこの眼で見届けなければと思っている。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm