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天木直人・メディア裏読み(9月21日)さだまさしさん,私も参加します・イラクの都市はこんな惨状です・経済破綻とキャッチボ
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投稿者 天木ファン 日時 2004 年 9 月 21 日 18:18:38:2nLReFHhGZ7P6
 

9月21日 ◇◆ さだまさしさん、私も参加します ◆◇イラクの都市はこんな惨状です ◆◇ 経済破綻とキャッチボール ◆◇
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□★□ 天木直人 9月21日 メディア裏読み □
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◇◆ さだまさしさん、私も参加します ◆◇

 歌手のさだまさしが最近平和の大切さについて色々なところで話したり書いたりして
いることは知っていた。しかし9月20日の毎日新聞に寄せた文章は心に響いた。

 「さだまさしの日本が聞こえる」において、心の独立運動を起こそう!と訴えている。
彼は栃木県の幼い兄弟の殺人事件に触れて、弱いものがもっと弱いものを襲う現代
社会の風潮を、人の心はここまで卑劣になったのかと憤り、悲しむ。そして国際政治
の現状を次のように憂う。
 
 「・・・戦いになれば力の強いものが弱いものを押しつけていったんは決着するよう
に見えるけれども、押さえつけられた側の怨嗟は伏流となって決して涸れず、いつの
日か必ず地表に吹き出すときが来る。そしてまたその時代の力関係で、同じ戦いが
繰り返される。負の連鎖はしかも残虐に加速する。チェチェンもヨルダン西岸もコンゴ
もシェラレオネもアフガニスタンもイラクも全部そうだ。
 
 無念にも人は強者に屈する。正論であっても無視されるか口を封じられ、強者は結
局自分の思い通りを貫く。近年、僕は大統領選挙の度にアメリカが嫌いになる。あれ
ほど差別の酷い国に正義などあるはずがない。最も強いアメリカがどこまでも強者の
論理を押し通す強弁体質を貫く限り、いつか誰も信用しなくなる。力で押し通す奴は
悪い奴だ。その悪者に対し、いい大人の代表が、「正論」すら言えず、揉み手をしてへ
つらう姿を見ていたら、子供は大人を軽蔑するし、社会は卑劣になる。いつになれば
日本は属国文化を恥だと気づくのか。心の独立運動を起こそう!」
 
 その日本政府は21日付の新聞各紙を見るとますます日米同盟に傾斜していこうと
している。日経新聞は12月14日に期限の切れる自衛隊のイラク派遣を更に一年間
延長する方針を20日に決めたと報じた。小泉、ブッシュ会談で伝えるのだろうか。産
経新聞は、沖縄の米ヘリ墜落を契機に代替基地建設反対運動が3万人規模で行わ
れていると報じている。それなのにこの声を一切無視し、日本政府は20日、米国の
要望を聞いて工期を短縮して早期に辺野古代替飛行場を建設することを決定したと
いう。この国の政治家と官僚は何故これ程までに日本国民の気持ちを無視して米国
にへつらうのか。異常な感じがする。
 
 
  ◇◆ イラクの都市はこんな惨状です ◆◇
 
 「イラクの都市はこんな惨状です」。それが最後の言葉だったという。9月12日にバ
クダッド中心部で駐留米軍と武装勢力の戦闘が突発した。それを取材していたアラブ
首長国連邦の衛星テレビ「アルアラビーヤ」のマーゼン・アル・トメイシ記者が米軍ヘ
リの砲撃を受けて死亡した。その時の言葉だ。この爆死はまさに取材の最中に起こっ
たのでその瞬間が録画されており世界に放映された。私もテレビで見た。多くの日本
人も見ていたに違いない。あきらかに報道記者とわかっているのに何故彼は砲撃さ
れなければならなかったのか。これは許しがたい暴挙だ、世界のマスコミは騒ぐに違
いない、そのニュースを見た直後に私はそう思ったのであるが、この事件はその後ま
ったく報道されず私もその時のショックと怒りをすっかり忘れてしまっていた。
 
 その私に記憶を呼び起こしてくれたのが9月20日の毎日新聞であった。バクダッド
発福島良典記者の記事に、私はあらためて怒りと悲しさを覚えた。
 
 「・・・マイクを手にアル・トメイシ記者がリポートを収録する。・・・「もう一度だ」・・・同
記者が振り向いたのとヘリの砲撃でカメラの画面が衝撃とともに白くなるのがほぼ同
時だった。「死ぬ、死ぬ」との同記者のうめき声に同僚が駆けつける。・・・イラク週刊
誌「アルカシード」のマリアム・アル・サナテイ編集長が解説する。「全部とは言わない
が、占領反対闘争の大半には理がある。イラク暫定政府が力で抑えつけても、いたち
ごっこで終わりはない。強力な火力は人々を傷つけるだろうが、心の中までは変えら
れない」
 
 どんなに攻撃をやめてくれと懇願しても聞く耳を持たないブッシュ大統領は米国の
大統領だ。ここにきてブッシュ大統領の支持率がケリー候補を上回ってきた。米国民
の多くがこの戦争を支持しているのだ。しかし日本国民はそうではない。
 
 それにもかかわらず、小泉首相は21日のブッシュ大統領との首脳会談で、「私は
今でもあなたを支持します、大量破壊兵器がない事が明らかになってもあの戦争は
正しかったと信じています。自衛隊派遣も更に一年継続します、在日米軍の再編成に
ついてもあなたに協力します」などと約束し、ブッシュ大統領を励ましてくるとしたら、
一体我々はどうすればよいのか。我々はこの国の首相の一人舞台を、ただ指をくわ
えて眺めるしかないのか。
 
 
 ◇◆ 経済破綻とキャッチボール ◆◇
 
 21日付けの毎日新聞5面は象徴的な構成であった。右トップの社説においては、
日本の財政赤字がますます増大する中で税制調査会による来年度の税制改正の議
論がはじまり、増税が不可避で我々の生活はますます苦しくなることを指摘していた。
すなわち不景気の為バブル期には60兆円以上あった税収が2003年度は43兆円
3000億円に低下、これは平成に入ってからの最低水準という。その一方で国の借金
である国債残高は04年度には500億円近くに膨れ上がる。いくら改革を叫んでもそ
れが掛け声だけだから日本経済はいつまでたっても改善しない。
 
 そのあまりにも深刻な社説の隣に、訪米中の小泉首相がニューヨーク・ヤンキース
のスタジアムで松井秀喜選手を相手に始球式をしている写真が載っていた。顔をこ
わばらせて全力投球しているのである。普通は始球式といえばセレモニーであり投球
を必死になって行う人はいない。ところが彼の場合は、「俺は野球がうまいんだ、こん
なにいい球を投げるだろう」と人に見せんばかりに全力投球しているのである。
 
 「馬鹿じゃなかろうか、この男は。お前のすることは他にあるだろう」と言いたくもな
る。米国大リーグのスタジアムまで乗り込んでいって日本の選手を相手に始球式を
無理やりセットする。米国人はなんの関心も示さずそっぽを向いたまま。日本の官僚
が大リーグ関係者に頼み込んで小泉首相のために舞台セットに奔走したのだろう。し
かし我々はこんな事をするために首相に訪米を許した覚えはない。
 
 国民の暮らしはますます苦しくなっていることが最近発表された数字でも明らかに
されている。金融広報中央委員会が17日に発表した2004年の「家計の金融資産に
関する世論調査」によると、二人以上の世帯で「貯蓄がない」と答えた世帯の割合は
22.1%で、これは調査を始めた63年に次ぐ過去最高の水準だと言う。単身世帯になる
と貯蓄のない者は更に35.1%と高くなっている。貯蓄を取り崩して生活している人が
54.2%と過去最高という数字もある。
 景気を回復させ国民の暮らしを一日も早く楽にさせることこそ小泉首相が全力投球
する相手なのである。

http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm

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