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天木直人・メディア裏読み 9月20日小泉外交はやっぱり猿芝居だった、ジョセフ・ステグリッツ教授の助言 
http://www.asyura2.com/0406/senkyo5/msg/617.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 9 月 20 日 14:17:07:2nLReFHhGZ7P6
 

9月20日 ◇◆ 小泉外交はやっぱり猿芝居だった ◆◇ジョセフ・ステグリッツ教授の助言 ◆◇
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□★□ 天木直人 9月20日 メディア裏読み □
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 ◇◆ 小泉外交はやっぱり猿芝居だった ◆◇

 9月19日の朝日新聞一面に、国連演説で小泉首相が日本の常任理事国入り表明
を行うことになった裏話が出ている。それが事実であるとすれば、小泉外交は思った
通りデタラメ外交であるのだ。すなわち自らの主義も信念もない小泉首相がその時の
政治的効果を見極めて官僚のシナリオに飛びつく、飛びついた後は小泉首相の独断
が一人歩きし外務官僚の手に負えなくなっていく。茶坊主外務官僚はその暴走を止
められずにどんどんと小泉無節操外交に逸脱していく。これまでのパフォーマンス外
交がそんな猿芝居の結果であったとすれば、国民は馬鹿にされていたのだ。馬鹿に
されるまではいいが、このままでは我々は危険な方向に追いやられる。

 今から10年前、外務省が常任理事国入りに動き始めた時、小泉首相は反対派の
一人だった。2002年秋の小泉首相の国連演説には日本の常任理事国入りへの言及
はなかった。今年7月の参院選が終わるまで小泉首相は常任理事国入りに関心をま
ったく見せなかった。ところが「やるなら今しかありません。日本は国連に一番カネを
出しています。現憲法の下でも、日本独自の参加の仕方があるのではないでしょう
か」という外務官僚の説得にあっさりと豹変するのである。「うん、私がやる。」
 
 何故首相は変わったのか。解釈は様々に語られている。政権浮揚の目玉にしたい、
イラク戦争で安保理に入っていないことの無力感を痛感した、いや自衛隊の人道支
援派遣で自信がついた、などなど。しかし多くの政府関係者や国会議員を取材しても
首相自身の口からきちんとその理由を聞いた人はいないという。それはあたりまえだ。
理由など何もない。「青写真のないまま」に飛びついたに過ぎないからなのだ。そもそ
も小泉首相には国連改革などには関心すらないのである。
 
 思えば二年前の突然の訪朝とピョンヤン宣言署名である。「吉田首相は日米安保
条約、岸首相は安保条約改定、佐藤首相は沖縄返還、田中首相は日中国交回復を
成し遂げました。北朝鮮との国交回復という歴史的偉業を成し遂げるのはあなたで
す」という外務官僚のそそのかしに膝をたたいて飛びついたという。拉致家族の救済
についてなんらの青写真もないままに即断したのだ。
 
 思えば一年半前、米国がイラクを単独先制攻撃したとき、「米国との関係を損なう
わけには行きません。米国を支持するほかに選択の余地はありません」という外務官
僚の助言に黙って従ったのである。中東問題についてなんらの知識も関心もない小
泉首相は、米国のイラク攻撃の真意を検証することなく「ブッシュ大統領は正しい」と
世界に断言した。
 
 その結果何が起こったか。北朝鮮との国交回復は行き詰まり、5名の救出と引き換
えに百名を超える拉致不明者の消息が閉ざされようとしている。イラク戦争は最悪の
結果となり日本全体が米国の「テロとの戦い」に巻き込まれてしまった。
 今度の国連演説で小泉首相がわが国の常任理事国入りを表明したらどうなるのか。
幸いにも何も起こらない。何故ならば日本の常任理事国入りについては、米国を含め
てただの一カ国も賛成している国はないからである。完全な形の日本の安保理常任
理事国入りは100%不可能である。もし日本がなりふり構わずに準常任理事国でもよ
いから入れてくれと結果を急ぐのなら世界の笑いものになるであろう。
 
 小泉首相は世界を相手に独り相撲をして、自分で勝手に土俵を割ることになる。外
務官僚や日本の御用マスコミは小泉演説を歴史的演説と囃し立てることであろう。そ
の影で世界のすべての国が陰で嘲笑しているのである。その光景が眼に浮かぶよう
だ。
 考えようによってはこれ程国益を害する外交はないのかもしれない。
 

 
 ◇◆ ジョセフ・ステグリッツ教授の助言 ◆◇
  
 9月19日の朝日新聞の「経済同盟」という連載記事においてコロンビア大学のジョ
セフ・ステグリッツ教授のインタビュー記事が載っていた。彼はクリントン政権の経済
諮問委員会(CEA)委員長であった。現在のブッシュ共和党政権には一貫して批判
的な言論を展開している一人である。それを差し引いても、世銀副総裁を経歴し、01
年にはノーベル経済学賞を受賞する世界的学者の意見は傾聴に値する。以下に抄
訳して紹介する。
 
 ●―日本がイラク戦争に協力し、経済面でも米国債を大量に購入して米国を支え
ていることについてー
 米国への支持は小泉首相だけではない。英国など米国を支持する多くの国々では
リーダーと国民との間の意見の乖離が増大している。リーダーたちは「首脳クラブ」の
仲間でいたいのだ。友達のブッシュから頼まれれば、落胆させたくないからと従ってい
る。しかし首脳が自国民の求めていることよりも、他国の利益を優先するのは危険で、
間違っている。
 経済の面でも同じ事がいえる。各国の財務相や発展途上国の中央銀行総裁たち
が自国民より国際通貨基金(IMF)や米国財務省の意向を気にする事を眼にすること
が多い。・・・それは大きな間違いだったし各国の利益に沿わないものだ。
 
 ●―日米経済が一体となりつつある傾向をどう評価するかー
 最大の経済国である米国と相互依存が進展するのは必然だが日本は米国の言う
事を聞き過ぎる。アジア通貨危機の際に日本が提唱した「アジア通貨基金」は非常に
優れた構想だった。しかし米国がアジアでの影響力の低下を恐れて反対し、韓国、イ
ンドネシア、タイを苦しめた。日本の分析が正しく、米財務省の分析は間違っていた。
日本は米国の圧力に屈すべきではなかった。
 
 ●―日本政府が大量に保有する米国債を売ろうにも米国の反発があって売れない
現実をどう思うかー
 日本政府が責任を負っているのは日本国民に対してだ。・・・ユーロに投資していれ
ば儲かっていたはずで日本国民にとっては数百億ドルの損失だ。米国債を売れば米
国が報復しないだろうかという不安もあるだろう。しかし現行のWTOのルールのもと
ではそれは不可能だ。
 
 ●―どのような日米関係が望ましいかー
 グローバルな経済や社会の安定には、最強の国があってみながそれに従うのでは
なく、チェックアンドバランスを機能させる事が必要だ。現在はこの機能が正しく働い
ていない。日本はもっと自信を持って米国をチェックできる存在になる必要がある。京
都議定書採択の際の日本の役割は非常に大きかった。科学的証拠は圧倒的だった
のに、ブッシュ大統領は「証拠はない」と言い切った。・・・グアンタナモ基地で起き
ていることは米国の基本的な原則を損なうものだ。・・・私は米国に圧力がかかって米
国を国際基準に戻す事が非常に重要だと思う。日本にもそうした圧力を米国にかけて
ほしい。
 
 ●―日本はアジアのリーダーになれると思うかー
 アジア一の勢力を目指すとか、米国と並ぶ存在を目指すとかではなく、米国や中
国、ほかの東アジアの国々やロシアなどと話し合う姿勢を明確にし、いろいろな問題
に対して最善の解決策を目指すことだと思う。米国が正しい時もあれば、間違ってい
る時もある。米国に対して自らの判断で臨むべきだ。それこそが成熟した民主主義
だ。
 
 私はステグリッツ教授の意見に賛成である。しかし敢えてステグリッツ教授に言い
たい。米国の行き過ぎをよく制止出来るのは米国民であるはずであり、それこそが世
界から米国民に求められている責務ではないのか。他国の意見に聞く耳を持たない
現在の米国に圧力をかけられるのは米国をおいて他にないのである。国際社会はそ
ういう米国民と協力していきたいと考えているのである。


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